ポル・エスパルガロと彼の側近の人たちに話を聞けば聞くほど、2021年にオレンジに身を包むことになると確認します。それはKTMではなく、有名なレプソル・ホンダのオレンジです。
ポルがHRCに移籍するとなれば、変則的なシーズンに衝撃となって伝わります。1月の時点で誰が予測できたでしょうか。そんな人がいたら、私が購入しようとする宝くじを選んでください!
ポルはKTMで幸せを感じ、満足しています。7月19日にようやく再開する2020年シーズンにおいて、急速に改善されているRC16でトップ6入りを一貫して闘うことを本当に楽観的に考えています。これが衝撃の原因です。
おそらく最大の衝撃を受けているのは、まだ1ラップも終えていないにも関わらず移籍をすることになる中量級王者のアレックス・マルケスではないでしょうか。マルケス兄弟の弟にとっては、非常に厳しいように思われますが、レースでは感情の余地はほとんどありません。感情が理性に負けていたら、ファビオ・クアルタラロがバレンティーノ・ロッシに替わってヤマハのファクトリーチームで起用されることはなかったでしょう。ジャック・ミラーの昇格でドゥカティのファクトチームのシートを失ったダニロ・ペトルッチは就職活動をしなかったでしょう。
噂が勢いに乗って拡散し始めたとき、レプソル・ホンダのチームマネージャー、アルベルト・プーチの短い発言を読んだ瞬間、ポルがHRCに移籍すると確信しました。彼は怠惰なゴシップを却下することを躊躇せず、ナンセンスなキャラクターを定義します。臆測を否定せず、エスパロガロ弟とHRCのコラボを詳しく調査すればするほど、それは理にかなっています。彼の全てのアクションとアグレッシブなライディングスタイルは、ホンダ機のDNAと完璧にマッチしているようです。
最近のインタビューで、『マルクと僕は、ステアリングが動いた場合、または閉じた場合、転倒を回避できることを含めて、似たような走り方をしていると思う』と、彼の走り方がマルケスにどれだけ反映しているのか説明しました。
彼ら2人はお互いにお互いのことを良く理解しています。彼らは20年に渡ってレースを繰り広げ、『125ccクラス』と『Moto2™クラス』ではタイトルを争いました。『MotoGP™クラス』で歴史は繰り返されるでしょうか?
レプソル・ホンダは、ポルにとって明らかに魅力的です。全てのライダーを魅了します。その名前は成功の代名詞であり、ミック・ドゥーハン、アレックス・クリビーレ、バレンティーノ・ロッシ、ニッキー・ヘイデン、ケーシー・ストーナー、そして現王者であるマルク・マルケスの記憶を呼び起こします。
ここ数日間、ポルはレプソル・ホンダについて輝かしい言葉で語っただけですが、少なくても来シーズンにはRC213Vに乗ることを念頭に置いているようです。
KTMは現時点で勝てるバイクではありません。彼らは2017年から素晴らしい進歩を遂げましたが、それでも、ポルが全ての週末でトップに立つために必要なパッケージではありません。
29歳となり、身体的に精神的にも今がキャリアの最高潮だと言うことができ、今まさにキャリアの中で勝てるバイクが必要なときです。今しかありません。彼の兄アレイシは、ホンダを拒否することは、F1ドライバーがフェラーリにノーということだと言いました。言い換えれば、それは起こらないということです。
ポルはKTMから離脱するという意向を表明していませんが、このような機会は2度と訪れないことから、両手で掴む必要があります。
先日、タイトル争いへの固執とホンダ、またはドゥカティと走る夢を語りました。ノーと返事をすれば、残りのキャリアで彼を悩ませることになり、FCバルセロナでリオネル・メッシと一緒にプレイする機会を逃すサッカー選手となります。
ホルヘ・ロレンソの懲らしめた経験は、ポルの判断を曇らせるとは思いません。彼はシルクのようなスムーズな走りと1センチも狂わない完璧な精度の走りは、ヤマハで素晴らしい日々をもたらしましたが、ホンダでは単純にその走りは機能しませんでした。
