オフィシャルウェブのシリーズ企画『In conversation with...(イン・カンバセーション・ウィズ...)』は、所属するドゥカティ・レノボ・チームに合流するため、年間表彰式『MotoGP™ Awards』に出席のために最終戦バレンシアGPが開催されたサーキット・リカルド・トルモを訪れたマルク・マルケスを招待。2019年以来6年ぶりにタイトルを獲得したシーズンを振り返った。
負傷した右肩の回復具合
「肩は大丈夫。幸せ。体調は良く、今のところ医師たちも喜んでくれている。これが最も重要なこと。それは、この怪我が以前の怪我に影響を与えていないということで、これから迎える冬は医師、理学療法士、そして僕自身が細心の注意を払って、あらゆる処置を講じることができる。この怪我はチャンピオンシップを祝うときだったから、良いタイミングではなかったけど、全てを成し遂げ、全てを締め括った後だったから、良いタイミングとも言える。」
困難を乗り越え、タイトルを奪回したシーズン
「このチャンピオンシップは最も重要だった。多くのことに戦った。自分自身との闘い、それが最も困難だった。そのために多くのことを変えた。自分の中には、チャンピオンシップ以上のものが存在する。」
「今シーズンから幾つかの教訓を得ることができる。そのことをこのインタビューで話すつもりはない。来シーズンのライバルたちに聞かれてしまうから。だけど、結局のところ、最も重要なのはスピード。スピードがあれば、速く走ることができれば、状況をコントロールしやすくなる。」
過去との比較
「異なるマルク。他のマルクでも勝っていたから、最高のマルクとは言えないだろう。別の強さがある。つまり、今は腕もフィジカルコンディションも、メンタルも違うと言えるだろう。適応する必要があった。2013年のようなレースはできない。」
シーズンのターニングポイント
「僕にとって最も重要なグランプリはカタールだった。オースティンで大きなミスを犯した後、僕のライディングスタイルには鬼門のトラックで、スプリントとグランプリレースを合わせて37ポイントを稼いだ。あそこで、今年だと気づき始めた。」
アレックス・マルケスとの兄弟関係
「タイの後、アレックスがシーズンを通して超速であることを確認した。バイクに乗っていたとき、『どこで彼を追い越すことができる?ミスはしたくない』と考えてしまい、帰宅してから『こんな状態ではレースができない』と彼に伝え、椅子に座らせ、『僕たちは兄弟。お互いをとても尊重しているけど、これはレース』と言った。何かが起こったとしても、それは起こり得ること。他のライダーを追い越して、フロントを失うこともある。『もし何かが起こったとしても、僕たちは兄弟。明日はまた別の日。同意するか?』と訊いたら、『同意する』と返答してくれたから、僕たちは握手を交わした。」
「僕たちには2つの選択肢があった。喧嘩をして彼との間に緊張感を生み出すか、それとも、これまで以上に親密になるか。僕たちは2人とも、これまで以上に親密になることを選んだ。それは言葉として話し合ったわけではなく、お互いを助け合おうという気持ちだった。つまり、彼は僕を助け、僕は彼を助ける。今年、僕たちは『MotoGP™』の歴史に残る素晴らしいことを成し遂げた。」
フランチェスコ・バグナイアの回復
「ペッコが本来のレベルに戻る必要があります。彼はバイクの上で非常に敏感であり、それが将来において大いに役立つだろう。スピードはある。プラクティスやレースでスピードがあることを証明した。例えば、もてぎ。彼は何をした?週末に37ポイントを稼いだ。僕はプッシュしたけど、彼に追いつくことができなかった。時には僅か2ヶ月で全てをリセットできることもある。12月と1月は彼にとって全てをリセットし、マレーシアのテストはリスタートするのに最適な時期になるだろう。」
ジジ・ダリーニャの存在
「ビックボスのジジとドゥカティに心から感謝している。結局のところ、才能を発揮する機会を与えてくれたのはチームだから。僕への信頼を彼らは示してくれ、ファクトリーチームに移籍させるという、非常に重要で、非常に難しい決断を下してくれた。」
「僕たちはジジと一緒に仕事に取り組むけど、彼のメンタリティはチームのボスとして最適。全てを正しくオーガナイズし、状況を正しくコントロールするから。あるレーストラックで『ダメ、ここはダメ』と言うと、彼は僕に『お前は絶対にダメじゃない。悪くも良くもなるけど、絶対にダメじゃない』と言ってくれた。あの言葉は本当に助けとなった。僕たちはライダーだけど、人でもある。もちろん、トラックによっては不安や重圧を感じることもある。ファクトリーチームの一員であり、ドゥカティ・レノボ・チームに所属する。チャンピオンシップを目指して戦わなければいけない。」
来シーズンの展望
「アプリリアは大きく成長している。KTMもますます良くなっている。ホンダはシーズン序盤から大きな進歩を遂げた。僕たちは『MotoGP™』、これはレース。心配?結局のところ、僕はドゥカティに所属する。ベストチームに所属する。ベストバイクを走らせる。」
「2026年シーズンは、チャンピオンシップやサーキットだけでなく、サーキット外やパドックでも、非常に興味深いものになるだろう。最も難しい市場になることが予想される。僕のキャリアにおいて、規則が変更されたことは一度もなかった。タイヤの変更はあったけど、バイクがどうなるか、あるいは自分にとって最適なプロジェクトは何かを予測するのは簡単だけど、どれがベストバイクになるかは誰も保証できない。自分の直感に従う必要がある。」
プレミアクラス8度目のタイトル
「ライダーを続けるのは、勝てると信じているから。もし勝てないなら、引退する。チャンピオンシップを争うことこそが、最大の目標。目標であるべきであり、それは肩に重くのしかかるプレッシャーとなるだろう。」
第18戦インドネシアGPで右肩を負傷したマルク・マルケスは、キャリア通算19年目、プレミアクラス14年目のシーズンに向けた本格的な準備となる来年2月のオフィシャルテストを視野に入れ、リハビリの強度を高めながら、トレーニングを開始する。