レプソル・ホンダ・チームのマルク・マルケスは、最高蜂クラス8年目、キャリア通算13戦目の緒戦となった第2戦スペインGPの決勝レースで、1番手走行中の5番手にコースアウト。18番手まで後退した後、5ラップ目を終了した時点でトップから8.444秒差の16番手だったが、15人目を抜いて3番手に浮上した20ラップ目に5.583秒差まで接近。
右肩に不安を感じていたプレシーズンのパフォーマンスを一蹴する圧倒的な速さを証明したが、22ラップ目の3コーナーで転倒を喫して右上腕骨を骨折。
(12年前の2008年2月、デビューシーズンに向けた準備として、ヘレス・サーキットで開催されたオフィシャルテストに参加した後に3コーナーで転倒。右前腕(橈骨と尺骨)を骨折したことから、開幕戦カタールGPと第2戦スペインGPの欠場を強いられ、4月の第3戦ポルトガルGPから参戦を開始していた。)
右上腕骨骨折から2日後の火曜、バルセロナ市内の大学病院で1枚のチタン製プレートと12本のピンで骨折箇所を固定する手術を受け、4日後の木曜にはメディカルチェックをパス。6日後の土曜に走行を開始したが、決勝レースの出走を断念。2戦連続の0ポイントで、2戦連続の優勝で総合1位に進出するファビオ・クアルタラロとのギャップが50ポイント差に広がった。
マルケス兄が開幕から2戦連続して0ポイントだったのは、中量級1年目の2011年以来9年ぶり2度目。
軽量級の王者として中量級に昇格すると、開幕戦カタールGPと第2戦スペインGPで転倒リタイア。第3戦ポルトガルGPでも転倒を喫したが、最後まで走って21位。3戦連続の0ポイントで、ポイントリーダーのステファン・ブラドルとのギャップが61ポイント差に拡大。
困難な中量級スタートだと思われたが、第4戦フランスGPで初優勝を挙げると、第15戦日本GPで61ポイントを逆転しただけでなく、ブラドルに対して、1ポイント差のアドバンテージを得て、ポイントリーダーに初浮上。
最終的に第17戦マレーシアGPの接触転倒が原因で1年目のタイトル獲得を逃したが、50ポイント差の逆転が可能であることを証明。
最高蜂クラス1年目の2013年は、第6戦カタルーニャGPから第15戦マレーシアGPまで10戦連続の表彰台を獲得。2年目の2014年は、開幕戦カタールGPから第10戦インディアナポリスGPまで、破竹の10連勝を達成。2019年には、トップを走行中に転倒リタイアした第3戦アメリカズGPを除き全19戦中12勝と2位6回を獲得。
現時点で、アルゼンチンGP、タイGP、マレーシアGPの開催は未定だが、次戦チェコGPから第14戦バレンシアGPまで、優勝経験がないのは、第5戦オーストリアGPと第6戦スティリアGPの開催地、レッドブルリンクだけ。2017年から3年連続2位を獲得。
サイティングラップの転倒しながら逆転優勝した2010年10月の第17戦ポルトガルGP、ペナルティを受けて最後尾33番グリッドから優勝した2012年11月の最終戦バレンシアGP、転倒回避でタイトル防衛に成功した2017年11月の最終戦バレンシアGPなど、数々奇跡を起こしたマルケスが残り11戦に全勝すれば、数字上では、クアルタラロの成績に関係なく、史上6人目となる通算9度目のチャンピオンに輝くことになる。