2025年シーズンの第11戦ドイツGPは、今週末にザクセンリンクで開催。今季2度目となる2連戦の緒戦となり、開催日程に復帰した来週末の第12戦チェコGPが終われば、サマーブレイクが始まることから、パドックはインテンシブでインテンスなバック・トゥ・バックに挑む。
King of the Ring
3つの右コーナー、10つの左コーナー。全22戦の開催日程の中で最も独特で、類を見ない魅力を持ち、エンターテインメント性に富んだレイアウトを誇るサーキット、ザクセンリンクの歴史において、最も多くの記録と記憶を誇る活躍を見せたのはマルク・マルケス。キャリア最初のタイトルを獲得した軽量級3年目の2010年から2021年まで10年連続の優勝を挙げ、まさにキングの称号が相応しく、ポイントリーダーとして、勝率が高い左回りトラックに挑戦するが、昨年は大きな期待を抱いて当地に乗り込みながら、初日の連続で出鼻をくじかれ、公式予選2に進めず、ティソ・スプリント6位、決勝レース2位。今年もオースティンとヘレスの決勝レースで転倒したことから、過去の失敗を教訓に活かし、気を引き締め、週末に臨む。
参戦か欠場か?
総合2位アレックス・マルケスは、前戦の決勝レースで他車との接触が原因で転倒した際に左手を骨折。その日のうちに手術を受け、リハビリを専念しているが、現時点で参戦は未定。手術を受けた病院で検査を受け、その結果次第でドイツに移動するかしないかを決断する。
126ポイント差から逆襲
シーズン最初の2連戦、ムジェロとアッセンは、過去の実績から総合3位フランチェスコ・バグナイアのテリトリー。結果的にはチームメイトであり、最大のライバルであるマルク・マルケスから引き離されたが、週末に取り組む姿勢を改め、好感触を掴み、笑顔で終えたことから、2年前に2位、1年前に優勝を挙げたザクセンリンクでどのようなパフォーマンスを見せ、リザルトを獲得するか注目が集まる。
ドゥカティの覇権を崩しくかかるアプリリア
前戦のティソ・スプリントとグランプリレースでダブルポディウムを獲得したマルコ・ベツェッキは総合7位から6位、アプリリアがコンストラクター部門で総合4位から2位に浮上。第5戦スペインGPのオフィシャルテストを経て、パフォーマンスとリザルトが向上してきた総合14位ラウール・フェルナンデェスと共に上位進出に挑む。
右膝の負傷から復帰した2戦、特に前戦オランダGPでパフォーマンスが上がらなかった総合12位小椋藍だったが、活動の拠点バルセロナ郊外で2連戦を前に体調を整え、新たな気持ちでザクセンリンクに臨む。
浮上のきっかけを掴むか
総合8位ペドロ・アコスタと総合10位マーベリック・ビニャーレスはパフォーマンスが高まり、チャンピオンシップの上位を占めるドゥカティ勢への挑戦が始まっている一方で、総合13位ブラッド・ビンダーと総合15位エネア・バスティアニーニは予想以上に厳しく困難な週末が続いているが、2021年の2位が最高位の左回りトラックで浮上のきっかけを掴むかどうか関心が集まる。
ソムキアット・チャントラ欠場
ホンダ勢の最高位に進出する総合7位ヨハン・ザルコは、ホームレースで優勝を挙げて以来、パフォーマンスとリザルトが低迷。総合19位ジョアン・ミルは目の前で転倒した他車に激突する不運に見舞われ、身体の複数の箇所を強打したことから先週7月1日と2日に次戦チェコGPの開催地ブルノ・サーキットで実施したプライベートテストを欠場したが、鈴鹿8耐のプライベートテストで負傷した総合16位ルカ・マリーニは、そのテストに参加して体調を確認。復帰する場合は、開催前日にメディカルチェックを受ける。
参戦10戦目で初ポイントを獲得した総合24位ソムキアット・チャントラは、1年前にオールタイムラップレコードを樹立したトラックで2戦連続のポイント圏内進出を目指していたが、普段から取り入れているモトクロストレーニング中に転倒が原因で右膝の靭帯を損傷したことから2連戦を欠場することになり、イデミツ・ホンダ・LCRは代役を起用する予定。
ホンダと共にランク『D』のヤマハもブルノ・サーキットでプライベートテストを実施。総合17位アレックス・マルケスと総合23位ミゲール・オリベイラが再舗装されたトラックをチェックすれば、総合11ファビオ・クアルタラロはフレッシュな体調で2連戦に挑むことを望み、総合18位ジャック・ミラーは鈴鹿8耐のプライベートテストに参加したことから、そのテストをキャンセルした。
気象状況
月曜日の時点で、金曜日、土曜日、日曜日の降水確率は50%以上。金曜日と土曜日の最高気温は18度、最低気温は14度。日曜日は気温が23度まで上昇する見込みだが、週末を通じてウェットコンディションが予報されている。
Moto2™
今季7度目の表彰台を獲得したポイントリーダーのマヌエル・ゴンザレスと今季5度目の表彰台獲得で、開幕から10戦連続してトップ8入りを果たした総合2位アロン・カネトのタイトル争いを繰り広げられる中、総合3位ディオゴ・モレイラが3戦連続のポールポジションから中量級で初優勝を挙げ、31ポイント差に接近。
ディオゴ・モレイラと共に、総合5位バーリー・バルトゥス、総合6位セナ・アギウス、総合8位デニス・オンジュら若手が台頭してきた中で、総合9位マルコス・ラミレスは10戦連続のポイント圏内進出を果たし、右肩上がりに成績を挙げて総合13位まで浮上してきたジョー・ロバーツは所属チームとの間で契約を更新。
今季の最高位となる15位でゴールした総合27位佐々木歩夢と國井勇輝はポイント圏内の進出を目指す。
Moto3™
前戦オランダGPで今季6勝目を挙げたホセ・アントニオ・ルエダは、総合2位に浮上した新人部門総合1位アルバロ・カルペに69ポイント差、総合3位アンヘル・ピケラスに70ポイント差、総合4位ジョエル・ケルソに対しては3戦で逆転が不可能な87ポイント差にアドバンテージを拡大。昨年優勝争い中に転倒を喫した当地で、ポイント差を広げられるか、タイトル争いをライダーたちがポイントリーダーの勢いを止めることができるかが焦点。
勢いに乗る総合5位マキシモ・キレス、総合6位ダビド・ムニョス、総合8位ダビド・アルマンサの若手3人が優勝表彰台に挑戦。昨年2位の総合7位古里太陽と昨年6位の総合11位山中琉聖はキャリア初優勝、今季2度目の表彰台を目指す。