ヤマハ発動機が『V4』エンジンを搭載したプロトタイプマシンを公開

データ収集を目的にワイルドカードとして実戦の舞台に初投入し、オフィシャルテストではファビオ・クアルタラロとアレックス・リンスが検証

ヤマハ発動機は、9月11日に第16戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPの開催を前日に控え、ミサノ・ワールド・サーキット-マルコ・シモンチェリのパドックで来季の導入を視野に入れ、開発を進める新しいエンジン仕様『V4』を搭載したプロトタイプマシン『YZR-M1』を初めて公開した。

同時にテストライダーとして、2027年まで延長することを発表したアウグスト・フェルナンデェスがワイルドカードとして参戦し、データ収集を目的に、ヤマハのコーポレーションカラーリングに施されたプロトタイプマシンを初めての実戦の舞台に導入する。

発表会には、ヤマハ発動機モータースポーツ開発部長の鷲見崇宏、ヤマハモーターレーシングマネージングディレクターのパオロ・パヴェジオ、プロジェクトリーダーの増田和宏、テクニカルディレクターのマックス・バルトリーニ、テストライダー兼ライダーパフォーマンスアドバイザーのアンドレア・ドビツィオーソ、テストライダーのアウグスト・フェルナンデェスが出席。

新たなエピソードの始まりを共有し、エンジンとバイク開発の取り組み、ヤマハの新体制、2025のマインドセット、2026年に向けた準備を説明した。

Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor
Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor

鷲見崇宏

「新型『V4』エンジンと完全な新型マシンの開発という壮大なプロジェクトに取り組んできましたが、2025年型マシンの開発と同時進行ということで非常に厳しいものでもありました。こうしたチャレンジには大きなリスクとプレッシャーを伴います。『チームの努力』だけでなく『企業の努力』があって初めて達成できるプロジェクトであり、関係者全員が100%の力を注ぐ必要があります。」

「『V4』プロジェクトには当初から多くの課題があり、依然として開発段階にありますが、ひとつ確かなことは、我々がエビデンスに基づいたアプローチにより、ヤマハを再び勝利へと導くことを目標にしているということ。『V4』エンジン搭載のプロトタイプマシンは、日本とヨーロッパが責任と専門知識を共有する統合的なプロジェクトとなっています。プロジェクトリーダー増田和弘、テクニカルディレクターのマックス・バルトリーニ、ヤマハの技術者、山はファクトリーレーシングテストチーム、テストライダー、テクニカルパートナー、その他すべての関係者のハードワークのおかげで、我々は戦略的ステップを踏み、進歩を実現することができるのです。」

Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor
Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor

「そして、ファンの皆さまのご支援に感謝し、頂点に返り咲くために挑戦する我々の姿を今後も注目し続けていただきたいと思っています。探求はヤマハのDNAの一部です。『V4』エンジン搭載プロトタイプマシンが新たな技術を切り開いていき、最も競争力があると証明されたマシンでレースに臨みます。」

パオロ・パヴェジオ

「『V4』エンジンを搭載するプロトタイプの開発は、日本のヤマハ発動機株式会社、欧州のヤマハモーターレーシング、厳選された技術パートナー、そしてヤマハファクトリーレーシングテストチームの共同作業の成果です。目標達成の成否は最終的にトラック上で決定されますが、私は既に、仕事の進め方を変革する中で我々が揚げたチャレンジ精神、すなわち、より迅速かつ機敏に、そして組織的にも技術的にもグローバルな資産をより積極的に活用する姿勢を誇りに思っています。」

Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor
Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor

「この新たなアプローチにおいて、昨年アンドレア・ドビツィオーソとアウグスト・フェルナンデェスと契約したことは、プラン『V』を実現する上で重要な転換点となりました。プロジェクトの規模、近々に開始予定の『850cc』プロジェクト、そしてタイヤサプライヤーの変更を考慮すると、2人のテストライダーの存在は不可欠でした。彼らの相補的な強みも重要な検討事項でした。アンドレアは、高品質なフィードバックを追求する我々の方針と完全に一致する開発方針をもたらしてくれます。長年トップを走り続けてきた経験と深い技術的専門知識を持つ彼は、我々にとってかけがえのない存在です。 一方、アウグストは、特にテストやワイルドカード参戦での貢献を通じて、アンドレアの仕事をシームレスに補完してきました。最近までフルタイムライダーとして活躍し、今もなお好調の彼は、新型『V4』エンジンとプロトタイプバイクの限界に挑戦する上で重要な役割を果たしています。これらのストレステストは、重要なデータを提供するだけでなく、我々の競争力の実態を明確に把握することに役立ちます。」

