第6戦フランスGPの決勝レースは、5月11日現地時間14時00分からルマンのブガッティ・サーキットで行われ、11番グリッドのヨハン・ザルコがレインタイヤを装着したバイクに乗り込み、高い集中力とライバルたちを圧倒する高速ペースを刻んで独走優勝。
プレミアクラス150戦目となったホームレースで2023年10月の第16戦オーストラリアGP以来30戦ぶりに優勝。フランス人としてはランス・グーで開催された1954年5月の開幕戦フランスGPで優勝を挙げたピエール・モネレ以来71年ぶり2人目、オールクラスではルマンで開催された2012年5月の第4戦フランスGPで優勝を挙げた『Moto3™』のルイス・ロッシ以来13年ぶりの快挙となり、チャンピオンシップにおいて、週末に史上最多の観客動員数を更新したファンの前で母国フランスに通算100勝をもらすことに成功。
同時に、ホンダに2023年4月の第3戦アメリカズGP以来43戦ぶりとなる優勝をもたらし、ドゥカティが2024年4月の第4戦スペインGPから連続優勝記録を阻止した。
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結果を大きく左右したバイク交換
気温16度、路面温度19度。スタート直前のウォームアップラン中に白旗が提示され、グリッドに並ぶ全ライダーがトラックコンディションを確認し、スリックタイヤを装着したバイクからレインタイヤを履いたバイクに交換することを決断したことから、新たに施行された規則により、赤旗が提示され、周回数が27ラップに26ラップに縮小。
2度目のサイティングラップで22人中12人(ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、ファビオ・クアルタラロ、マーベリック・ビニャーレス、マルク・マルケス、フェルミン・アルデグエ、小椋藍、ペドロ・アコスタ、ジョアン・ミル、ブラッド・ビンダー、ラウール・フェルナンデェス、エネア・バスティアニーニ、フランコ・モルビデリ、アレックス・マルケス)がピットレーンに入り、スリックタイヤを着けたバイクに交換することを決断。
These are the riders who have changed 👀#FrenchGP 🇫🇷 pic.twitter.com/XW1Q8odFz6
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スタート直後の多重クラッシュ
1ラップ目の最初のシケイン、3コーナーで多重クラッシュが発生。18番グリッドのエネア・バスティアニーニが6番グリッドのフランチェスコ・バグナイアに接触。横転したドゥカティ機がウォームアップ走行で1番時計を刻んだ15番グリッドのジョアン・ミルに激突。
レインタイヤを選択した4列目のヨハン・ザルコはスタートで出遅れた後、ジョアン・ミルに押し出される形でコースアウトを喫して大きくポジションを落としたが、1ラップ目17番手、2ラップ目14番手、6ラップ目9番手、7ラップ目5番手、8ラップ目には1番手に浮上。トラック上で最も速いペースで周回を重ね、誰よりも早くチェッカーフラッグを受けた。
ポイントリーダー2位
直前にスリックタイヤを装着したバイクに交換した2番グリッドのマルク・マルケスは、5ラップ目と6ラップ目に2度のロングラップペナルティを消化した後、レインタイヤを装着したバイクに交換すると3番手に位置。9ラップ目2番手に浮上した後、19.907秒差の2位でチェッカーフラッグを受け、ミスを最小限に抑える走りに徹したことが功を奏して2戦ぶり4度目のトップ3入りを果たし、プレミアクラスの表彰台獲得ランキングでレジェンド、ホルヘ・ロレンソの記録を上回り、単独2位となる115度目の表彰台を獲得。
新人表彰台獲得
4番グリッドのフェルミン・アルデグエは、ウォームアップ走行で19番手だったが、5ラップ目と6ラップ目にダブルロングラップペナルティを消化した後1番手に浮上。バイク交換で7番手に後退したが、レアにソフトタイヤを装着したことで終盤にポジションを上げ、26.532秒差の3位でゴール。ティソ・スプリントに続き、連続表彰台を獲得。
KTMの両雄、12番グリッドのペドロ・アコスタと5番グリッドのマーベリック・ビニャーレスは、乗り換えたウェット仕様のバイクにソミディアムのリアタイヤを装着したことが裏目に出て、表彰台を逃したが今季最高位の4位と5位に進出。
今季最初のワイルドカード参戦を利用して週末を通じてテストプログラムに取り組んだ22番グリッドの中上貴晶は、レインタイヤを装着したバイクを選択。昨年までの同僚ヨハン・ザルコから59.527秒差の6位でゴールし、8位だった2022年5月の第8戦イタリアGP以来となる1桁台で完走。
10番グリッドのラウール・フェルナンデェスと17番グリッドのファビオ・ディ・ジャンアントニオは、2度のロングラップペナルティとバイク交換を経て7位と8位。ラウール・フェルナンデェスは今季の最高位となり、21番グリッドのロレンソォ・サバドーリはバイクを交換して、プレミアクラスの最高位、キャリアの最高位タイとなる9位。
19番グリッドの小椋藍はウォームアップ走行で22番手だった後、直前にバイクを交換したことから、5ラップ目と6ラップ目にロングラップペナルティを消化し、7ラップ目にバイクを交換。12番手で合流し、1分26秒529差の10位で完走。
16番グリッドのルカ・マリーニと14番グリッドのアレックス・リンスは、リスタートしてからバイクを2度交換して11位と12位。7番グリッドのマルコ・ベツェッキと9番グリッドのフランコ・モルビデリは転倒した後にレースに復帰してポイント圏内の14位と15位。
1ラップ目に転倒したエネア・バスティアニーニは、3ラップ目と4ラップ目にロングラップペナルティを消化した後、5ラップ目に2度目の転倒。6ラップ目にバイクを交換した際にピットレーンでスピードオーバーしたことから2度のロングラップペナルティが科せられ、1ラップ遅れの13位。フランチェスコ・バグナイアは2度のバイク交換で1ラップ遅れの16位。ジョアン・ミルは精密検査をうけるために近郊の病院に搬送された。
転倒リタイア
ポールポジションのファビオ・クアルタラロは1ラップ目を1番手で通過したが、2番手走行中の4ラップ目14コーナーで転倒。8番グリッドのジャック・ミラー、13番グリッドのブラッド・ビンダー、20番グリッドのミゲール・オリベイラも14コーナーで転倒。
3番グリッドのアレックス・マルケスはウォームアップ走行で転倒した後、3番手走行中の21ラップ目3コーナー、6番手走行中の23ラップ目11コーナーで連続転倒。
チャンピオンシップ
ポイントリーダーのマルク・マルケスは20ポイントを加算。週末に32ポイントを稼ぎ、0ポイントだった総合2位マルク・マルケスと総合3位フランチェスコ・バグナイアに対し、アドバンテージを22ポイント差と51ポイント差に拡大。
イギリスGP
次戦イギリスGPは、2週間後の5月23日から25日にシルバーストン・サーキットで開催。