サマーブレイク明け、後半戦の緒戦となる第10戦オーストリアGPは、レッドブル・リンクで12日に開幕、14日に決勝レース(日本時間21時00分)が行われ、ポイントリーダーのマルク・マルケスが、事前テストを実施したライバルたちとの挑戦を受ける。
1969年、オーストリアの第2の都市グラーツから北西に約100キロメートルに位置するシュピールベルクの緑美しい丘に建設されたサーキット、エ ステルライヒリンクで1996年、1971年から1994年まで、24年間で22回開催されたザルツブルクリンクに替わって、グランプリを初開催すると、 改修工事を機に名称をA1リンクに改名し、1997年に2度目の開催。
2004年にザルツブルの清涼飲料水メーカー、レッドブルがサーキットを買収。2010年に騒音問題などで地元環境保護団体からの反発に遭い、廃墟と化していたサーキットの再建を決定すると、名称をレッドブル・リンクに改名し、2011年に再開業。2014年11月8日、レッドブルとドルナスポーツとの間で、2016年の開催に関して合意していた。
前半戦最後となった前戦ドイツGPで今季3勝目を挙げたマルケスは、第7戦カタルーニャGP後、総合4位のダニ・ペドロサと共に当地を訪問。プロモーションビデオの撮影のため、市販車のRC213V-Sに乗り込み、レイアウトを把握する絶好の機会となった。
前戦後に当地で実施されたプライベートテストで、ホンダのファクトリーライダーたちが不在の中、前戦で今季の最高位2位を獲得した総合14位のカル・クラッチローは、HRCのテストプログラムを実行。トップタイムから1.215秒差の総合11番手だったが、「ラップタイムは、時間帯を考えれば心地よい驚き」と、テストを評価。
総合2位のホルヘ・ロレンソは、第7戦カタルーニャGPからの接触転倒、10位、15位の悪い流れを後半戦の緒戦で断ち切るため、初めて訪れた当地で、レイアウトを理解しながら、M1のセッティングを進めると、0.954秒差の総合6番手。「スピードテストはハード。ライバルたちはブレーキングでの安定感、加速、トップスピードで大きなアドバンテージがある」と、困難な展開になることを示唆。
総合3位のバレンティーノ・ロッシは、フル参戦1年目の1996年にキャリア初表彰台を獲得した当地を19年振りに訪問。M1のセッティングに専念すると、0.929秒差の5番手。「トップスピードに苦戦。ライバルたちは非常に速い」と、チームメイトと同調。
プライベートテストで圧倒的な速さを見せたのは、ドゥカティ勢。総合8位のアンドレア・イアンノーネと総合9位のアンドレア・ドビツィオーソは、総合1番手と2番手に進出。総合3番手に進出したテストライダーのケーシー・ストーナーは参戦しないが、もう1人のテストライダー、ミケーレ・ピロをワイルドカードとして招集。万全な準備を整え、2010年10月の第16戦オーストラリアGP以来となる優勝に向けて現実味が帯びてきた。
総合5位のマーベリック・ビニャーレスと総合11位のアレイシ・エスパルガロは、ヤマハ勢に次ぐ総合7番手と8番手。2日間で収集したデータを参考に上位陣とのタイムギャップを詰めたいところ。
インディペンデントチームライダー部門では、総合6位に進出するポル・エスパルガロが鈴鹿サーキットで開催された世界耐久選手権シリーズ第3戦、鈴鹿8時間耐久ロードレースで2年連続の優勝に貢献。好感触を掴んで後半戦を迎えれば、チームメイトのブラドリー・スミスは、市販車を準備して、中量級&軽量級のプライベートテストに合流。レイアウトを理解することに努めた。
プライベートテストで存在感を見せたのは、前戦で自己最高位となる2番グリッドを獲得した総合7位のエクトル・バルベラ。ドゥカティのファクトリー勢に続く総合4番手に進出すれば、2戦連続して上位に進出した総合12位のスコット・レディングは総合9番手。
来季の移籍市場に関しては、総合15位のステファン・ブラドルがスーパーバイク世界選手権への転向を発表。総合17位のアルバロ・バウティスタは、アスパル・チームと大筋で合意。詳細を詰めていることから、アスパル・チームの1枠と内定しているバルベラのチームメイト、アビンティア・レーシングの1枠に注目が集まる。