チャンピオンシップは、3週間のサマーブレイクを終え、後半戦の緒戦となる第13戦オーストリアGPを東アルプス山脈、シュタイヤーマルク・アルプスに位置するレッドブルリンク-シュピールベルクで開催。
後半戦は5度のダブルヘッダーを開催。今季3度目の2連戦となる第13戦オーストリアGPと第14戦ハンガリーGP、3度目の第15戦カタルーニャGPと第16戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGP後には、開催契約を延長したモビリティリゾートもてぎで、オーバーシーズの緒戦となる第17戦日本GPを迎える。
初優勝に挑戦する元王者
地球上で最もエキサイティングなスポーツをリードするのは元王者マルク・マルケス。5年ぶりに開催されたアウトモトドローム・ブルノでドゥカティ史上初となる5連勝、5戦連続8度目のダブルウィンを達成するなど、ライバルたちを圧巻するパフォーマンスとリザルトで2019年以来6年ぶりとなるタイトル獲得に向け、総合2位アレックス・マルケスに3戦以上に相当する120ポイント差、総合3位フランチェスコ・バグナイアに対しては4戦以上の168ポイント差にアドバンテージを拡大。
2016年に開催日程に復帰したレッドブルリンク-シュピールベルクは、右コーナー8つ、左コーナー3つの時計回りトラック。マルク・マルケスはまだ当地での優勝がなく、2017年、2018年、2019年の2位が最高位。次戦ハンガリーGPのバラトンパーク・サーキットはチャンピオンシップ初開催となることから、この2戦がタイトル争いにおいて、分岐点になるかもしれない。
反撃を仕掛ける前王者
第10戦オランダGPで左手を骨折した総合2位アレックス・マルケスは治療に専念する時間があり、万全の状態で後半戦に挑戦。困難な前半戦を過ごした総合3位フランチェスコ・バグナイアは、心機一転、2022年から3年連続の優勝を挙げた当地から始まる後半戦に臨み、タイトル争いを繰り広げた過去4年間は、前半戦よりも後半戦により多くのポイントを稼いでいた。
ドゥカティ機を駆ける6人は、次戦ハンガリーGPの開催地バラトンパーク・サーキットでトレーニングセッションを実行。第11戦ドイツGPで左肩を負傷したフランコ・モルビデリも参加。復帰に向けて、開催前日にメディカルチェックを受ける。
台風の目になるか?
前戦で今季3度目の表彰台を獲得して総合4位に浮上したマルコ・ベツェッキと4戦連続の1桁台進出、5戦連続のトップ10入りで総合13位に上昇したラウール・フェルナンデェスはアプリリア機の戦闘力が高まっていることを証明。
2度目の復帰戦となったホルヘ・マルティンは7位に進出した後、サマーブレイクを利用してバイクを使用したトレーニングを中心にフィジカル面の強化に専念。現王者とアプリリア機のパフォーマンスは後半戦注目の1つであり、チームメイトとの争いも興味深い。
ホームグランプリ
コンストラクター部門で総合3位に進出するKTMは、前戦で総合7位ペドロ・アコスタが今季初表彰台を獲得。決勝レースで転倒を喫したが、総合17位エネア・バスティアニーニは今季のベストパフォーマンスを披露。2021年に優勝を挙げた総合12位ブラッド・ビンダー、怪我から復帰予定の総合11位マーベリック・ビニャーレスと共に4人がシーズンで最も重要なホームグランプリで2022年10月の第17戦タイGP以来となる今季初優勝を追求する。
サマーブレイク返上
前半戦が終了した時点で、ホンダとヤマハは昨年1年間で稼いだ75ポイントと124ポイントを上回る147ポイントと133ポイントを獲得したが、コンセッションのランク『D』に留まったことが決定。しかし、最終戦バレンシアGP後に次ぎの評価が下されることから、優遇措置の待遇返上を目指し、サマーブレイクの間も開発作業とプライベートテストを継続。総合8位ヨハン・ザルコと総合9位ファビオ・クアルタラロを中心に後半戦は安定した表彰台争いを目指す。
新人王争い
チャンピオンマシンのドゥカティ機を駆ける総合10位フェルミン・アルデグエルとアプリリアを走らせる総合16位小椋藍とのポイント差は、右膝の負傷が影響して46。残り10戦でどのような争いを展開するのか関心が高い。
トレーニングアクシデントが原因で右膝を負傷したことから2戦に欠場した総合26位ソムキアット・チャントラの参戦は未定。復帰する場合は、開催前日にメディカルチェックを受ける。
気象状況
月曜日の時点で週末の天候は晴れ。金曜日と土曜日は最高気温が33度と31度と高いが、日曜日は28度。最低気温は13度と低い。
Moto2™
プレミアクラスの来季布陣がほぼ確定してきたことから、来季の所属先に注目が集まり始め、ライダー市場が本格的に動き出した中量級で4勝を含む8度の表彰台を獲得したポイントリーダーのマヌエル・ゴンザレスが総合2位アロン・カネトに対してアドバンテージを25ポイント差に拡大。
クルーチーフの負傷欠場を含め、相次ぐ怪我に見舞われたアロン・カネトだったが、サマーブレイクを利用して体調を整えてきたことから、2人の対決が激しくなることが予想されるが、タイトル争いに割って入ってきそうなのは、5度の表彰台を獲得して総合3位に浮上したバーリー・バルトゥス、第11戦ドイツGPで負傷した右肘の回復に努め、中量級で最もプレミアクラス昇格の可能性が高い総合4位ディオゴ・モレイラ、来季の去就が内定した総合5位ジェイク・ディクソン、安定性に欠けるが、今季2勝を挙げた総合6位デニス・オンジュの4人。
今週末は1年前に優勝を挙げた総合8位チェレスティーノ・ヴィエッティ、前戦で今季初優勝を挙げた総合10位ジョー・ロバーツも注目の存在。日本勢の佐々木歩夢と國井勇輝はポイント圏内の進出を目指す。
Moto3™
ポイントリーダーのホセ・アントニオ・ルエダは、前戦で今季7勝目を挙げ、後半戦残り10戦250ポイントのタイトル争いにおいて、ランク2位アンヘル・ピケラスに対して、アドバンテージを3戦以上に相当する85ポイント差に拡大。
新人王争いは、総合3位アルバロ・カルペと総合4位マキシモ・キレスの一騎打ち。2人のポイント差は7だが、ホセ・アントニオ・ルエダ、アンヘル・ピケラスに続き、昨年ジュニアGP™世界選手権とレッドブル・ルーキーズ・カップを同時に制したカルペが12戦で4度の表彰台を獲得したことに対し、17歳の誕生日を待って第4戦から参戦するキレスは8戦で1勝を含む5度の表彰台を獲得し猛追している。
KTMがコンストラクター部門で圧倒的な優勢を誇る中、総合7位古里太陽、総合8位ダビド・アルマンサ、総合10位アドリアン・フェルナンデェスがホンダ勢の最高位争いを展開。
週末の注目は、前戦で3戦連続5度目の表彰台を獲得して総合5位に浮上したダビド・ムニョスと鈴鹿8時間耐久レースに初参戦した総合11位山中琉聖の2人。