チャンピオンシップ68年目の2016年、電子制御(共通ソフトウェア)の導入、オフィシャルタイヤサプライヤーの変更、気象状況など幾つかの要因で、9人が優勝を挙げる歴史的なシーズンが演じられた後、2017年は、前半戦が終了した時点で、歴史的な接戦が展開され、上位4人が僅か10ポイント差、5人が26ポイント差に接近。
オープニングランドの開幕戦カタールGPで優勝を挙げたのは、スズキからヤマハに移籍した22歳のスペイン人ライダー、マーベリック・ビニャーレス。昨年11月のオフィシャルテストから連続して総合1位に進出して来た速さで、序盤2連勝を達成すれば、第3戦アメリカズGPを制したのは、24歳のスペイン人ライダー、マルク・マルケス。初開催の2013年から5年連続となるポール・トゥ・ウインを達成し、アメリカにおける絶対的な強さを誇示。
ヨーロッパウンドの緒戦となった第4戦スペインGPを飾ったのは、31歳のスペイン人ライダーのダニ・ペドロサ。キャリア2年目の2002年から16年連続となる優勝を挙げれば、第5戦フランスGPでは、ビニャーレスがシーズン3勝目。シーズン初の2連勝となった第6戦イタリアGPと第7戦カタルーニャGPで主役を飾ったのは、31歳のイタリア人ライダー、アンドレア・ドビツィオーソ。イタリアアンバイクを駆けるイタリア人として、初めて地元ムジェロ・サーキットで歴史的な優勝を挙げ、バルセロナ‐カタルーニャ・サーキットでは地元スペイン勢を抑え、キャリア16年目で初の2連勝を達成。
チャンピオンシップ初開催の1949年から唯一毎年開催される伝統の舞台、TTアッセン・サーキットで開催された第8戦TTアッセンでは、チャンピオンシップ最年長、38歳のイタリア人ライダーが19戦ぶりに優勝を挙げ、最高峰クラス89勝目、キャリア通算115勝目に到達。前半戦の締め括りとなった第9戦ドイツGPでは、マルケスがシーズン2勝目を挙げ、2010年から8年連続となるポール・トゥ・ウインで、歴史的な記録を刻んだ。
前半戦で5人が優勝を挙げた一方、ファクトリーサポートを受けるカル・クラッチローとダニロ・ペトルッチ、ヤマハからドゥカティに移籍したホルヘ・ロレンソ、中量級から昇格してきたヨハン・ザルコとジョナス・フォルガーが表彰台を獲得。
KTMの新規参戦により、6メーカーが揃ったコンストラクターズ部門は、2年ぶりとなるタイトル奪回を狙うヤマハが首位。2連覇を目指すホンダが18ポイント差、2007年以来2度目のタイトル獲得に挑戦するドゥカティが32ポイント差で追う。
チャンピオンシップは、4週間のサマーブレイクを経て、ブルノ・サーキットこと、アウトモトドローム・ブルノで後半戦の緒戦となる第10戦チェコGPで再スタートする。