「また、この機会に、長年にわたるテストライダーとして尽力してくれたカル・クラッチローに感謝します。 彼は『V4』プロジェクトには関わっていませんが、ヤマハのバイク開発への長年にわたる貢献に深く感謝します。今後、アンドレアとアウグストが2026年と2027年も『V4』プロジェクトの進化における重要な存在として、我々と共に歩み続けることを選択してくれたことを大変嬉しく思います。彼らは『V4』プロジェクトの進化において重要な役割を担い続けるでしょう。今週末のワイルドカード参戦は、ファンの注目を集めるであろう、エキサイティングな新たな章の始まりとなります。」

Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor
Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor

増田和宏

「『V4』エンジンを搭載するプロトタイプマシンの開発は、体系化された段階的な計画に沿って進めてきました。これまでにダイナモテストを完了し、次に路面との相関試験を行い、今回は実際の環境下でストレステストを実施します。」

「次のステップとしては、月曜日にファビオ・クアルタラロアレックス・リンスがデータ量拡大のためにテストを行います。プライベートテストの詳細を明らかにすることはできませんが、プログラムに沿って、各段階とも最大限の注意を払って進めています。」

「また包括的かつ規律的なアプローチで、あらゆる側面も見落とさないことを徹底しており、現段階では、我々の期待通りに進捗しています。今週末と月曜日がすべて順調に進めば、さらに次の段階としてセパンやバレンシアでのテストも考えています。」

Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor
Yamaha V4-powered prototype, Yamaha Motor

マックス・バルトリーニ

「我々のチームはパワーデリバリー、シャーシバランス、そして空力をシステムとして調整した、一貫性のあるパッケージを設計しました。今週末の焦点は、パフォーマンスベンチマークではなく、実際のグランプリの条件下での運用学習にあります。我々の主な目標は、中核となる仮定を検証し、高品質なデータを収集し、次の段階である反複に役立てることです。長期的な目標は、2026年シーズンに向けて競争力のある『V4』プラットフォームを維持することですが、最終的な決定は、2025年プログラム終了時の成果評価に基づいて行われます。この取り組みは、技術的選択肢を広げ、学習曲線を加速させ、将来に向けて情報に基づいた決定を下せるようにするために戦略的なアプローチです。」

アンドレア・ドビツィオーソ

「マレーシアでの最初のテスト走行以来、このプロジェクトは非常にポジティブな感触を与えてくれました。『V4』エンジン搭載のプロトタイプを試乗した瞬間から、直ぐに気に入りました。走行を重ねるごとにフィーリングが向上し、常に大きなポテンシャルを感じていました。もちろん、まだ改善の余地はありますが、これまでの兆候は非常に励みになります。我々は素晴らしい進歩を遂げることができたと確信しており、テストライダーとしての役割を本当に楽しんでいます。ヤマハのエンジニアたちとは素晴らしい連携をとっており、強い信頼関係を築き、一歩一歩理解を深めています。アウグスト・フェルナンデェスとの関係にも大変満足。我々は非常に上手く連携できており、フィードバックも非常に良く共有しています。彼とのコラボレーションは、満足感と喜びの両方を与えてくれます。彼が新しいバイクでレースをするところを見るのが本当に楽しみです。」

Augusto Fernández, Yamaha Factory Racing Test Team
Augusto Fernández, Yamaha Factory Racing Test Team

アウグスト・フェルナンデェス

「新しいバイクでレースに出走できることが本当に楽しみ。ヤマハにとって、このような大きなプロジェクトに携われ、そして新しいバイクで最初にレースに出走できることを光栄に思う。今週末は、『V4』エンジン搭載のプロトタイプマシンの改良に集中し、他のライダーたちとリアルタイムでレースを体験しながら、その長所と短所を明確にしていく。自分たちの立ち位置を確認する重要な週末になるだろう。このグランプリには本当にワクワクし、スタートが待ちきれない。」

週明けの月曜日に当地で開催されるオフィシャルテストでは、ファクトリーチーム、モンスターエナジー・ヤマハに所属するファビオ・クアルタラロアレックス・リンスが『V4』搭載のプロトタイプマシンを検証する。

 

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