最高峰クラスは、最終戦バレンシアGP後、12月1日から2か月間のテスト禁止期間を前に、年内で初めて2度のオフィシャルテストを実施。参戦を予定する11チームは、2月6日のオフィシャルテスト、3月10日の開幕戦カタールGPを視野に入れ、19年体制で始動した。
ホンダ
18年に3冠を達成したホンダは、王者マルク・マルケスがダニ・ペドロサの引退、カル・クラッチローの負傷により、今年は1人で19年型の仕様を決定するテストプログラムに着手。12月上旬に脱臼癖がある左肩を手術することから、転倒回避が必須だったが、2台の18年型を含めた5台のマシンに乗り込み、バレンシアで78ラップ、ヘレスで106ラップを周回して連続総合3番手に進出。最初のテスト終了後には、「既に18年型のレベルに到達している」と評価すれば、新加入のホルヘ・ロレンソは、18年型から乗り始め、19年型のプロトタイプマシンを試乗する機会があり、10月に手術を施した左手首がまだ完治していないにも関わらず、ヘレスでは0.160秒差の総合5番手に躍進。
サプライズだったのは、2年目に向けて始動した中上貴晶。バレンシアで0.547秒差の総合8番手に進出すると、ヘレスでは初めて最速時計を刻んで総合1番手に浮上。17年型から18年型へのスムーズな乗り換えを見せた。
ドゥカティ
ライダー部門、コンストラクター部門、チーム部門で総合2位を獲得したドゥカティは、アンドレア・ドビツィオーソ、ダニロ・ペトルッチ、ジャック・ミラー、テストライダーのミケーレ・ピロ、代役のアルバロ・バウティスタが分担して、エアロダイナイックスパッケージなどのテストプログラムに取り組み、ドライコンディションで10年以上も優勝から遠ざかっているバレンシアとヘレスで安定して上位に進出。
18年型を初走行した中量級王者のフランセスコ・バグナイアは、連続して新人勢の最高位となる総合11番手と9番手に進出すれば、まだ松葉杖なしでは歩行ができないティト・ラバットは、18年型の戦闘力を歓迎。
ヤマハ
欧州におけるテストチームの結成とジョナス・フォルガーのテストライダー就任の発表で始まったオフィシャルテストは、課題に挙げていたエンジンのテストに専念。マーベリック・ビニャーレスは、エンジンブレーキが改良され、パフォーマンスが向上したことを喜び、総合1番手と4番手に進出すれば、バレンティーノ・ロッシは、18年に使用したエンジン、エンジンブレーキが改善されたスペック1、加速が改善されたスペック2に対して、それほど違いがないことを訴え、特にタイヤが消耗したときのパフォーマンスが課題であることを改めて強調。
ホンダからヤマハに乗り換えた新人王のフランコ・モルビデッリは、4日間連続して6番手に進出。テストデビューしたファビオ・クアルタラロは、最終日にラップタイムが伸びて総合12番手に浮上した。
スズキ
9度の表彰台獲得でコンセッションの資格を失い、エンジンの開発制限と基数制限が適用されることから、11月上旬にツインリンクもてぎでプライベートテストを実施したテストライダーのシルバン・ギュントーリを2度のオフィシャルテストに招集。アレックス・リンスと共にエンジンとシャーシの比較テストを実施。「全ての分野でよりポテンシャルがある。スズキは大変良い仕事をした」と、リンスが戦闘力の向上に手応えを見せれば、新人ジョアン・ミルは、乗り換え作業を進めながら、パーツのテストにも着手。
KTM
デビュー戦となった16年11月の最終戦バレンシアGPから2年後に初表彰台を獲得した直後、サテライトチームを加えた2チーム4台体制をスタート。ヨハン・ザルコとハフィス・シャリンはヤマハからの乗り換え、ミゲール・オリベイラは中量級からの適応により、ポル・エスパルガロがシームレストランスミッシュンを含めた複数のニューパーツや電子制御を中心としたテストプログラムを担当。来年には、テストライダーのミカ・カリオが負傷から復帰。ダニ・ペドロサが合流する。
アプリリア
飛躍の5年目を目指し、ドゥカティとスズキを走らせた経験があるアンドレア・イアンノーネをアレイシ・エスパルガロのチームメイトに指名。さらに、ヤマハとKTMの走行経験があるブラッドリー・スミスを中心としたテストチームを結成。コンセッションのアドバンテージを最大限に利用して、開発作業を進めて行く。
最高峰クラスに参戦するファクトリーは、2月1日から3日間、セパン・インターナショナル・サーキットでシェイクダウンテストを実施。11チームは4日に集結して、6日から3日間のオフィシャルテストを行う。