第21戦ポルトガルGPのプレスカンファレンスは、11月6日にアウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェのプレスカンファレンスルームで開催され、アレックス・マルケス、ジョアン・ミル、ミゲール・オリベイラが出席。2週間前にペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットで開催された第20戦マレーシアGPを振り返り、明日開幕するシーズン21戦目の期待と抱負を語った。
アレックス・マルケス
「誰も僕が優勝候補だなんて言ってくれないから、プレッシャーは少ない(笑)。冗談はさておき、週末のスタートが楽しみ。全員がシーズンを良い形で、良いフィーリングで終えたいと思っているから、週末に向けて全力を尽くす必要がある。特に総合2位を獲得したことで、少し自由に走ることができ、より良い形でものごとを進められそうだ。ベストを尽くそう。」
「確かにポルティマオは大きなチャレンジングなトラック。高低差や高速コーナーを攻めるには、バイクのフィーリングが重要。良い週末にするために、金曜日に良いスタートを切りたい。」
「良い意味でシーズンを良い形で締め括り、ポルトガルとバレンシアで2026年シーズンに向けた準備を始めるから、僕たちが目指すのは、上位争いに加わり、堅実な走りをして、ミスを犯さないこと。チャンピオンシップで何かを狙っているわけではないから、多少のリスクを負うことができるのは事実。僕たちがすべきことは週末を楽しんで、全力を尽くすこと。」
「まだマルクと一緒に祝っていない。セルベラで11月22日に開催するイベントに向けてエネルギーを蓄えているところ(笑)。僕たちが達成したことに満足しているし、盛大な祝勝会になることは間違いないけど、まずは集中力を保たないといけない。あと2戦が残っている。」
ジョアン・ミル
「このトラックへの期待は、セパンよりも少し高いのは事実。セパンは歴史的に僕たちが苦戦するトラック。そこで良い週末を過ごせたから、なぜここでできないのだろうか?スペシャルなトラック。ブラインドコーナーが沢山ある。ここで走るには自信が必要。」
「今シーズン、僕たちの自信は最高レベルにあり、今は一貫性を見出すことが重要。僕たちは速いけど、一貫性を見つけなければいけない。レースを通して120%の力でアタックを続けることは不可能。もう少し落ち着いて、余裕を持って走れるように、その点を改善する必要がある。」
「価値のある何かを勝ち取るために戦うという選択肢があるとき、必ず何かを犠牲にする。今、僕たちには無意識のうちに何かが起こっているのだと思う。気分が良いからこそ、より多くの力を発揮できる。完璧な週末を過ごせれば、きっと良い結果が得られると分かっている。僕たちを楽しんで観てくれると嬉しい。僕も楽しんでいるけど、一貫性を保つには、おそらくペースを少し落とす必要があるだろう。」
「ホンダは今後も進歩を続けることができる。もし将来的に譲歩がないとしたら、それは僕たちが値するから。そしてそれが現実。正直なところ、速くなるために何をすべきか分からなかった時期があった。今、ついに正しい道を見つけた。道のりは長いけど、懸命に努力し、できる限りのことをすれば、現在の技術パッケージをさらに改善できると考えている。」
「僕たちは正しい道を進んでいる。確かに譲歩は重要な役割を果たしており、近年はそうしてきたけど、もし譲歩がなくなったとしても、それは良いニュースに他ならない。」
「確かに、以前は最高速度と加速が不足していた。それが抱えていた欠点の1つだった。最高速度だけでなく、パワーデリバリー、トルク、エンジンの仕組みなど、多くの点で改良を重ねてきた。昨年と比べて、これが最大の進歩だと考える。」
「今年の初めには、バイクのパフォーマンスは前のシーズンと比べて大幅に向上した。その後、シーズン中に幾つかのアップグレードがあり、バイク全体のパフォーマンスを向上させ、細部への取り組みをさらに進めたけど、最も大きな飛躍は2024年末から今シーズンの初めにかけて起こった。」
ミゲール・オリベイラ
「あらゆる面で、本当に謙虚な気持ちになった。何事も当然のことなどないから。長期的なパートナーシップを築くという展望を持って、この仕事に臨んだけど、もちろん僕自身もバイクにも時間が必要だと分かっていた。怪我については、予想以上に時間がかかったため、本当に驚きだった。数週間で復帰できるような即効性の怪我ではなかった。そのせいで、バイクに慣れ、限界まで乗り込むのが遅れてしまった。」
「来年も参戦するために全力を尽くしたと自覚しているからこそ、この状況について、憤りや後悔を抱く必要はない。たとえそれが最終的に不十分だったとしても。ベストを尽くしたと自覚しているからこそ、憤りや後悔の念を抱いて、この状況を見るべきではないと思う。結局のところ、僕が最終に感じなければいけないのは、ここに留まるために最善を尽くしたけど、その最善だけでは不十分だったということ。」
