『MotoGP™クラス』プレビュー~クアルタラロ包囲網

後半戦緒戦の舞台はドゥカティが5年連続優勝、KTMがダブルポディウムを獲得したレッドブルリンク

第10戦スティリアGPは、レッドブルリンクで8月6日に初日、8日に決勝レースを開催。前戦TTアッセンでシーズン4勝目を挙げたファビオ・クアルタラロが2年前に3位、昨年の2連戦で8位と13位だった当地でドゥカティ勢とKTM勢の挑戦を受ける。

ドゥカティのカルテットが6年連続優勝を狙う
1997年以来19年ぶりに開催日程に復帰した2016年から連続優勝を挙げたドゥカティ。過去の優勝者は不在だが、総合2位のヨハン・ザルコと総合3位のフランチェスコ・バグナイアは中量級時代に優勝経験があり、総合5位のジャック・ミラーは昨年3位と2位。第3戦ポルトガルGPの負傷から順調に回復してきた総合18位のホルヘ・マルティンは、昨年の中量級で1位と2位を獲得したことから、ドゥカティのカルテットがクアルタラロにプレッシャーをかけ、ポイント差を詰めに行く。

現王者ミルが55ポイント差に挑戦
前戦で今季3度目の3位を獲得して総合4位に浮上したジョアン・ミルは、2016年にキャリア初優勝を挙げ、軽量級のタイトルを獲得した2017年に2年連続の優勝。最高峰クラス1年目は肺挫傷が原因で欠場したが、昨年は初表彰台の2位と4位に進出。好結果を獲得したトラックから後半戦の巻き返しを図り、第7戦カタルーニャGP直前に右手を骨折した後、2戦連続して11位だった総合14位のアレックス・リンスは、サマーブレイクを返上してトレーニングに専念。後半戦の緒戦で仕切り直したいところ。

ホームグランプリに臨むKTM
昨年の2戦目で優勝とダブルポディウムを達成したKTM勢。総合7位まで浮上したミゲール・オリベイラと総合9位のブラッド・ビンダーは、ホームトラックでの優勝、1年ぶりとなるダブルポディウムを目指し、来季の去就に注目が集まる総合17位のダニロ・ペトルッチと総合21位のイケル・レクオナは、パフォーマンスとリザルトを追求する。

ヤマハ最高位は2016年と2019年の3位
前戦で今季初のワンツーフィニッシュを達成したヤマハ。今季2度目の表彰台を獲得した後、今季末でヤマハからの離脱が発表された総合6位のマーベリック・ビニャーレスは、2年前の5位が最高位。昨年の1戦目はポールポジションから10位。2戦目はブレーキに問題を抱えて自らバイクから飛び降りで転倒リタイアを強いられたが、精神的に吹っ切れた状態で後半戦の緒戦に臨む。

来季の去就に注目が集まる総合19位のバレンティーノ・ロッシは、復帰した2016年から4位、7位、6位、4位、5位、9位。昨年9月の第7戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGP以来となるシングルフィニッシュを狙う。

後半戦の反撃を開始するホンダ勢
第8戦ドイツGPで優勝を挙げた後、前戦で7位に進出した総合10位のマルク・マルケスは、2年ぶりに数日間の休暇をとった後、右肩と右腕のリハビリプログラムを続け、バイクを使用したトレーニングを再開。今季開催するサーキットで、ポルティマオ・サーキットと共にキャリアでまだ優勝経験がないレッドブルリンクに挑むが、2017年から3年連続してコンマ数秒差の2位を獲得。右7コーナー、左3コーナーの時計回りトラックで右肩と右腕の回復具合を確認する。

前戦で表彰台争いを繰り広げた総合11位の中上貴晶は、昨年の1戦目は10番グリッドから6.4秒差の6位。2戦目は2番グリッドから2番手を走行し、リスタートでは1.8秒差の7位に進出。好走したトラックで最高峰クラス初の表彰台に挑戦する。

2戦連続の10位だった総合12位のポル・エスパルガロは、後半戦でトップ10争いではなく、上位争いに挑戦することを宣言。昨年の2戦目ではKTMでの初表彰台を獲得すれば、総合15位のアレックス・マルケスは、後半戦から結果を追求したいところ。

アプリリアの目標はトップ5、そして表彰台
前半戦で最高位の6位を2回獲得し、6度の1桁台に進出した総合8位のアレイシ・エスパルガロは、昨年11位と12位。サマーブレイク返上で開発プログラムが進められていたことから、どこまで上位陣に接近できるのか注目が集まる。

2人のテストライダーが参戦
KTMは7月20日にテストライダーのダニ・ペドロサをワイルドカードとして起用することを発表。2018年の最終戦バレンシアGP以来となる復帰となり、デベロップメントバージョンを走らせ、実戦でのデータ収集に取り組めば、ペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チームは7月28日に左膝を手術したフランコ・モルビデリの代替として、ヤマハのテストライダー、カル・クラッチローを3戦で起用することを発表。昨年の最終戦ポルトガルGP以来となる出走となる。

『MotoGP™クラス』の決勝レースは、8月8日現地時間14時00分、日本時間21時00分にスタート。『motogp.com』ではフリー走行1から全セッションの生中継で配信。

タイムスケジュール
8月5日(木)
17時00分(00時00分):プレスカンファレンス
8月6日(金)
09時55分(16時55分): フリー走行1(45分間)
14時10分(21時10分): フリー走行2(45分間)
8月7日(土)
09時55分(16時55分): フリー走行3(45分間)
13時30分(20時30分): フリー走行4(30分間)
14時10分(21時10分): 公式予選1(15分間)
14時35分(22時35分): 公式予選2(15分間)
17時00分(00時00分):公式予選プレスカンファレンス
8月8日(日)
09時40分(16時40分): ウォームアップ走行(20分間)
14時00分(21時00分): 決勝レース(28ラップ)
15時45分(22時45分): 決勝レースプレスカンファレンス

過去の決勝レースリザルト
2020年オーストラリア-ドライコンディション
優勝:アンドレア・ドビツィオーソ(ドゥカティ)
2位:ジョアン・ミル(スズキ)+1.377秒差
3位:ジャック・ミラー(ドゥカティ)+1.549秒差
2020年スティリア-ドライコンディション
優勝:ミゲール・オリベイラ(KTM)
2位:ジャック・ミラー(ドゥカティ)+0.316秒差
3位:ポル・エスパルガロ(KTM)+0.540秒差
2019年-ドライコンディション
優勝:アンドレア・ドビツィオーソ(ドゥカティ)
2位:マルク・マルケス(ホンダ)+0.213秒差
3位:ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)+6.117秒差
2018年-ドライコンディション
優勝:ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)
2位:マルク・マルケス(ホンダ)+0.130秒差
3位:アンドレア・ドビツィオーソ(ドゥカティ)+1.656秒差
2017年-ドライコンディション
優勝:アンドレア・ドビツィオーソ(ドゥカティ)
2位:マルク・マルケス(ホンダ)+0.176秒差
3位:ダニ・ペドロサ(ホンダ)+2.661秒差
2016年-ドライコンディション
優勝:アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)
2位:アンドレア・ドビツィオーソ(ドゥカティ)+0.938秒差
3位:ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)+3.389秒差

最先端の多視点観戦、マルチスクリーンを提供する『VideoPass(ビデオパス)』では、第10戦スティリアGPのフリー走行1から決勝レースまで全セッションを完全網羅の生中継で配信