大怪我から復帰を果たしたアスリートたち

ニキ・ラウダ、ミハエル・シューマッハ、アレッサンドロ・ザナルディらが負傷から復帰

チャンピオンシップ史上最年少で8度目のタイトルを獲得したマルク・マルケスは、手術を受けた病院で精密検査を受け、第3戦ポルトガルGPに復帰することを予定。2002年に始まった『MotoGP™クラス』において、タイトル候補のトップライダーが怪我が原因で長期離脱したのは、マルケスが初めてだったが、バレンティーノ・ロッシは2010年に4戦の欠場を強いられていた。

2010年、総合2位のロッシはホームグランプリの第4戦イタリアGPに挑み、フリー走行1で1番手発進を決めた後のフリー走行2で転倒した際に右脚脛骨を骨折。1996年開幕戦インドネシアGPのデビュー戦から続いていた史上最多の連続参戦記録が230戦でストップしたが、負傷から41日後の第8戦ドイツGPで復帰すると、第15戦マレーシアGPでヤマハ機での通算46勝目を達成。

スポーツ界のアカデミー賞と呼ばれる『The Laureus World Sports Awards(ローレウス世界スポーツ賞)』から、年間最優秀復帰選手賞に選出されていた。

レジェンド、ミック・ドゥーハンは開幕から4連勝、第7戦ドイツGPで5勝目を挙げ、ライバルたちとのポイント差を大きく広げていたが、第8戦ダッチTTの予選中に転倒を喫し、右足の切断も検討されたほどの重傷を負って4戦に欠場。最終戦南アフリカGPに強行出走して4位だったことから、ウェイン・レイニーに逆転され、3ポイント差でタイトルを逃し、翌年も後遺症に苦しみながら、辛抱強い走りを続け、転倒から13ヶ月後の第9戦サンマリノGPで優勝。1994年から5年連続してタイトルを獲得した。

1975年に『F1世界選手権』のチャンピオンに輝いたニキ・ラウダは、タイトル連覇に向けて翌年も順調に5勝を挙げ、ポイントリーダーとして第10戦ドイツGPに挑んだが、突然コントロールを失い、フェンスを突き破り、露出した岩に衝突。発火したフェラーリ機は、コース中央まで跳ね返され停止。他車が衝突した後、後続で停止した4人のドライバーらが捨て身の行動で消化と救出活動を行ったが、岩にし激突した衝撃でヘルメットが脱げてしまい、頭部に大火傷を負い、有毒ガスを吸い込んだために肺に深刻なダメージを受けたが、事故から6週間後の第13戦イタリアGPで奇跡的な復帰を果たして4位を獲得。翌年の1977年に2度目のワールドチャンピオンに輝いた。

『F1世界選手権』で7度のタイトルを獲得したミハエル・シューマッハは、フェラーリ所属4年目の1999年、シルバーストンで開催された第8戦イギリスGPでコースアウトして時速107㎞/hでタイヤバリアに真っ直ぐに突っ込み、右脚の頸骨と腓骨を骨折。キャリアで初めての負傷欠場に追い込まれたが、チームのコンストラクターズタイトルとチームメイトのエディ・アーバインをサポートするために、6戦欠場後の第15戦マレーシアGPでセカンドドライバーとして復帰。翌年の2000年から5年連続してチャンピオンに輝いた。

『F1世界選手権』の参戦経験を持ち、1997年と1998年に『チャンプカー・ワールド・シリーズ』を連覇したアレッサンドロ・レオーネ・ザナルディは、2001年にドイツで開催された第16戦でピットアウト直後のピットロード出口でスピンしてコースに飛び出してしまい、モノコックの側面に後続車が時速約200㎞/hで突っ込み、2台は大破。ザナルディは脚部に大きな損傷を受け、両足を膝の上で切断。出血大量で生命の危険にさらされたが一命を取り留めた。

両足を切断したにもかかわらず、レースに対する情熱は衰えることなく、事故から20ヶ月後に事故があったラウジッツリンクに戻り、特別仕様のマシンでレースの残り周回を走り切った。2003年から本格的に復帰して、ツーリングカー選手権に参戦。2009年限りで引退した後、2012年にはハンドルサイクルでロンドン・パラリンピックに出場して、2種目で金メダル、チームリレーで銀メダルを獲得。2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックで再び金メダルを獲得した。

サッカー界では、『フェノーメン(超常現象)』と呼ばれたブラジル代表のロナウド。1999年11月に右膝靭帯部分損傷により、5ヶ月欠場を余儀なくすると、復帰戦の僅か7分後に同じ靭帯を断裂。20ヶ月間に及び長いリハビリの末に復帰すると、2002年6月に横浜国際総合競技場で開催されたワールドカップの決勝で2ゴールを決め、ブラジル代表の優勝に貢献。

テニス界では、ビック4と呼ばれた3人が幾度も怪我から復帰。ロジャー・フェデラーは背中と左膝、右膝を負傷すれば、ラファエル・ナダルは両膝と左手首、ノバク・ジョコビッチは右肘痛に悩まされたが、何度も復帰して、ツアーやグランドスラムに優勝を挙げている。

ローレウス世界スポーツ年間最優秀復帰選手賞受賞者
2020年:ソフィア・フローシュ(ドイツ/アウトGP)
2019年:タイガー・ウッズ(アメリカ/ゴルフ)
2018年:ロジャー・フェデラー(スイス/テニス)
2017年:マイケル・フェルプス(アメリカ/競泳)
2016年:ダニエル・カーター(ニュージーランド/ラグビー)
2015年:スカルク・バーガー(南アフリカ/ラグビー)
2014年:ラファエル・ナダル(スペイン/テニス)
2013年:フェロックス・サンチェス(ドミニカ/陸上競技)
2012年:ダダレン・クラーク(北アイルランド/ゴルフ)
2011年:バレンティーノ・ロッシ(イタリア/MotoGP™)
2010年:クム・クライシュテルス(ベルギー/テニス)
2009年:ビタリ・クリチコ(ウクライナ/ボクシング)
2008年:ポーラ・ラドクリフ(イギリス/陸上競技)
2007年:セリーナ・ウィリアムズ(アメリカ/テニス)
2006年:マルトン・ヒンギス(スイス/テニス)
2005年:アレッサンドロ・ザナルディ(イタリア/世界ツーリング選手権)
2004年:ヘルマン・マイヤー(オーストリア/アルペンスキー)
2003年:ロナウド(ブラジル/サッカー)
2002年:ゴラン・イワニセビッチ(クロアチア/テニス)
2001年:ジェニファー・カプリアティ(アメリカ/テニス)
2000年:ランス・アームストロング(アメリカ/ロードレース)

VideoPass(ビデオパス)』なら『いつでも、どこでも、観たいとき』に視聴が可能。1992年開幕戦日本GPから2021年第2戦ドーハGPまで約4.5本の動画をオンデマンドで配信中!