アプリリアのサテライトチーム、トラックハウス・レーシングは、参戦2年目、39戦目となった第19戦オーストラリアGPのグランプリレースで起用2年目のラウール・フェルナンデェスがプレミアクラスで初優勝。同時に、アプリリアにチャンピオンシップ通算300勝目をもたらすことに成功した。
トラックハウス・レーシング初優勝
全米で最も人気のあるモータースポーツ『NASCAR』に参戦するトラックハウスが『RNF Team』の運営を受け継ぎ、アプリリアのサポートを受け、2024年から参戦を開始。参戦1年目は、ミゲール・オリベイラとラウール・フェルナンデェスを起用。最高位は第6戦カタルーニャGPと第9戦ドイツGPの6位。チーム部門で141ポイントを稼いで総合9位に進出。
参戦2年目はラウール・フェルナンデェスのチームメイトに中量級王者の小椋藍を抜擢すると、開幕戦タイGPで1年目の最高位を更新する5位に進出。第15戦カタルーニャGPで参戦1年目のポイント数を上回り、第19戦オーストラリアでラウール・フェルナンデェスが初表彰台と初優勝を挙げたことで、219ポイントに到達。チーム部門で総合7位に進出。
同時に、2002年に技術規則の大幅な変更により、『500cc』から『MotoGP™』に移行以降、現在グリッドに並ぶ全11チームの中で、11チーム目となる優勝を収めることに成功。
最多勝利を挙げるのは、ホンダのファクトリーチーム。2002年4月の開幕戦日本GPから2025年10月の第19戦オーストラリアGPまで、403戦中130勝を記録すれば、2位は119勝を挙げたヤマハのファクトリーチーム。
今季既にチーム部門を制覇したドゥカティのファクトリーチームは99勝。4位は25勝のグレシーニ・レーシング。インディペンデントチームの最高位に進出し、2023年にチーム部門とインディペンデントチーム部門を同時に制したプラマック・レーシングは9勝。KTMとアプリリアのファクトリーチームは各5勝。ホンダ・LCRは5勝。VR46・レーシング・チームは3勝。テック3は2勝。
ダビデ・ブリビオ(トラックハウス・レーシング/チームプリンシパル)
「もちろん、トラックハウスのような新しいチームで、この勝利を達成できたことを大変嬉しく思います。まだ参戦2シーズン目ですが、『MotoGP™』で勝利するのは簡単なことではありません。だからこそ、この勝利を嬉しく思います。」
「今年は『NASCAR』で既に6勝を挙げており、『MotoGP™』でも同じ結果を出す必要があったため、プレッシャーも感じていました。だからこそ、トラックハウスグループに『MotoGP™』での勝利を加えることができて嬉しいです。ジャスティン・マークスを中心にトラックハウス全員、そして素晴らしいサポートをしてくれたアプリリアに心から感謝します。」
アプリリア、歴史的なランドマーク
アプリリア機を駆けるラウール・フェルナンデェスがプレミアクラス76戦目で史上124人目、スペイン人として16人目となる初優勝を挙げ、アプリリアに2022年4月の第3戦アルゼンチンGP、2023年8月の第9戦イギリスGP、9月の第11戦カタルーニャGP、2024年4月の第3戦アメリカズGP、2025年5月の第7戦イギリスGPに続き、プレミアクラス5勝目をもたらすことに成功。
歴史が始まったのは、1987年8月の第12戦サンマリノGP。『250cc』でロリス・レジアーニが初優勝を挙げると、1999年10月の第14戦南アフリカGP『250cc』でバレンティーノ・ロッシが100勝目、2006年7月の第10戦ドイツGP『125cc』でマティア・パシーニが200勝目を達成。
2025年10月の第19戦オーストラリアGPでラウール・フェルナンデェスが優勝を挙げ、コンストラクター部門のオールクラス優勝ランキングでホンダの823勝、ヤマハの558勝に次ぐ300勝目に到達。
才能、情熱、そして革新性の上に築かれたこの歴史的な旅において、最も多くの勝利をもたらしたのは、『125cc』で12勝、『250cc』で14勝、通算26勝を挙げたバレンティーノ・ロッシ。23勝のマックス・ビアッジ、17勝のホルヘ・ロレンソを続く。
マッシモ・リボラ(アプリリア・レーシング/最高経営責任者)
「300勝はヨーロッパのモータースポーツ史上最も成功を収めたメーカーへの褒賞と同時に、唯一無二のブランド、そして最も過酷なカテゴリーである『MotoGP™』において、我々の歴史と現在を築き上げてきたノアーレの全ての人々への感謝の証でもあります。」
「300勝は2022年からアプリリア・レーシングがファクトリーチームとなることを可能にしてくれたピアッジオ・グループにとっても大きな成果です。それ以来、アプリリア・レーシングは年々着実に成長し、数々の表彰台と勝利を収めてきました。」
「今シーズンは、チームの精神を完璧に体現するマルコ・ベッツェッキの目覚ましい成長と、ノアーレを拠点とするメーカーに300勝目をもたらしたラウール・フェルナンデェスの歴史的な偉業によって、そのことを証明しました。このブランドの精神は、我々に大きな自信を与え、さらに野心的な結果を目指す原動力となります。」
