オフィシャルウェブのシリーズ企画『Workshop(ワークショップ)』は、昨年末にアプリリア・レーシングのテクニカルディレクターに就任し、プロトタイプマシン『RS-GP』の開発を指揮するファビアーノ・ステルラッキーニを招待。
ティソ・スプリントで3勝を含む7度の表彰台、グランプリレースで2勝を含む8度の表彰台を獲得し、コンストラクター部門で過去最高位の総合2位に進出するシーズンの技術進化を分析し、ライダーとバイクを評価した。
「現時点で、ここ数戦で、我々は明らかにかなり良いパフォーマンスを発揮しました。確かに我々は幾つかのステップを踏み、幾つかの改善を果たしましたが、我々は地に足をつけなければいけません。」
「新しいライダーたちを迎え、新たな道を歩み始めることができると思います。マルコ・ベッツェッキをはじめとするノアーレとサーキットのスタッフ全員の素晴らしい仕事のおかげで、我々は向上に努めています。バイクの改良に関して大きな進歩を遂げました。我々は作業を続け、現状に十分満足できるはずだと信じています。例えば、前回のレースでは何も見つけられなかったのに、今回は何かを見つけることができたとしたら、まだ改善の余地があると言えるでしょう。つまり、まだ改善の余地があります。」
開発を担うマルコ・ベッツェッキの能力
「マルコはプロジェクトの開発を全て担っています。もちろん、ロレンソォ・サバドーリやトラックハウス・レーシングのライダーたちといった他のライダーからも重要なサポートを受けていますが、パーセンテージで言えば、彼の貢献は3~4倍は大きいと言えるでしょう。彼の仕事ぶりや集中力は実に素晴らしい驚きでした。私にとって彼の決定的な違いの1つは、まるでフィルムのように情報を吸収する力を持っていることです。彼は直ぐに行動に移します。ミーティングでは何度も彼のレースへのアプローチについて話し合い、彼は我々が求めていたことを実行してくれました。タイトル候補になれるかどうかは様々な状況に左右されますが、彼がそれを成し遂げるためのスピード、姿勢、アプローチ、そして集中力を備えていることを世界にも、そして我々にも示したのは確かです。」
困難な状況に陥ったホルヘ・マルティン
「ホルヘの状況は、学習の過程で何度か中断したことや、マルコが絶好調だったシーズン中に復帰したことなどから、明らかに非常に困難な道のりでした。彼のように非常に才能のあるライダーで、ワールドチャンピオンでもある彼にとって、回復するために闘わなければいけないという事実を受け入れるのは容易なことではありません。」
「ミサノでのテストは、エルゴノミクスの観点からも、またバイクのベースを見つけるという点でも、非常に興味深い仕事でした。というのも、このスポーツでは、我々のフォーマット上もそうですが、フリープラクティス1から非常に競争力を発揮することが非常に重要だからです。そして、日本に到着しました。」
「彼が肩に問題を抱えていることを知ったとき、日本から泳いで帰国したかったほどでした。またしても道のりのスタート地点だったことから、本当に動揺してしまいました。今はただ、ホルヘが2026年に向けて、最大限100%に近いパフォーマンスを発揮できるようになることを目指しています。冷静さを保ち、最初の段階での苦しみを受け入れつつも、着実にパフォーマンスを高めていく必要があります。何らかの理由で1レースだけに集中するのではなく、確実に結果を出す必要があります。」
トラックハウス・レーシングへの供給
「現時点でファクトリーチームと全く同じマテリアルを使用しています。シーズン中はタイミングとレース中およびレース後にコンポーネントをテストする機会の都合で、エアロパッケージと新しいデバイスの導入に若干の遅れが生じましたが、現状、トラックハウス・レーシングは完全に我々と足並みを揃えています。」
ダブルポディウムを達成したオーストラリアGP
「ラウール・フェルナンデェスのパフォーマンスの結果は、道のりの終着点とは言いたくありませんが、シーズンを通して明らかに進歩を遂げました。我々は着実に進歩しており、今は本当に良い地点に到達しました。どのレースでも少なくともトップ5、4位から7位以内に進出できると思います。」
技術面のさらなる飛躍
「2025年プロジェクトの最終年となる2026年には、バイクの性能向上がさらに一歩前進することを期待しています。さらに興味深い進歩を遂げられる可能性を排除しませんが、1つはシミュレーションが可能になること、もう1つはトラック上でコンポーネントをテストし、ライダーからのフィードバックを得ることです。これは我々が取り組んでいることですが、確実な解明する必要があります。」