第10戦ドイツGP~誰がキング・オブ・リンクに輝くか?

13年から21年まで8回連続して優勝を挙げた絶対的勝者マルク・マルケス不在の中、台頭著しい次世代の若手たちが頂点を目指す

第10戦ドイツGPは今週末、ザクセンリンクで6月17日(金)に初日、18日(土)に公式予選、19日(日)に決勝レースを開催。現地時間14時00分、日本時間21時00分に決勝レースがスタートする。

キング・オブ・リンク不在
軽量級のタイトルを獲得した12年前の2010年から開催されなかった2020年を除き、2021年まで11回連続優勝、プレミアクラス初年度の2013年から8回連続優勝を挙げ、まさに『キング・オブ・リンク』の称号に相応しいマルク・マルケスは、4度目となる右上腕骨の再手術を受けたことから欠場。現在は、活動の拠点スペイン・マドリードで数週間後から始まるリハビリを前に、右腕を固定した生活を過ごしている。

ポイントリーダーがライバルを引き離す
「マルク・マルケス不在でザクセンリンクに勝つことは、同じではない」と語ったファビオ・クアルタラロは、欧州ラウンドの緒戦となった第5戦ポルトガルGPで今季初優勝を挙げてポイントリーダーに浮上し、2連戦の2戦目で2位を獲得。今季3度目、欧州で2度目の2連戦となった第8戦イタリアGPと第9戦カタルーニャGPでは、2位と優勝を挙げ、ライバルたちとのポイント差をじわりじわりと引き離し、昨年3位と優勝を挙げた第10戦ドイツGPと第11戦TTアッセンの2連戦で、タイトル連覇を視野に入れ、サマーブレイク前に1戦で逆転が不可能な25ポイント差以上のアドバンテージを追求する。

ネクスト・ジェネレーション勢の台頭
23歳のクアルタラロに挑むのは、2戦連続の転倒を喫したが、今季最多3勝を挙げた24歳のエネア・バスティアニーニ、優勝、転倒、優勝、転倒を繰り返した25歳のフランチェスコ・バグナイア、今季2度目の2位を獲得した後に右手の手術を受けた24歳のホルヘ・マルティン、オフィシャルテストで黙々とテストプログラムを消化した24歳のジョアン・ミル、新人王争いで一歩抜け出し、軽中量級時代に表彰台を獲得した23歳のマルコ・ベツェッキらが優勝、表彰台を狙いに行く。

存在感を見せるベテラン・中堅勢
5戦連続6度目の表彰台を逃したが、戦闘力の高さを証明したアレイシ・エスパルガロを筆頭に、今季3度目の表彰台を獲得したヨハン・ザルコ、来季の所属先が決定したジャック・ミラー、前戦の週末とオフィシャルテストを通じて、本来のパフォーマンスに近づいてきた印象を与えたマーベリック・ビニャーレスフランコ・モルビデリが台頭する次世代の挑戦に受けて立つ。

負傷からの復帰
前戦のスタート直後に転倒を喫した中上貴晶は、精密検査の結果、骨折はなかったが、右肩の炎症が激しいことから、現在は一日も早い回復を目指して自宅で安静中。

アレックス・リンスは、左手首の三角骨を骨折したことからスペイン・バルセロナ市内の大学病院で手術。週末の参戦は回復次第。ホルヘ・マルティンは、右手が痺れてしまう症状を克服するために、イタリア・モデナ市内の大学病院で神経を手術。開催前日の木曜午後にメディカルチェックを受ける。

4人の来季所属先が決まり、ルカ・マリーニマルコ・ベツェッキの継続起用が予定されていることから、中上貴晶アレックス・マルケスアンドレア・ドビツィオーソダーリン・ビンダーファビオ・ディ・ジャンアントニオレミー・ガードナーラウール・フェルナンデェスの将来がより明確となるだろう。

4人の来季所属先が決まり、ルカ・マリーニマルコ・ベツェッキの継続起用が予定されていることから、中上貴晶アレックス・マルケスアンドレア・ドビツィオーソダーリン・ビンダーファビオ・ディ・ジャンアントニオレミー・ガードナーラウール・フェルナンデェスの将来がより明確となるだろう。

ヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトでのオフィシャルテスト後、パフォーマンスが向上したファビオ・ディ・ジャンアントニオは、継続参戦に向けて、幾つかの可能性があることを認めれば、今季2度目のポイント圏内に進出したダーリン・ビンダーは、オフィシャルテスト後、第一希望であるプレミアクラスの継続参戦が不可能な場合、中量級初参戦を検討すると打ち明けた。

プレスカンファレンス
開催前日の木曜17時00分、日本時間24時00分にプレスカンファレンスルームで開催される共同記者会見にファビオ・クアルタラロ、アレイシ・エスパルガロ、フランチェスコ・バグナイア、ジャック・ミラーが出席。

ドライコンディション
サーキットが位置するザクセン州オーバールングヴィッツは、初日の金曜から晴れ。金曜の最高気温は25度だが、土曜は30度、日曜には34度まで上昇することが予報されている。

TTアッセン
今季4度目の2連戦。パドックは決勝レース終了後、ザクセンリンクから次戦TTアッセンの開催地TT・サーキット・アッセンまで、約650キロメートルを北西に移動する。

