アンガルト、プレ、アレ!ルマンに降臨

世界で最もエキサイティングなスポーツが伝統の舞台ルマンに到着。剣を抜いて戦いに挑む

第5戦フランスGPは、今週末の5月10日から12日にルマンブガッティ・サーキットで開催。11日に公式予選とショートレースのティソ・スプリント、12日に決勝レースが催行される。

ドゥカティ

コンストラクター部門で総合1位に位置するドゥカティは、2週間前にヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで開催された前戦スペインGPで2020年11月の第14戦バレンシアGPから64戦連続の1列目からホンダ、スズキ、ヤマハに続き、2021年9月の第13戦アラゴンGPから50戦連続の表彰台を獲得。同時に通算90勝目と昨年6月の第7戦ドイツGP以来となる2度目のトップ5独占を達成。今週末のルマンでは、2020年から4年連続の優勝、昨年は表彰台を独占。

ホルヘ・マルティン

前戦のティソ・スプリントで開幕戦カタールGPに続き2度目の優勝、昨年9月の第12戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPから12戦連続して表彰台を獲得した後、決勝レースでトップ走行中に転倒を喫したが、ポイントリーダーの座を維持。昨年5番グリッドから優勝と2位を獲得した当地でアドバンテージの拡大を目指す。

フランチェスコ・バグナイア

開幕戦以来今季2勝目、プレミアクラスで20勝目、通算30勝目を挙げ、ポイントリーダーに17ポイント差まで接近。昨年ポールポジションから3位と3番手走行中に転倒を喫したトラックで、さらにギャップを詰めに行く。

マルク・マルケス

昨年3月の開幕戦ポルトガルGP以来399日ぶりにポールポジションを獲得した後、新天地に移籍し、ドゥカティ機に乗り換えてから4戦目で初めて優勝争いを繰り広げ、ウェットコンディションで開催された昨年9月の第14戦日本GP以来、ドライコンディションでは2022年10月の第18戦オーストラリアGP以来となる表彰台を獲得。オフィシャルテストでは、次の段階として、自身のライディングスタイルをバイクに適応させる課題に取り組み、今週末は2014年、2018年、2019年に優勝、昨年2番グリッドから5位と2番手走行中に転倒した右回りトラックでワンステップを追求。もし決勝レースで誰よりも早くチェッカーフラッグを受ければ、2021年10月の第16戦エミリア・ロマーニャGP以来931日ぶりの優勝となる。

2023年はマルコ・ベツェッキ、2022年はエネア・バスティアニーニが優勝を挙げ、オフィシャルテストではファビオ・ディ・ジャンアントニオが1番手に進出。プレシーズンに5日間のオフィシャルテストを欠場しながら上位に進出し、オフィシャルテストではより快適で自然に乗れるように、エルゴノミクスに基づいた乗り換え作業に取り組んで3番手に進出したフランコ・モルビデリにも注目が集まる。

KTM

「過剰な期待が招いた週末の結果」と前戦を分析したペドロ・アコスタは、オフィシャルテストを利用して、セッティングの細かい調整に取り組み、周回を重ねることで理解度を高め、今週末は中量級に参戦した2年間で連続転倒を喫したが、所属するチームのホームグランプリで、史上最年少のポールポジションと優勝に期待が高まる。

オフィシャルテストで全体的な底上げを図ったブラッド・ビンダーは、昨年10番グリッドから2位と6位。KTMの最高位(2020年の3位)を更新する機会を迎え、苦しんでいるチャタリングの改善に取り組んだジャック・ミラーは、2021年に優勝を挙げたトラックで流れを変え、乗り換えに苦労しているアウグスト・フェルナンデェスも昨年最高位(4位)を獲得したチームのホームサーキットで状況を一転させたいところ。

アプリリア

総合5位のマーベリック・ビニャーレスは、2番手に進出したオフィシャルテストを利用して2号車の問題を徹底的に洗い出し、2017年に優勝を挙げた今週末のルマンからは、2台が同じパフォーマンスを発揮できるように準備。アレイシ・エスパルガロミゲール・オリベイララウール・フェルナンデェスもテストプログラムに取り組む機会となり、2022年に最高位となる3位を獲得したトラックで51ポイント差のドゥカティ、13ポイント差のKTMに挑戦。

