ドゥカティ・レノボ・チームのマルク・マルケスは、12月19日にイタリア・ボローニャにあるドゥカティの本社で開催された毎年恒例のイベント『Campioni in Festa 2025(カンピオーニ・イン・フェスタ)』に出席。仕事納めとなった職員やファンにタイトル獲得を報告すると、12月22日に出身地セルベラに近いアルカラスのダートトラックを訪れ、第18戦インドネシアGPのグランプリレース以来78日ぶりにバイクを走らせ、2月3日からペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットで開催されるオフィシャルテストに向けて、本格的な準備を開始した。
78日ぶりの走行
ペルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・サーキットで開催された第18戦インドネシアGPのグランプリレースで1ラップ目の7コーナーでマルコ・ベッツェッキと接触転倒したマルク・マルケスは翌日にスペインの首都マドリード市内の病院で精密検査を受け、右肩肩甲骨の烏口突起基部骨折と右肩の靭帯損傷を確認。安静にして固定するという保存的治療計画を選択。
再検査の結果、1週間患部を固定した後も烏口突起基部骨折と靭帯損傷の安定化が不十分であることを確認し、残存する不安定性のリスクを考慮し、安定化と肩鎖靭帯の修復を目的とする手術を受けたことから4戦に欠場。最終戦バレンシアGPが開催されたサーキット・リカルド・トルモを訪れ、肩腕を固定するアームホルダーなしの姿で年間表彰式『MotoGP™ Award』に出席。
負傷から78日後、ドゥカティのモトクロスバイク『Desmo450 MX』に乗り込み、弟アレックス・マルケス、中量級王者ディオゴ・モレイラと一緒にトレーニングを実施。「バイク初日。これから沢山の仕事が控えているけど、時間と感覚を積み重ねていく時期が来た。ステップ・バイ・ステップ!」とソーシャルメディアにメッセージを投稿した。
Campioni in Festa 2025
毎年恒例のイベントにフランチェスコ・バグナイア、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、アレックス・マルケス、フェルミン・アルデグエル、ニコロ・ブレガらと一緒に出席したマルク・マルケスは右肩の回復具合を説明。
「だいぶ良くなった。怪我から12週間が経ち、今週末か来週にはバイクに乗って、バイクを感じることができるだろう。だから、バカンスはなし。僕にとっては受け入れやすいことだけど、ガールフレンドのジェマにとっては受け入れ難いだろう(笑)。」
「11月と12月はとても忙しかった。肩の回復と並行して、沢山のイベントやセレモニーに出席して、それは良い兆候だけど、精神的にも肉体的にも非常に慌ただしい日々だった。2025年を祝うイベントは今日が最後。いつバイクに乗れるか少し不安だったけど、医師の診察を受け、順調に回復していることを確認した。最も重要なのは骨が完全に治癒し、靭帯も正しい位置にあることが分かった。まだ100%の体調で走れる状態ではないけど、70~80%の状態からスタートできるくらいには回復している。」
回復期間中の精神状態
「精神的に辛かったけど、タイトルを獲得したことで少しは楽になったかもしれない。肉体的に辛かったというより、精神的に辛かった。2020年以降、4回も同じことを繰り返しているから。それは本当に辛かった。回復したいなら、朝8時に起きてから夜7時まで。毎日回復が前進しているわけではなく、後退する日もある。そこで忍耐力を学び、今年はトラックでそのことを証明した。」
シーズンの評価
「どうだろう。個人的には10点満点中8点だと思う。僕たちは勝利を目指して努力している。誰もが勝利を望んでいる。2027年から2028年を見据えると、それが最も重要なこと。これから2週間、自分の将来について、正しい決断をするために、あるいは自分にとって何が最善なのかを考えるつもり。」
来シーズンの期待
「来年に関しては、最速のバイクが手に入るのは明らか。それが重要だけど、2027年から2028年に関しては、全てが不確実で、よりオープンなものになるでしょう。もちろん、常に何らかの考慮は必要だけど、自分が速く走れれば、満足できていれば、そして勝てれば、動かないように努めていた。最優先事項は速さ。ドゥカティで速さを発揮できるかどうかだけど、多くのことを理解し、自分にとって何が最善かを判断しなければいけない。」
クリスマスの願い
「何も求めない。ただ自分の健康と愛する人たちの健康を願うだけ。勝利は求めない。勝利に向けて努力しなければいけない。健康こそが何よりも大切。」
契約更新の交渉は2月以降
『Campioni in Festa 2025』に出席したドゥカティ・モーター・ホールディングスの最高経営責任者であるクラウディオ・ドメニカリは、注目される現王者マルク・マルケスとの契約更新に言及。「マルクは市場に出ます。明らかに検討すべきテーマです。彼は我々と非常に良い関係を築いており、我々も同様ですが、全てを評価します。長年我々と共に働いてきたペッコ・バグナイアについても同じです。市場は誰にとっても開かれていますが、時期尚早です。2月か3月には動き始めると思います。」
「彼の才能と決意は知っていましたが、あのようなチームワーク力を持つライダーを見つけられるとは思ってもいませんでした。開幕前に誰かと契約するのは必ずしも容易なことではありませんが、今はお互いに同じ願望を持っています。そう単純なことではなく、タイミングにも左右されます。ものごとが上手くいく時もあれば、上手くいかない時もあります。共通の願いはありますが、まだ初期段階であり、全てが上手くいくために必要な要素が全て揃っているわけではありません。」
「我々の哲学は、ペッコ・バグナイアやホルヘ・マルティン、そしてフェルミン・アルデグエルのように、若いライダーの成長を支援することです。同時に、今年のマルク・マルケスのように、あらゆる可能性にオープンです。ペッコがタイトルを初めて獲得した後も同じことを言いましたが、ミハエル・シューマッハとフェラーリのように5年サイクルを始めたい。もっと上を目指したいです。2027年には、その課題に応えられるバイクを投入しなければならないことを承知しています」とライダー市場に対するスタンスを説明した。