次なる挑戦
レーシングスピリッツを揺さぶる、イタリアの転倒を物語る歴史は伝説のチャンピオンたちを輩出、育成するアプリリアとピアッジオ・グループは、今週末にペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットで開催される第20戦マレーシアGPから、さらなる飛躍に向けて挑戦を開始。
「このバイクは競争力があると思います。高速トラックではレファレンスと考えることができ、ストップ&ゴーが多いトラックでは、まだ劣っていますが、以前ほど遅れを取っているわけではありません。つまり、平均的に見ると、バイクは間違いなく格段に良くなったと言えます。これはファビアーノ・ステルラッキーニとノアーレのスタッフのおかげです。彼らの仕事ぶりをとても誇りに思います。」
「セパンで自分たちのバイクを見るのがとても楽しみです。セパンはかなり完成度の高いトラックで、これまであまり良いパフォーマンスを発揮したことがないトラックです。ですから、セパンで良いパフォーマンスを発揮できれば、それは我々が成長していることを意味します。2戦連続して良い結果が出ているからといって、今がものすごく速いとは言えません。実際、インドネシアで勝ったのはフェルミン・アルデグエルでした。しかし、ここ2戦では、マルコ・ベッツェッキが圧倒的に最速だったと思います。それは明らかです。 」
「ホルヘ・マルティンも我々と同じように考えています。正直に言うと、マンダリカとフィリップアイランドを楽しみにしていました。彼がこの2つのトラックで特別な存在だと分かっていたからです。そこで彼はパフォーマンスを発揮し、自信を深めてマルコのレベルに到達できるだろうと思っていましたが、茂木で起こったことから、全てが先延ばしになってしまいました。結局のところ、このスポーツは過酷です。そして、何事も当然のこととは思っていません。毎日、パフォーマンスを積み重ねていく必要があります。」
「チャンピオンで才能に恵まれているからといって、そこにいるために必要な全てのステップを踏まなければならないわけではありません。ホルヘは今、そのことをよく理解していると思います。我々としては、セパンでの開催されるプレシーズンのテストを楽しみにしています。全てを理解し、3日間の適切なテストを行うためです。ホルヘが2026年にマルコと共にチャンピオンシップを争うことに、疑いの余地がありません。」
「セパンではラウール・フェルナンデェスの反応が興味深いです。マルコがシルバーストンで優勝を挙げた後、マルク・マルケスに次いで多くのポイントを獲得しました。それで、なんとなくピンときたんです。今は、ラウールがこれで満足するのか、それとももっと怒るのか、興味があります。マルコのように、後者であることを願います。」
「表彰台の匂いを嗅ぎ始めると、きっと何か新しい発見があるはずです。それが成長する最良の手段です。マルコとラウールの両者が表彰台を争う姿を見たい。小椋藍は見た目ほど遅れてはいないと思います。彼は転倒しないように注意しながら走っていました。手の状態を考えると、自信を取り戻す必要があります。来年は非常に競争力のある4人が揃うことになると思います。バイクの開発を継続する必要があります。それだけでは十分ではないからです。それでも、我々は正しい道を歩んでいると確信しています。」
「ラウールについて、1勝だけでは十分ではないのは確かですが、少なくとも彼には相応しい勝利でした。それは彼に『できる』という自信を与えてくれたのです。ライダーはチームやランキングのためだけでなく、自分自身のためにも勝利を必要としています。ラウールはかつて常に圧倒的な速さを見せていました。彼の才能のレベルについては議論する必要はないと思います。議論すべきは、結局のところ、彼がどのように仕事に取り組んでいたかです。今はダビデ・ブリビオ、そしてファビアーノ・ステルラッキーニの協力を得て、彼には信頼できる仲間が揃っていると思います。これは本当に重要なことです。今後の3戦、特にセパンでの走りが本当に楽しみです。」
「ラウールが2年連続でセパンテストを欠場したことを忘れてはいけません。セパンテストは、バイクの挙動を理解し始めるテストです。彼はルーキーながら最初から非常に速いチームメイトに出会いました。そのため、彼は確かに少し苦戦し始めました。鍵となったのはアラゴンでのテストだったと思います。そこで我々は彼に大きな自信を与えるようなことを試しました。そして、その瞬間から彼は常にトップ10以内に留まりました。予選だけでなく、そのギャップはどんどん縮まっていきました。彼の活躍を嬉しく思います」とマッシモ・リボラが期待を語った。
アプリリアはコンストラクター部門でKTMに対して47ポイント差の総合2位に進出。過去最高位、そして、シーズン最多優勝を目指して、2016年と2024年の7位が最高位のペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットに挑戦する。