チャンピオンシップ77年目のシーズンは、『より速く、より前に、より恐れずに』というスローガンをヨーロッパラウンドの緒戦、第5戦スペインGPでも序盤4戦と匹敵するように証明した後、今週末は2023年に27.8万人、2024年に29.7万人の史上最多となる観客動員数を更新したルマンのブガッティ・サーキットで第6戦フランスGPを開催。
1ヶ月前の4月2日に2027年から5年間の継続開催に関して契約を更新したことで、地球上で最もエキサイティングなスポーツは2031年まで当地で開催することが決定。今週末もこれまでの5戦に肩を並べるダイナミックで予想不可能な展開が約束される。
ポイントリーダーの座を堅守するか?
8年前の2017年に中量級39戦目で初優勝を挙げたヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトでプレミアクラス94戦目での初優勝を達成したアレックス・マルケスは、ポイントリーダーに再浮上。オフィシャルテストでは2024年シーズンにポールポジション14回、ティソ・スプリント16勝、決勝レース16勝を挙げたチャンピオンマシンに乗り込んで、細かい調整に取り組みながら47ラップを周回。今週末は中量級のタイトルを獲得した6年前の2019年に優勝、1年前に17番グリッドから14位と10位だったサーキットで初の2戦連続ポイントリーダー維持を目指す。
1ポイント差
今季3度目、決勝レースで2度目の転倒を喫したマルク・マルケスは、1ポイント差の総合2位に後退した後、オフィシャルテストでフロントのフィーリングと信頼性を高めるプログラムに取り組んで79ラップを周回し、タイのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催された前回のオフィシャルテストに続き、連続の総合1番手に進出。2014年、2018年、2019年に優勝、1年前に13番グリッドから連続2位を獲得した右回りトラックでポイントリーダーの奪回を狙う。
20ポイント差
3番グリッドから連続3位を獲得した総合3位フランチェスコ・バグナイアは、オフィシャルテストを利用して課題に挙げていたバイクのバランスを追求。1年前に7番グリッドからティソ・スプリントでバイクの違和感を覚え、スタートで大幅に後退し、コースアウトを喫した後にリタイア、決勝レースでプレミアクラス初の表彰台となる3位を獲得。今週末はアレックス・マルケスとの20ポイント差、マルク・マルケスとの19ポイント差に挑戦。
総合4位フランコ・モルビデリは、決勝レースで転倒した後の検査で重度の頚椎脳震盪と診断されたことからオフィシャルテストを欠場。参戦する場合はメディカルチェックを受けることになり、総合5位ファビオ・ディ・ジャンアントニオは、今年最初のオフィシャルテスト初日に左鎖骨を骨折したことから、今季使用するドゥカティ機をより良く理解する機会となったことから、今週末は同じバイクを駆けるマルク・マルケスとフランチェスコ・バグナイアにどこまで追いつくのか注目が集まる。他のドゥカティ勢に接近するフェルミン・アルデグエも注目の1人。
地元の英雄1
コンストラクター部門で総合4位から2位に浮上したヤマハを牽引し、オールタイムラップレコードを更新したポールポジションから2023年10月の第15戦インドネシアGP以来となる表彰台を獲得した総合6位ファビオ・クアルタラロは、オフィシャルテストで総合16位ジャック・ミラー、総合17位アレックス・リンスとともに新しいスペックのエンジンを検証。3人とも確かな手応えを得ていたことから、そのエンジンを実戦に投入するかどうか関心が高まり、ファビオ・クアルタラロは2021年5月以来となる地元表彰台、2022年8月の第13戦オーストリアGP以来となる2位、2022年6月の第10戦ドイツGP以来となる優勝に地元の期待が集まる。優勝すれば、フランス人としては1954年のピエール・モネレ以来となる2人目。
狙うは2戦連続のトップ10入り
2020年に4台体制を開始して以来、初めて決勝レースで4台が揃ってトップ10入りを達成したKTMは、オフィシャルテストを利用して総合10位ペドロ・アコスタ、総合11位ブラッド・ビンダー、総合13位エネア・バスティアニーニ、総合15位マーベリック・ビニャーレスが空力とシャーシの新しいコンポーネント、データ収集、レースセッティングまで、幅広い包括的な作業を分担。5年前の3位が最高位、1年前は8位だったサーキットで前戦の4位超え、昨年10月の第18戦タイGP以来となる表彰台に挑戦。
ヘレスで今季の最高位となる4位を獲得したマーベリック・ビニャーレスは、オフィシャルテストで89ラップを周回して総合2番手に進出。キャリア1年目の2011年に初優勝、プレミアクラス3年目の2017年に優勝を挙げたトラックで昨年4月の第3戦アメリカズGP以来となる表彰台、優勝を狙う。誰よりも早くチェッカーフラッグを受ければ、プレミアクラスで史上初となる4メーカーのバイクを駆けた優勝となる。
