『MotoGP™クラス』プレビュー~自由、平等、スピードのルマン

地元フランス出身の両雄、ワンツーフィニッシュを達成したドゥカティの両雄がルマンバトルの中心

第5戦フランスGPは、ルマンのブガッティ・サーキットで5月14日に初日、16日に決勝レースを開催。第3戦ポルトガルGPと第4戦スペインGPで自己最高位タイの2位を獲得したフランチェスコ・バグナイアがポイントリーダーとして初登場。ウェットコンディションとなった昨年は13位だったが、中量級のタイトルを獲得した3年前にポールポジションから優勝を挙げた当地で、ライバルたちの挑戦を受け、ポイントアドバンテージの拡大を目指す。

ポイントリーダーに挑戦するのは、地元の両雄、総合2位ファビオ・クアルタラロと総合5位ヨハン・ザルコ。2戦連続のポールポジションからトップを走行中に失速したクアルタラロは、オフィシャルテストをキャンセルして右前腕を手術。昨年ポールポジションから9位だったホームグランプリに向けて、不安要素を払拭すれば、4年前に2位、3年前にポールポジションを獲得したザルコは、前戦後の事後テストでドゥカティ勢最多の75ラップを周回。

ルマンで注目を集めるのは、総合3位マーベリック・ビニャーレス。デビューシーズンの10年前には初優勝を挙げ、最高峰クラス2年目の4年前にはポールポジションから優勝。昨年は10位だったが、オフィシャルテストでは最多の101ラップを周回して1番手に進出。引き離されたポイント差を詰めたいところ。

ヨーロッパラウンドに入ってから本来の走りを取り戻し総合8位まで浮上したフランコ・モルビデリは、今季初表彰台を獲得した後、昨年以上のフィーリングがあることを説明。オフィシャルテストではブレーキングの向上に注力していた。

厳しい序盤4戦となったバレンティーノ・ロッシは、オフィシャルテストで課題のリアグリップを追求し、バイクのバランスとセッティングを調整しながら、新しいスイングアームのテストにも取り組んで、週末のベストタイムを更新。12番手だったが、フィーリングが大幅に改善され、ブレーキングとコーナーエントリーに手応えを掴んでいた。

初のトリプルクラウンを目指し、序盤4戦が終了した時点で昨シーズンよりも多くのポイントを稼ぐスズキ。総合4位ジョアン・ミルは、オフィシャルテストでフロントのフィーリング向上を目指してジオメトリを調整して3番手に進出すれば、総合9位アレックス・リンスはサスペンション等のセットアップに取り組んで2番手。フリー走行4の転倒で昨年負傷した右肩を検査した後、数日間の安静に務めた。

最高峰クラスに進出してから2勝目、ドライコンディションでは初優勝を挙げた総合6位ジャック・ミラーは、過去3年間、ドゥカティが毎年優勝、表彰台争いを展開していたトラックを前にヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトに延滞して、週末の課題と比較検証を目的としたテストプログラムに着手。

2019年11月の最終戦バレンシアGP以降、優勝から遠ざかっているホンダ勢は、昨シーズン表彰台を獲得したフランスGPを前に、ポル・エスパルガロ中上貴晶アレックス・マルケスがオフィシャルテストでエアロボディを中心としたテストプログラムに取り組んだが、マルク・マルケスはテストをキャンセル。復帰から3戦目でどこまでパフォーマンスを伸ばせるのか注目が集まる。

開幕から戦闘力の向上を証明するアプリリア。総合7位アレイシ・エスパルガロはトップ5入り、5秒以内のフィニッシュを目指すが、右前腕に不安。決勝レース後に手術を予定している。

開幕以来今季2度目のトップ10入りを逃したKTMは、ミゲール・オリベイラブラッド・ビンダーがオフィシャルテストで異なるシャーシをテスト。昨年優勝者のダニロ・ペトルッチはリアタイヤのパフォーマンスを引き出す目的にバイクのバランスを調整。さらに、快適な姿勢を追求する目的でエルゴノミクスを調整しながら、新たに投入されたタンクとシートを試すと、テストライダーのダニ・ペドロサとミカ・カリオはモーターランド・アラゴンでプライベートテストを実施。

プラマック・レーシングは、第3戦ポルトガルGPで負傷したホルヘ・マルティンが欠場することから、第4戦スペインGPに続き、、『スーパーバイク世界選手権』に転向したティト・ラバットを代替として招集する。

『MotoGP™クラス』の決勝レースは、5月16日現地時間14時00分、日本時間21時00分にスタート。『motogp.com』ではフリー走行1から全セッションの生中継で配信。

タイムスケジュール
5月13日(木)
17時00分(00時00分):プレスカンファレンス
5月14日(金)
09時55分(16時55分): フリー走行1(45分間)
14時10分(21時10分): フリー走行2(45分間)
5月15日(土)
09時55分(16時55分): フリー走行3(45分間)
13時30分(20時30分): フリー走行4(30分間)
14時10分(21時10分): 公式予選1(15分間)
14時35分(22時35分): 公式予選2(15分間)
17時00分(00時00分):公式予選プレスカンファレンス
5月16日(日)
09時20分(16時20分): ウォームアップ走行(20分間)
14時00分(21時00分): 決勝レース(27ラップ)
15時45分(22時45分): 決勝レースプレスカンファレンス

過去の決勝レースリザルト
2020年-ウェットコンディション
優勝:ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)
2位:アレックス・マルケス(ホンダ)+1.273秒差
3位:ポル・エスパルガロ(KTM)+1.711秒差
2019年-ドライコンディション
優勝:マルク・マルケス(ホンダ)
2位:アンドレア・ドビツィオーソ(ドゥカティ)+1.984秒差
3位:ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)+2.142秒差
2018年-ドライコンディション
優勝:マルク・マルケス(ホンダ)
2位:ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)+2.310秒差
3位:バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)+5.350秒差
2017年-ドライコンディション
優勝:マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)
2位:ヨハン・ザルコ(ヤマハ)+3.134秒差
3位:ダニ・ペドロサ(ホンダ)+7.717秒差
2016年-ドライコンディション
優勝:ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)
2位:バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)+10.654秒差
3位:マーベリック・ビニャーレス(スズキ)+14.177秒差

最先端の多視点観戦、マルチスクリーンを提供する『VideoPass(ビデオパス)』では、第5戦フランスGPのフリー走行1から決勝レースまで全セッションを完全網羅の生中継で配信