カストロール・ホンダ・LCRのヨハン・ザルコは、プレミアクラス150戦目となったホームグランプリ、第6戦フランスGPのティソ・スプリントで4列目11番グリッドから6位。第2戦アルゼンチンGP以来となるポイント圏内に進出すると決勝レースは、スタート直前のウォームアップランでトラックコンディションを確認し、スリックタイヤを装着したバイクからフロントにミディアム、リアにソフトのレインタイヤを履いたバイクに交換することを決断。
2度目のサイティングラップで、22人中12人が再度バイクを交換したが、グリッドに留まると、スタートで出遅れ、1ラップ目の3コーナーで発生した多重クラッシュの影響を受け、ジョアン・ミルに押し出される形でコースアウトを強いられたことから、さらにポジションを落としたが、1ラップ目17番手、2ラップ目14番手、6ラップ目9番手、7ラップ目5番手挽回すると、8ラップ目には1番手に浮上。
高い集中力とライバルたちを圧倒する高速ペースを刻んで、週末に史上最多の観客動員数を更新したファンの前で独走優勝を果たした。
「ナイス!本当に特別。バイクの歴史が大好きな僕にとって、とても誇りに思う。ビッグネームを知っているし、昔のレースもいつも興味を持って観ている。今日はフランス人ライダーとして、フランスGPで優勝を挙げたことは、まさにマジックだ。」
「常に勝ったり表彰台に立ったりしたいという思いで、自分を奮い立たせる。常に自分を向上させる手段を見つけようと努力するけど、今日はレインタイヤを選択した。雨が降ることは分かっていて、ジャック・ミラーがこのコンディションで強いことは分かっていた。最初は路面が乾いていたから、タイヤを温存しようと心掛けたけど、雨脚が強くなってきて、他のライダーたちがスリックタイヤを履いていたから、何かが起こるだろうと予感があった。ジャックが転倒した時、勝てると信じ始めた。」
「マルク・マルケスがレインタイヤに履き替えたとき、最初は僕よりも速かったから怖かった。彼もレインタイヤの限界に達し、それ以上プッシュできなくなったのだと思う。ギャップが十分に開いていたから、コントロールできた。本当に素晴らしい。今日は勝利を掴むために周回が過ぎるのを待たなければいけなかった。それはとても特別な体験だった。」
シケインのアクシデント
「レース中は、あのアクションを忘れていた。レースを終えて、最初のシケインのことを思い出した。スタートでデバイスを使いたくなかったから、かなりタイムをロスしてしまった。1コーナーでのブレーキングの仕方が分からなかったから。最初のコーナーでは安全第一だと自分に言い聞かせたけど、スタートで大幅にタイムロスしてしまい、シケインはアウト側からトライしたときに、幾つかのことが発生した。ジョアン・ミルがバイクを起こしたので、僕もバイクを起こしたけど、僕たちは激しくぶつかり、グラベルに直行した。ハンドルバーの電子制御が少し破損したけど、走るには十分だった。あの瞬間は、大きく失ってしまったから様子を見ようと思った。序盤はそんな感じで走っていた。」
ホームグランプリに両親を招待
「母親は一度もサーキットに来たことがなかった。17年間のキャリアで一度も来てほしいと頼んだことはなかった。家庭的な人。今回は『フランスGPを観に来てくれたら嬉しい。観客の盛り上がりは本当に素晴らしいから』と誘った。沢山のスポンサーがいるから、たとえボックスにいてもストレスやプレッシャー、騒音などで落ち着かないかもしれない。両親はどちらかというと落ち着いた人だから。ストレスを感じていたようだから、『スポンサーのVIPに行って、そこで楽しんで』と言った。週末に沢山のことを見たから、家族や友人たちに話したいことが沢山あると思う。ここに来てくれて本当に嬉しかった。」
「このような形でレースを終えることができ、週末がどうなのか、レースがどうなるにせよ、観客の熱意がどうなのかを目の当たりにしてくれたことが本当に嬉しい。今日は最高の瞬間。これ以上の言葉なない。」
「母親が来ることが迷信になるとは思わない。心の底から、この週末を一緒に過ごせたことに僕は幸せを感じるけど、週末はイベントが盛りだくさん。家で過ごすことが楽しいと知っている。時々髪の毛を茶色に染めているから、これ以上、白髪を増やすように強いるつもりはない(笑)。」
母国優勝
「僕にとって、この勝利は本当に素晴らしい。2勝目を挙げることができて本当に嬉しい。もちろん、ここで勝てたことは、さらに特別。オナーラップを走っていると、水曜日からずっと、観客のみんなが僕の名前を連呼してくれ、フランス国歌を何度も合唱していた。時には歌い過ぎているほどだった。もしかしたら歌いすぎて、声が出なくなるのではないかと不安になるくらいだったけど、表彰台の一番高いところで、彼らと一緒にフランス国歌を歌えたのは、週末の完璧な終わり方だった。バイクの本に、フランス人ライダーとしてフランスGPで優勝を挙げたという歴史的な一文が載ることも嬉しい。本当に素晴らしい。」
「それから、ホンダ。アレックス・リンスが僕のところに来て、『ホンダの最後の勝利を奪った』と言ってくれた。確かにそうだ。でも、そう言われた時は、すぐに気づかなかったから、ちょっと誇らしく思った。」
ルーチョ・チェッキネッロから指示
「ピットウォールにいる彼を見たとき、既に状況をコントロールできていた。彼がスピードを落とすように指示した時、これ以上リスクを冒さないように注意を払っていたけど、ルマンのトラックは少しトリッキーだと分かっていたので、集中力を切らさないように気をつけていた。路面が少し濡れてきた時には、タイヤのグリップが少し良くなるように思える瞬間があるけど、驚きは避けたかった。終盤、路面の水量が少し減ったので、タイヤの感触が掴みやすくなり、少し安心しました。コントロールできるほどの速さがあった。」
ファクトリーチーム入り
「この勝利がファクトリーチーム入りに向けて、プラスになるかもしれない。ホンダとの話し合いは、この優勝を挙げる前からとても順調で、今の仕事ぶり、ホンダ、チーム、そして仕事の進め方に満足しているから、ホンダに残るつもり。あとは決めるだけ。ホンダが本当に何を望んでいるのかを待っているところ。ルーチョとの間でも話し合っている。LCRでもホンダからの全面的なサポートを受けている。明らかに、この勝利はより多くのものを与えてくれるから、どうなるか見てみよう。話し合いは非常に前向き。時間の問題だろう。」
71 years later, "La Marseillaise" sounded again in France 🎶#FrenchGP 🇫🇷 pic.twitter.com/9IjcYnF8nI
— MotoGP™🏁 (@MotoGP) May 11, 2025
プレミアクラス120戦目となった2023年10月の第16戦オーストラリアGPで初優勝を挙げて以来30戦ぶりに勝利を挙げたことで、フランス人としては、ランス・グーで開催された1954年5月の開幕戦フランスGPで優勝を挙げたピエール・モネレ以来71年ぶり2人目の勝者となり、オールクラスでは、ルマンで開催された2012年5月の第4戦フランスGPで優勝を挙げた『Moto3™』のルイス・ロッシ以来13年ぶりとなる母国グランプリ優勝となった。