地元の英雄2
ホンダ勢の最高位に進出する総合7位ヨハン・ザルコを筆頭に、4戦連続トップ10入りを果たした総合12位ルカ・マリーニ、リザルト以上のパフォーマンスを見せる総合18位ジョアン・ミルは、2023年10月の第14戦日本GP以来となる表彰台を追求。
今週末はオフィシャルテストに参加した開発ライダーの中上貴晶をワイルドカードとして起用。前戦のアレイシ・エスパルガロに続き、実戦でテストプログラムを進める。
反撃に転じるアプリリア勢
ホルヘ・マルティンの負傷欠場が続く中、マルコ・ベツェッキは、オフィシャルテストを利用して安定性に焦点を当てたテストプログラムに着手。2023年に優勝を挙げたグランプリを前に最多98ラップを周回すれば、ラウール・フェルナンデェスは84ラップを周回して公式予選のタイムを更新。
アプリリア勢と新人勢の最高位となる総合8位に進出する小椋藍は、昨年17番グリッドから2位、タイトル獲得に向けてシーズン最初の表彰台を獲得したトラックを前に87ラップを周回。
「お気に入りのサーキットではなく、いつも難しかったけど、昨年は日曜日に良い走りができたので、各セクターをしっかり理解できれば、ラップタイムを伸ばす上で重要となり、競争力を発揮できると思う。ハードブレーキングの必要なところが幾つかあり、テストで幾つか新しい情報を得ることができた。金曜日の午後は重要なセッション。できるだけ早くそういったことを理解しようと努めるけど、そこでどんな結果になっても気にしない。正しい方向に進み、何が上手くいくのかを確認することが重要」と週末に向けたアプローチを説明。
テストライダーのロレンソォ・サバドーリをホルヘ・マルティンの代替として引き続き起用し、実戦でのテストプログラムを継続する。
負傷からの復帰
第2戦アルゼンチンGPのティソ・スプリントで他車との接触が原因で左肩を負傷したミゲール・オリベイラは3戦に欠場した後、復帰を目指して、開催前日にメディカルセンターを訪れ、メディカルチェックを受ける。
オフィシャルテスト後に右前腕の腕上がり症状を解消する目的で手術を受けたペドロ・アコスタとソムキアット・チャントラもメディカルチェックを受ける予定。
気象状況
月曜日の時点で、今週末は晴れ。日中の最高気温は22度、最低気温は10度。ドライコンディションが予報されている。
Moto2™
今季4度目のポールポジションから開幕戦タイGPに続く2勝目を挙げたマヌエル・ゴンザレスは総合1位に返り咲き、2年前に転倒、1年前に転倒が原因で1ラップ遅れの24位だったブガッティ・サーキットで7ポイント差の総合2位に後退したアロン・カネトの挑戦を受ける。
注目は、ヘレスで自己最高位タイとなる2位を獲得した総合4位バーリー・バルトゥス、5位に進出した総合6位デニス・オンジュ、3位表彰台の総合7位セナ・アギウス、4位の総合8位ディオゴ・モレイラ、1年前に優勝を挙げたセルジオ・ガルシア、2年前に優勝を挙げたトニー・アルボリーノ、2年連続3位のアロンソ・ロペス。日本勢の佐々木歩夢と國井勇輝は、今季初のポイント圏内を目指す。
前戦の決勝レースで接触転倒した総合15位イサン・グエバラは左足を骨折したことから、開催前日にメディカルチェックを受ける予定。公式予選1でハイサイドから飛ばされそうになった際に肩を亜脱臼したマリオ・アジは欠場する見込み。
Moto3™
初めてポールポジションから優勝、今季3勝目を挙げたホセ・アントニオ・ルエダは、総合1位に再浮上。2年前に9位、1年前に8位だった当地でライバルたちの挑戦を受ける。
ポイントリーダーに挑戦するのは、4ポイント差の総合2位アンヘル・ピケラス。34ポイント差の総合3位ジョエル・ケルソと38ポイント差の総合4位アドリアン・フェルナンデェスは、1戦で逆転が可能な25ポイント差以内までギャップを詰めたいところ。
2戦連続して上位争いを繰り広げた日本勢、総合5位古里太陽と総合8位山中琉聖は、1年前に14位と7位だったトラックで今季2度目の表彰台を狙う。
前戦の決勝レースで追突転倒したルケ・モードレーは、スペイン・バルセロナ市内の大学病院で骨折した右手首の橈骨を手術したことから欠場予定。トレーニングアクシデントが原因で右脚の脛骨と左腕の上腕骨を開放骨折したマッテオ・ベルテッレは、近日中に左腕のリハビリを開始。レベルアップ-MTAは第5戦スペインGPで招集したビセンテ・ペレスを代役として継続起用する。
オフィシャルテスト
週明けの5月12日に軽量級、13日に中量級がオフィシャルテストを実施。スケジュールは両日ともに現地時間09時00分から17時55分。12時00分から13時55分まで昼食休憩。週末に続き、ドライコンディションが予報されている。