トラックハウス・レーシングのラウール・フェルナンデェスは、第19戦オーストラリアGPのティソ・スプリントで1ラップ目の3コーナーで1番手に飛び出してレースの主導権を握り、10ラップ目マルコ・ベッツェッキに抜かれたが2戦連続の表彰台、自己最高位となる2位を獲得。
グランプリレースは、2列目4番グリッドからスタートで2番手、3番手3番手、4ラップ目2番手、5ラップ目1番手に浮上。7ラップ目、8ラップ目、10ラップ目に1分27秒台を刻んで、2番手に1.6秒差のアドバンテージを広げ、プレミアクラス76戦目で初優勝、初表彰台を獲得。
中量級に参戦した2021年11月の最終戦バレンシアGP以来となるキャリア通算14勝目を挙げ、トラックハウス・レーシングに初優勝、アプリリアにチャンピオンシップ通算300勝をもたらし、総合11位から10位に浮上した。
「信じられない。長い道のりを経て、ようやく何かを見つけることができた。チーム全員が常に僕を信じてくれて、サポートを惜しまなかった。これはこれまでの努力の成果。最後まで何とかしようと努力した。特にリアタイヤで何とかすることが重要だった。最後の5ラップは永遠のように感じた。」
「最後の数ラップは非常に長く感じたけど、レースに向けて明確な計画を立てていた。勝てるとは思っていなかったけど、少し運が良くて、全てを上手くコントロールできれば、表彰台を争えると思っていたけど、レースが始まると、とても良い感じがあり、タイヤをしっかり温めることができた。何よりも、ペドロ・アコスタとのやり取りで熱くならなかった。彼はかなり滑っていたから、前に出て1分37秒台を出せば、彼はペースを少し落とすことが分かっていた。」
「一緒に働き、沢山の悪い時期も良い時期も、望んでいた結果を得られないときも、一緒にいてくれたチームと家族に感謝したい。今は感謝の言葉しかない。彼らのおかげで困難な時期を乗り越えることができた。弟は僕にとって最も大切な存在であり、支えてくれる存在でもある。彼のおかげで、今の僕がここにいる。レース前に僕のところに来て、『今日は僕の日になるから、楽しんで』で行ってくれた。その通りになった。」
レース終盤
「フィリップアイランドで勝つことは、全てのライダーの夢だと思う。本当にビックなこと。 グランプリウィナーだということを受け入れなければいけない。これほど競争力があったのは何年も前のこと。ラップタイムを気にせずに、セクターを確実にこなし、できる限り一貫した走りになることを心掛けた。最後の3~4ラップは3秒ほどリードしていたから、息を整え、落ち着いて、ミスを犯さないようにしようと決めた。」
「左腕にかなり負担がかかっていて、自分でも怖くなったラップがあった。ティアオフを外したとき、ハンドルを握ることができなかった。片手でブレーキをかけなければいけなかった。そこでコンマ3秒ほど遅くなったことに気づき、深呼吸をして『落ち着こう』と自分に言い聞かせた。アレックス・マルケスとのギャップをそれほど失わなかった。大型画面でファビオ・ディ・ジャンアントニオが近づいて来ているのを見たので、少し心配だったけど、3秒差があり、タイヤが大きく落ちないと追いつくのは少し難しい。最後までなんとかやり遂げることができた。」
左腕
「気流が強くてハンドルを掴めなかった。ティアオフを外そうと、ハンドルから手を離したら、握り返すことができなかった。フェアリングはだんだん小さくなり、ほとんどカバーしてくれない。ハンドルを掴もうとしたとき、それは難しかった。残り4ラップというところで、緊張が張り詰めた。ミスを犯したくなかったけど、あんなことが起きてしまった。」
レースコントロール
「完全ではなかった。昨日のスプリントでタイヤが消耗してしまったから、とにかく、生き残ることを考えた。ペドロ・アコスタを追い越したら勝てるかもしれないと想像し始め、マルコ・ベッツェッキがロングラップを始める前に追い上げ始めた。落ち着きを保ち、浮かれすぎないように心掛けた。生き残った。」
苦悩と疑念
「『MotoGP™』を続けるかどうかではなく、何よりも幸せでいることに重要を置いた時期があり、良い時間を過ごせていなかった。そんな時こそ、人間的な側面が重要になる。僕にとって難しい局面を迎えたのを覚えている。ヘレスのレースの後、チーフメカニックとパーソナルコーチと一緒にピザを食べに行き、『明日、この状況が好転すればそれでいい。そうでなければ、解決策を見つけなければいけない。僕は幸せじゃないし、ものごとが上手く行かないから。朝、笑顔で起きることさえできない。人生で一番大切なことは笑顔で起きることだと思うのに、それができない』と伝えた。」
「彼らは僕を支えてくれ、落ち着きをもたらしてくれた。ダビデ・ブリビオも家族もそうしてくれた。彼らの存在は大きかった。基礎を築いていく必要があった。それは家を建築するようなもの。早く建てようとすればするほど、早く崩れてしまう。僕たちは少しずつ基礎を築いていくことにしたけど、正直、今年中にこの瞬間が来るとは思ってもいなかった。」