グレシーニ・レーシングのマルク・マルケスは、6月5日にドゥカティ・コルセとの間で2025年からファクトリーチーム、ドゥカティ・レノボ・チームに所属する2年契約を締結。2008年から始まったチャンピオンシップのキャリアにおいて、困難な経験と最も重要な決断、復活の狼煙を上げたパフォーマンス、そして栄光のシートを獲得するまで、波乱万丈な1年間の軌跡を振り返る。
2023年6月18日
開幕戦ポルトガルGPのショートレース、史上初のティソ・スプリントでポールポジションから3位表彰台を獲得。右上腕骨の骨折を完全に忘れさせるパフォーマンスを見せたが、決勝レースで接触転倒。負傷から復帰した第5戦フランスGPと第6戦イタリアGPで連続転倒を喫した後、2010年から11戦連続して優勝を挙げたザクセンリンクに2021年以来2年ぶりに戻ってきたが、第7戦ドイツGPのウォームアップ走行で2017年6月の第7戦カタルーニャGP以来2度目となる週末5度目、シーズン12度目の転倒。
メディカルチェックの結果、左手親指の骨折が判明。医師団から出走の許可が下ったが、出走の準備ができていないと判断して欠場。翌週の第8戦TTアッセンに参戦したが、ウォームアップ走行前にメディカルチェックを受けた結果、前戦後の精密検査で見つかった右第二肋骨骨折の状態が悪化したことから欠場。満身創痍の状態でサマーブレイクを迎えた。
2023年10月4日
雨による赤旗中断となった第14戦日本GPの決勝レースで、シーズン初の表彰台を獲得してから3日後、中量級王者としてプレミアクラスに昇格した2013年から11年間所属したHRC、レプソル・ホンダ・チームからシーズン終了時に2024年末までの契約を終了させ、離脱することで合意。
2023年10月12日
契約終了を発表してから8日後、弟アレックス・マルケスが所属し、翌シーズンの1シートが空席となっていたグレシーニ・レーシングとの間で2024年からの1年契約に関して合意。
2023年11月28日
11年間所属していたレプソル・ホンダ・チームとのラストレース、最終戦バレンシアGP終了から2日後、サーキット・リカルド・トルモで開催されたオフィシャルテストに参加。新天地グレシーニ・レーシングからのテストデビューとなり、初めてドゥカティ機、2023年のチャンピオンマシンを試乗すると、数日後に右前腕の手術を受けることになった腕上がり症状の問題を抱えていたが、49ラップを周回して4番手に進出。初めてのランの後、笑顔を見せた。
2024年3月10日
キャリア通算17年目、プレミアクラス12年目の緒戦、開幕戦カタールGPでグレシーニ・レーシングからデビューすると3列目9番グリッドからティソ・スプリントで7位、決勝レースで6位に進出。
2024年3月23日
第2戦ポルトガルGPのティソ・スプリントで8番グリッドからショートレースでのベストリザルトとなる2位を獲得。
2024年4月28日
第4戦スペインGPの公式予選で2023年3月の開幕戦ポルトガルGP以来プレミアクラスで65度目、キャリア通算93度目のポールポジションを奪取すると、決勝レースでは昨年9月の第14戦日本GP以来10戦ぶり102度目、キャリア通算141度目の表彰台、ドライコンディションでは2022年10月の第18戦オーストラリアGP(2位)以来558日ぶりとなる表彰台を獲得。
2024年6月5日
伝説を築いたザクセンリンクでの連続転倒から欠場を決断してから353日後、HRCからの離脱を発表してから245日後、ドゥカティとの間で2年契約を締結したと発表。プレミアクラス13年目は、ドゥカティ・レノボ・チームから参戦することが決定した。
次戦は年間に13勝を挙げた2014年と9勝を挙げた2018年に優勝したTTアッセン。そして4週間後にドイツGPを迎え、ドゥカティ機での初優勝、プレミアクラス史上3人目となる60勝目を目指していることから、新たな歴史、ポジティブなエピソードが刻まれて行くことが予想される。