過去のリザルト
2021年
優勝: マルク・マルケス(ホンダ)
2位: ミゲール・オリベイラ(KTM)
3位: ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)
2019年
優勝: マルク・マルケス(ホンダ)
2位: マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)
3位: カル・クラッチロー(ホンダ)
2018年
優勝: マルク・マルケス(ホンダ)
2位: バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)
3位: マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)
2017年
優勝: マルク・マルケス(ホンダ)
2位: ジョナス・フォルガー(ヤマハ)
3位: ダニ・ペドロサ(ホンダ)
2016年
優勝: マルク・マルケス(ホンダ)
2位: カル・クラッチロー(ホンダ)
3位: アンドレア・ドビツィオーソ(ドゥカティ)

『Moto2™クラス』~16ポイント差の攻防
ポイントリーダーのチェレスティーノ・ヴィエッティは前戦で今季3勝。総合2位小椋藍は7位だったことから、2人のギャップは0ポイント差から16ポイント差に拡大。昨年はヴィエッティが15位、小椋は5番手走行の最終ラップに転倒。

前戦で今季4度目の2位、5度目の表彰台を獲得した総合3位アロン・カネトだが、11日に交通事故に見舞われ、頭部を強打したことから近郊の病院入院。翌日には「助手席に乗っていて、事故に苦しんだ。幸運なことにガールフレンドも僕も大丈夫。打撲と大きな恐怖だけが残った」とソーシャルメディアを通じてメッセージを配信。

昨年表彰台を獲得したカネトの参戦は、回復具合次第となるが、今季2度目の表彰台を獲得した総合4位アウグスト・フェルナンデェス、トップ走行中に転倒を喫した総合6位ジョー・ロバーツ、地元出身の総合7位マルセル・シュロッターは、ドイツとオランダの2連戦でポイント差を詰めに行く。

小椋をはじめ、総合5位トニー・アルボリーノ、総合8位ソムキアット・チャントラ、総合14位サム・ロウズ、総合18位フェルミン・アルデグエル、総合19位アロンソ・ロペスらは、前戦後にモーターランド・アラゴンでプライベートテストを実施。

右肩を手術することを発表したガブリエル・ロドリゴは、今週末からシーズンを休戦。代替にはジュニアチームに所属するアテックス・トレド、またはピオトル・ビエシエキルスキが起用される見込み。

過去のリザルト
2021年
優勝: レミー・ガードナー(カレックス)
2位: アロン・カネト(ボスコスクロ)
3位: マルコ・ベツェッキ(カレックス)
2019年
優勝: アレックス・マルケス(カレックス)
2位: ブラッド・ビンダー(KTM)
3位: マルセル・シュロッター(カレックス)
2018年
優勝: ブラッド・ビンダー(KTM)
2位: ジョアン・ミル(カレックス)
3位: ルカ・マリーニ(カレックス)

『Moto3™クラス』~ガスガス・アスパル・チームに挑む
タイトル争いの中心となっているのは、ガスガス・アスパル・チームの2人、総合1位セルジオ・ガルシアと総合2位イサン・グエバラ。9戦が終了した時点で3勝と2勝を挙げ、ライバルたちのアドバンテージを拡大。

47ポイント差の総合3位ジャウメ・マシア、55ポイント差の総合4位デニス・フォッジャ、68ポイント差の総合5位デニス・オンジュは、サマーブレイク前の2連戦でギャップを詰めなければ、タイトル争いから脱落してしまうかもしれない。

2戦連続3位を獲得した総合8位鈴木竜生、数戦連続してトップグループに近づいてきた総合12位山中琉星、後方からトップグループに追いついた総合13位鳥羽海渡は、1998年の眞子智実、2000年の宇井陽一以来となる優勝、日本勢の2年連続表彰台を目指し、昨年の『レッドブル・ルーキーズ・カップ』の参戦で走行経験がある古里太陽は、今季初のポイント圏内進出を狙う。

第8戦イタリアGPで転倒した佐々木歩夢は、2戦連続の欠場予定。復帰はサマーブレイク開けの第12戦イギリスGPが見込まれているが、回復次第では次戦TTアッセンの復帰もあるかもしれない。

過去のリザルト
2021年
優勝: ペドロ・アコスタ(KTM)
2位: 鳥羽海渡(KTM)
3位: デニス・フォッジャ(ホンダ)
2019年
優勝: ロレンソォ・ダッラ・ポルタ(ホンダ)
2位: マルコス・ラミレス(ホンダ)
3位: アロン・カネト(KTM)
2018年
優勝: ホルヘ・マルティン(ホンダ)
2位: マルコ・ベツェッキ(KTM)
3位: ジョン・マックフィー(KTM)

サポートレース
Red Bull MotoGP™ Rookies Cup(レッドブル・ルーキーズ・カップ)』の4戦目と『Northern Talent Cup(ノーザン・タレント・カップ)』の3戦目が併催として開催。両方の大会とも金曜にフリー走行と公式予選、土曜に決勝レース1、日曜に決勝レース2が実施される。

ライブ中継配信
オフィシャルウェブでは、開催前日のプレスカンファレンスから3クラスの決勝レースまで完全網羅の生中継配信。各セッション後には、いつでも、どこでも、観たいときの視聴が可能な見逃し配信のオンデマンドを提供。

 

最先端の多視点観戦、マルチスクリーンを提供する『VideoPass(ビデオパス)』では、第10戦ドイツGPの全セッションを完全網羅の生中継で配信。時差で生中継を見逃しても、オンデマンドを利用すれば、いつでも、どこでも、観たいときの視聴が可能