ヤマハ

オフィシャルテストを利用して、新しいシャーシ、新しいエアロパッケージ、改良された電子制御など多くのテスト項目を実行したファビオ・クアルタラロアレックス・リンスは、2人で157ラップを周回。今週末に幾つか新しいものを導入する予定だが、さらにデータを収集し、結論を出すために、週末が終わり次第、第7戦イタリアGPの開催地ムジェロ・サーキットに移動してプライベートテストを実施。

ホンダ

プライベートテストのサーキットとして利用するヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトでテストライダーのステファン・ブラドルをワイルドカードとして第4戦スペインGPで起用した後、ジョアン・ミルルカ・マリーニヨハン・ザルコ中上貴晶がオフィシャルテストを利用して積極的に周回を重ね、意欲的にテストプログラムに取り掛かり、4人で305ラップを周回。2002年以降9勝を挙げたルマンの週末を終えた後には、ヤマハ同様にコンセッションを施用して、ムジェロでテストを予定。

天気予報

火曜日から天候が安定。週末も晴れが予報され、3日間を通じて最高気温24度、最低気温13度のドライコンディションが見込まれている。

Moto2™

第2戦ポルトガルGPから3戦連続の2位を獲得したジョー・ロバーツがチャンピオンシップの歴史において、アメリカ人ライダーとしては2006年のニッキー・ヘイデン以来、初めてポイントリーダーに飛び出せば、総合2位セルジオ・ガルシアは5ポイント差で追う。

開幕戦でポイント圏外だったフェルミン・アルデグエはヘレスで今季初優勝を挙げ、ポイントリーダーを射程圏内に捉える15ポイント差の総合3位に浮上。総合4位マヌエル・ゴンザレス、総合6位アロンソ・ロペスらと共にプライベートテストを欠場すれば、そのテストで今季まだポイントを稼いでいないジェイク・ディクソンが総合1番手。ソムキアット・チャントラは総合2番手。そして、昨年ルマンで優勝を挙げたトニー・アルボリーノが総合3番手に進出。

開幕から4位、5位、7位、6位の小椋藍は26ポイント差の総合5位。プライベートテストでは転倒が原因でバイクが破損したことから、テストプログラムを中断することを強いられたが、負傷なく、転倒が原因で決勝レースを欠場した佐々木歩夢は、医師団から許可が下り、プライベートテストに参加して63ラップを周回。

週末に足首の腓骨果を骨折したアロン・カネト、左鎖骨を骨折したボ・ベンスナイダー、左肘を負傷したデニス・フォッジャ、プライベートテストで左鎖骨を骨折したチェレスティーノ・ヴィエッティの参戦は手術後経過と回復次第。

プライベートテストでは、イタルトランス・レーシング・チームがデニス・フォッジャの代替として、スーパースポーツ世界選手権に参戦するマルセル・シュロッターを起用。プルタミナ・マンダリカ・ガスアップ・チームは、ボ・ベンスナイダーの代わりにMoto2™欧州選手権で起用するダビド・ムニョスを招集していた。

Moto3™

開幕から4戦連続のトップ2入りを逃したが、7位でゴールしてポイントリーダーの座を堅守したダニエル・オルガドだったが、土曜日の転倒が原因で左足を負傷したことから、2日後のプライベートテストを欠場し、チームのホームレースに向けて負傷からの回復に努めれば、最初のセッションから1番手を維持したにも関わらず、決勝レースの1ラップ目に転倒を喫したダビド・アロンソは最後尾から11位まで挽回。2ポイント差から6ポイント差にギャップが広がったが、プライベートテストでは総合1番手に進出。

昨年はダニエル・オルガドが2番グリッドから優勝。ダビド・アロンソは25番グリッドから9.3秒差の8位だった。

今季初優勝を挙げたコリン・ベイヤーは総合6位から28ポイント差の総合3位に浮上。プライベートテストでは総合2番手に入り、好感触を掴んで、昨年15位だったルマンに乗り込む。

総合8位山中琉聖、総合11位鈴木竜生、総合15位古里太陽は、プライベートテストで課題に取り組みながら、ピレリタイヤを履いて周回を重ね、今週末にワンステップアップを狙う。