ポルは裏返しの経験をしました。2014年にテック3・ヤマハから最高蜂クラスに昇格しましたが、カル・クラッチロー、アンドレア・ドビツィオーソ、コーリン・エドワーズ、ベン・スピーズ、ブラッドリー・スミス、ジョナス・フォルガー、ヨハン・ザルコように表彰台を獲得できませんでした。協調した努力にも関わらず、本能を失うことができず、フィットネスの欠如は常にYZR-M1と対立することを意味します。RC16は、身体面と精神面の要求が厳しいバイクだと評判が常にあり、レッドブルは名前で本質的にロデオ雄牛です。RC213Vに対して困難な見通しはありません。契約全体で最も困難な側面は、同じバイクを走らせ、同じチームに所属するキャリアのライバルに対して、才能を売り込むことです。
マルケスを倒すことは、このスポーツだけでなく、スポーツ全体において最も困難な課題の1つです。彼の驚くべき統計を考えてみましょう。2019年の全19戦で史上最多となる420ポイントを獲得しました。これは2017年、2018年、2019年のチームメイト、ダニ・ペドロサとホルヘ・ロレンソが参戦した全51戦の合計獲得ポイント、355を大きく上回ります。
彼は誰も恐れません。ポルを恐れません。ポルは最高蜂クラスの6年間、104戦で表彰台を1度獲得しましたが、マルケスは昨年11月の2戦で2位と優勝を獲得しました。大きな問題は、現状を知っていたら、2月に前例のない4年契約を締結することを熱望したかどうかです。
アルベルト・プーチとHRCの上層部による勇敢な動きですが、ホンダの中で議論を醸すかもしれない決定だったかもしれません。『MotoGP™』は結果主導型のビジネスであり、純粋に競技面から見ると、マルケスの強力なチームメイトが必要です。彼は一人勝ちのマシンとなり、ホンダのナンバーワンライダーになるという困難な作業を、赤ん坊から飴玉を取り上げると同じぐらい簡単にやってしまいます。歴史はホンダが個々の成功とメーカーとコンストラクターの栄光を確保するために、他の誰かを加入させ、負担を背負わせる必要がありました。
マルケスが2013年に加入してから、彼と彼のチームメイトとのギャップが100ポイントを越えたことが4回ありました。そして、2019年には、彼以外のホンダ全員の合計ポイントを169ポイントも上回っていました。
ポルの加入により、アレックスが外されるかもしれません。歴史上最も成功を収めたチームに所属し、マルクのチームメイトとして、耐え難い精査を受けることになりますが、LCRでは重圧と期待が軽減されることから、より早く繁栄することができます。
アレックスは、3度目の挑戦で『Moto3™クラス』、5度目の挑戦で『Moto2™クラス』のタイトルを獲得しました。これは彼が新し環境に慣れるのに時間が必要であることを示しますが、ファクトリーチームでは与えられない時間です。結果が出なければ、2020年の末に退団させることができたかもしてません。LCRから参戦する2年契約を締結することになるでしょう。少なくても最高蜂クラスに自分の価値を証明する時間があることを意味します。
カル・クラッチローと中上貴晶に何が起こるのか興味深いです。ホンダはフルファクトリースペックを提供することでアレックスへの打撃を和らげます。クラッチローは技術面で同じことが維持され、比較的に経験が浅いチームメイトより技術面で劣ることを受け入れられないでしょう。
しかし、新型コロナウイルスにより引き起こされた経済的に困難な時代に4台のファクトリーマシンを約束できるでしょうか?
クラッチローは、KTMとアプリリアにリンクされており、イギリス人の参戦を維持することに関心の高い人たちがいます。
ポルが突然マルケスを破るライダーになり、レプソル・ホンダのアイコンになるとは思いませんが、彼がこの機会を得るために、血と汗、そして涙と共に闘ってくるのを見ました。少年時代からの夢を生きる機会に値します。
何が起こっても将来は明るく、それはポルとって未来のオレンジです。