『MotoGP™クラス』プレビュー~72年目のシーズンがスタート

王者マルケスを中心としたドビツィオーソ、ビニャーレス、リンス、クアルタラロ、ロッシらのタイトル争いが4か月遅れで幕開け。

第2戦スペインGPは、ヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで7月17日(金)に初日、19日(日)に決勝レースを開催。7月15日(水)には、オフィシャルテストが予定され、90分間のセッションが2度実施される。

1949年に初開催されたチャンピオンシップは、今年で72年目。技術規則の変更により、2002年にカテゴリーの名称を『500ccクラス』から『MotoGP™クラス』に改名してから19年目を迎え、開幕戦カタールGPがキャンセルされたことから、第2戦スペインGPが最高蜂クラスの緒戦に指名された。

2006年以来14年ぶりにオープニングレースの舞台となるヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで7月に開催されるのは初めて。降水確率0%、気温が40度近くまで上昇することが予報されている。

6メーカー、11チーム、22名のトップライダーたちは、3月22日から3日間、ロサイル・インターナショナル・サーキットで実施した今年2度目のオフィシャルテスト以来、20週間ぶりに再集結。昨年11月の最終戦バレンシアGP以来35週間ぶりのレースを迎える。

2019年に全19戦で12勝を含む18度のトップ2入りを果たし、4年連続6度目のタイトル獲得に成功したマルク・マルケスは、11月27日にバルセロナ市内の大学病院で脱臼癖を解消するために右肩を手術。オフィシャルテストでは総合13番手と7番手だったが、シーズンが開催されない間に完治したことから、万全の状態で昨年優勝を挙げたヘレスに乗り込む。

マルケス兄の右肩が万全でなかったことからテストを任される形となった総合9位のカル・クラッチローは、セパン・インターナショナル・サーキットでのオフィシャルテストで総合2番手に進出。ロサイル・インターナショナル・サーキットでのオフィシャルテストでは、2日目にテスト初転倒を喫したが、3日目は情報提供を目的に70ラップを周回。来季の去就に注目が集まる。

最高峰クラス3年目に賭ける総合13位の中上貴晶は、昨年6月の第8戦TTアッセンで接触転倒した際に負傷した右肩を10月29日に船橋市内の病院で手術。101日後から走行を始め、まだ完治していないことから、HRCから供給されたチャンピオンマシンのテストプログラムを十分に消化できなかったが、2度目のオフィシャルテストでは3日間で117ラップを周回。最終日には肩の状態とバイクのフィーリングが良くなったことを確認。休止期間には、リハビリだけでなく、フィジカルコンディションの向上を図った。

中量級王者として最高蜂クラスにデビューするアレックス・マルケスは、今年最初のオフィシャルテストでは新人勢最高位の総合18番手に進出。2度目のオフィシャルテストでは初日に2度目の転倒を喫し、体調を崩していたことも影響して総合21番手だった。

プレシーズンで速さを見せたヤマハ勢の先陣に立つのは、総合3位のマーベリック・ビニャーレス。11月に開催されたバレンシアでのオフィシャルテスト、ヘレスでのプライベートテストで総合1番手に進出。2020年型が供給されたセパンでのオフィシャルテストでは1日目に転倒を喫したが、徹底的な走り込みとペースを追求して総合16番手に後退したが、ロサイルでは最速ペースと最速ラップを刻んで総合1番手に再浮上した。

最高峰クラス21年目迎える総合7位のバレンティーノ・ロッシは、セパンで総合5番手。ロサイルでは1日目7番手、2日目9番手。3日目はテスト初転倒を喫した後、ロングランにトライしたが、「昨年と非常に似たタイヤの問題が発生してから、残念ながらスローダウンを強いられた」と、連続11ラップ後に減速して走行を中断したことを説明。不安を抱えた状態でテストを終了していた。

最高峰クラス1年目に総合5位に進出して新人王に輝いたファビオ・クアルタラロは、21年からのファクトリーチーム入りが決まり、セパンの2日目からファクトリースペックのバイクが供給されると、総合1番手に進出。ロサイルでは総合3番手に後退したが、レースシミュレーションでは最速ペースで周回を重ね、昨年ポールポジションを獲得した当地に乗り込む。