「フルエントリーライダーとして復帰する道を閉ざすつもりはないけど、現時点では、僕にはそのチャンスはないから、僕がすべきことは、来シーズンと今週末に実際に何ができるかに集中すること。未来はまだ開かれている。全てのライダーの目標は、勝てる競争力のあるパッケージに到達することだと思う。」
「このサーキットを訪れるたびに、ここで勝ち取った勝利へのノスタルジーを懐かしく思う。もちろん、毎年、同じ夢を見るけど、毎年異なる課題や困難が待ち受けている。今年も例外ではない。地元のファンの前で『MotoGP™』に参戦できることは大きな喜び。グリッド上で唯一のポルトガル人として参戦できることは、さらに大きな励みになる。いつものようにベストを尽くすけど、今年はいつも以上に力を発揮できるかもしれない。」
「『MotoGP™』ではあまり勝てなかったけど、間違いなく最高の瞬間の1つだった。たった5勝と言いたいところだけど、『MotoGP™』では、たったというのは非常に相対的な言葉。特に最近のレースでは勝つことは簡単ではないけど、ポルトガルに『MotoGP™』が戻ってきて、最初のレースで勝てたことは、間違いなく僕のキャリアで最高の瞬間の1つだった。」
負傷代役
Moto2™
サマーブレイク中のトレーニングアクシデントで左足のくるぶしを骨折したデニス・オンジュは、スペイン・バルセロナ市内の病院で検査を受けた結果、出走不可となり、レッドブル・KTM・アジョは第13戦オーストリアGPから起用されるダニエル・ムニョスを継続。
左前腕に問題を抱えていたダーリン・ビンダーは尺骨を手術したことからイタリジェット・グレシーニ・レーシングは来季起用するセルジオ・ガルシアを終盤に2戦に起用。
OJモーター-フリンサ-MSIは、双方合意の下で契約を終了したセルジオ・ガルシアとの後任として、第13戦オーストリアGPから起用していた『Moto2™欧州選手権』総合1位ウナイ・オラードレを起用していたが、第9戦イタリアGPから第12戦チェコGPまで起用していた『Moto2™欧州選手権』総合6位エリック・フェルナンデェスを再度招集。
第20戦マレーシアGPのフリープラクティス1で転倒したジョー・ロバーツは、帰国した際に検査を受けた結果、左手首の骨折が判明。治療と早期回復を最優先することで、終盤2戦に欠場することになり、オンリーファンズ・アメリカン・レーシングはジュニアチームから『Moto2™欧州選手権』で起用する総合5位チャビ・スルトゥサを代役に指名。
『Moto2™欧州選手権』で総合9位に進出するアレッサンドロ・モロシがワイルドカード参戦。
Moto3™
第17戦日本GPのプラクティスで転倒した際に左手の小指を骨折した山中琉聖は、第20戦マレーシアGP後に手術を受けたことから第21戦ポルトガルGPを欠場することになり、フリンサ-MTヘルメット-MSIは来季起用するハキム・ダニッシュを代役として招集。
ホンダ・チーム・アジアから来季『Moto3™』に昇格する三谷然は、今週末からの終盤2戦に肩の治療に専念するタットチャコーン・ブーシュリに替わって参戦。
肺炎が原因で第19戦オーストラリアGPからの2戦に欠場したデニス・フォッジャが復帰。CFモト・アスパル・チームからデニス・フォッジャの代役を務めていたジュニアチームに所属する『ジュニアGP™世界選手権』総合4位のジョエル・エステバンは、前戦で転倒した際に左手を骨折したヤコブ・ルールストーンの代役としてレッドブル・KTM・テック3から参戦。
昨年手術を受けた左膝の炎症が再発したことから、本来のパフォーマンスを発揮できない状態が続いていたリッカルド・ロッシは検査の結果を受け、回復に専念することになり、リバコールド・スナイパーズ・チームは代役として『ジュニアGP™世界選手権』総合6位のヘスス・リオスを残り2戦に起用。
第18戦インドネシアGPで左脚の大腿骨を骨折したダビド・ムニョスの代役は、第19戦オーストラリアGPからブライアン・ウリアルテが起用されていたが、リキモリ・ダイナボルト・インタクトGPは『ジュニアGP™世界選手権』総合5位のケーシー・オゴーマンを招集。
前戦マレーシアGPのサイティングラップで発生したインシデントで右手を骨折したホセ・アントニオ・ルエダとスイス・チューリッヒの病院に転院するノア・デットワイラーは欠場。第18戦インドネシアGPでタイトルを獲得した王者ホセ・アントニオ・ルエダの代役には『レッドブル・ルーキーズ・カップ』と『ジュニアGP™世界選手権』を制し、来季レッドブル・KTM・アジョからの参戦が計画されているブライアン・ウリアルテが指名され、CIP・グリーンパワーは代替を起用しない。