『500ccクラス』で優勝経験があり、『スーパーバイク世界選手権』の参戦経験があるニュージーランド出身のピットレーンレポーター、サイモン・クラファーがロサイル・インターナショナル・サーキットで開催されたオフィシャルテストを総括。第2章は、開幕戦カタールGPと第2戦ドーハGPの優勝候補に挙げるドゥカティに焦点を当てる。
「極めて印象的なテストでした。このサーキットが伝統的に彼らのマシンに適していることを知るのに、多くの調査や記憶は必要ありません。」
「ドゥカティには、新しいフロントエアロウイング、電子制御、ダウンフォース・アタッチメント、ダビデ・タルドッチが説明した新たなシャーシパーツがありました(ジャック・ミラーは新しいフェアリングを搭載したバイクでベストラップとレースシミュレーションを実行)。ジャック、ペッコ、ヨハンは速かったです。新人のマルティン、バスティアニーニ、マリーニは非常に印象的でしたが、本当に脅威的な存在となるには、当然のことながら、時間が必要です。私は彼らがそうなると確信します。」
「ビックでロングなストレートにより、ドゥカティに適したトラックだと思います。彼らはインフィールドで少し劣りますが、ストレートで補います。個人的には、コーナーで抜いたとしても、ストレートで抜き返されることが続き、消耗します。フロントタイヤのリスクを冒した走りを強いられることから、彼らとのレースが嫌いです。」
「最も心配していることは、レースランは良かったですが、それは素晴らしくなかったということです。ヤマハ勢、スズキ勢、ポル・エスパルガロは、彼ら以上ではないにしろ、同じくらいに強いと感じていました。外側から見ると、カタールでは相手と比較してリアタイヤを消耗していました。」
「唯一の手段は、ドビが過去に走ったように、最後のファイトに向けてリアタイヤを温存するために、前に出て、レースペースをコントロールすることです。直列4気筒がフロントを妨げとならない場合、リアタイヤが苦しくなりますが、終盤のスプリントに向けて、最後までペースを維持できると思います。」
「ヤマハとスズキのファンがあまり興奮する前に、ドゥカティは新たなスタートディバスを持ち込みました。今回はフロント用です。毎日、全員がスタート練習を実施しているとことを観察することができました。」
「ジャック・ミラーは、絶対的なスターティングマシンです。ドゥカティ機とダブルスタートディバスを信じられないほどに使いこなし、明らかに誰よりも一貫して速く、1コーナーに飛び込んで行くように見えました。リア用のスタートディバスを搭載したヤマハは、ウイリーと一貫性のなさに苦しんでいました。KTM、ホンダ、アプリリアには、新しい2つのスタートディバスがあります。アレイシ・エスパルガロは完全に刷新されたアプリリア機で初日から非常に印象的でした。フロント用のスタートディバスを搭載したスズキのミルとリンスも印象的なスピードと一貫した走りを見せていました。マーベリックがグッドなスタートが切れるようになったのを目撃しました。ポルもホンダ機を素早く始動させようと整理していました。」
「想像している通り、誰が1コーナーに真っ先に突っ込むのかについては、多くのことに依存します。ドキドキするような緊張感とプレッシャー、全ての競争相手のマシンの耳をつんざくようなエンジン音は、スタート練習とは大きく異なります。」
「ドゥカティ機のスピードとジャック・ミラーの一貫した仕事(3日間でスタートが悪かったことは一度もありませんでした)は、彼が最初のコーナーで1番にならなかったら驚きを意味します。そうでなくても、彼とペッコ、ヨハンは、上位陣を打ち負かすために、次のストレートでドゥカティ機のパワーを発揮できるはずです。持ち札を上手く使えば、彼らを打ち負かすことは難しいです。」
73年目を迎えるチャンピオンシップのオープニングラウンド、開幕戦カタールGPは、3月26日に初日、28日に決勝レースが開催。サイモン・クラファーがピットレーンレポーターを務める国際中継は、3クラスの全戦全セッションを完全網羅の生中継で配信。