ヤマハで唯一Aスペックマシンが供給される総合10位のフランコ・モルビデッリは、セパンでは総合14番手だったが、ロサイルでは総合2番手に浮上。レースシミュレーションでも戦闘力の高さを証明した。

11月のオフィシャルテストから徹底的に比較テストを繰り返し、確実に戦闘力を高めてきたスズキは、総合4位のアレックス・リンスが総合6番手、3番手、3番手、4番手に進出。2年目迎える総合12位のジョアン・ミルは総合5番手、5番手、11番手、6番手。開幕に向けて着実に準備を進め、休止期間中に契約更新を済ませ、レースに集中する環境を整えた。

ドゥカティは、3年連続総合2位のアンドレア・ドビツィオーソが6月28日に地元で開催されたモロクロスのレースに参戦した際にレースアクシデントが原因で左鎖骨を骨折。直前のテストで回復具合を確認する。

来季の所属先が決定した総合6位のダニロ・ペトルッチと総合8位のジャック・ミラーは、プレシーズンを通じて、ドビツィオーソと共にテストプログラムを分担。ミシュランが供給する新たなリアタイヤへの順応に多くの時間を費やしていた。

最終戦バレンシアGPフリー走行3での転倒で左手首を骨折した総合15位のフランチェスコ・バグナイアは、11月のテストをキャンセルしたが、今年最初のオフィシャルテストで2018年型から2020年型への乗り換えに専念。来季の契約を得るために、序盤で存在感をアピールしたいところ。

12月9日にサテライトチームのレアーレ・アビンティア・レーシング入りが決まった総合18位のヨハン・ザルコは、初合流した今年最初のオフィシャルテストからドゥカティのサポートを得て、2019年型への順応を開始。テスト最終日には初めてロングランを実行すれば、11月から19年型を使用する総合20位のティト・ラバットは、結果に左右されず、焦らずにテストプログラムを消化することに専念していた。

コンセッションの優遇を利用して、シェイクダウンテストからテストプログラムを開始したKTM勢。積極的にニューパーツのテストに取り組んだ総合11位のポル・エスパルガロは総合7番手と15番手。11月3日に第12戦イギリスGPで負傷した右肩を手術した総合17位のミゲール・オリベイラは、順調に回復していることを確認して、ペースの改善に集中して総合12番手と19番手。

11月のテストではレギュラー勢の中で連続して最下位だった新人のブラッド・ビンダーは、最後のテストでKTM勢の最高位となる総合9番手に進出。最終日にはKTM勢で唯一ロングランを実行すれば、最終戦でデビューを果たした最年少20歳のイケル・レクオナは、1月7日にバレンシア市内の病院で腕上がり症状を解消するために手術を受けた右前腕の回復具合を確認したセパンで総合24番手、ロサイルで20番手。

今年最初のオフィシャルテストで鮮烈なパフォーマンスを披露した総合14位のアレイシ・エスパルガロは、ロングランでハイペースを刻んで総合10番手に進出。開幕戦直前のオフィシャルテストでは、マイナートラブルが何度も発生したが、総合13番手。6月下旬にミサノ・ワールド・サーキット-マルコ・シモンチェリで実施したプライベートテストでは、昨年から大幅にアップされた戦闘力だけでなく、追求していた信頼性を確認。

アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニは、レギュラーライダーのアンドレア・イアンノーネが活動停止中であることから、テストライダーのブラッドリー・スミスを開幕戦と第2戦アンダルシアGPに起用する。

7月16日(木)
17時00分(24時00分): プレスカンファレンス
18時10分(25時10分): バイク撮影
18時30分(25時30分): グループ撮影

7月17日(金)
09時55分(16時55分): フリー走行1(45分間)
14時10分(21時10分): フリー走行2(45分間)

7月18日(土)
09時55分(16時55分): フリー走行3(45分間)
13時30分(20時30分): フリー走行4(30分間)
14時10分(21時10分): 公式予選1(15分間)
14時35分(21時35分): 公式予選2(15分間)

7月19日(日)
09時20分(16時20分): ウォームアップ走行(20分間)
14時00分(21時00分): 決勝レース(25ラップ)

VideoPass(ビデオパス)』では、第2戦スペインGPの最高蜂クラス写真撮影会から最終戦バレンシアGPの決勝レース共同記者会見まで、全戦を完全網羅の生中継で配信。