「チームメイトが最初のライバル…」

ミル対リンス、マルケス兄対エスパルガロ弟、ロッシ対モルビデリ、チームメイト同士の対決に注目。

世界選手権が初開催されてから73年目、技術規則の変更に伴いカテゴリーの名称が『500ccクラス』から『MotoGP™クラス』に変更されてから20年目のシーズンが3月28日に開幕。エントリーする11チーム22人のレギュラーライダーたちが頂点を目指し、タイトル争いに挑む。

3月3日、最高峰クラス22年目を迎えるバレンティーノ・ロッシは、ペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チームが主催したオンラインによるメディアスクラムに出席した際にタイトル争いの候補が「少なくても10人」と予測。

そのタイトル争いの中心的存在となるのは、現王者ジョアン・ミル。「誰もがチームメイトに勝つことを最初に望む。アレックスは僕に勝とうとトライしてくるはずだ。自分のポジションを維持したい」と、同僚の挑戦を受けて立つと発言すれば、緒戦の第2戦スペインGPで負傷した右肩が回復したアレックス・リンスは「一番のライバルはチームメイト。彼に勝つために100%全力で挑む」と宣言。

チャンピオンドキュメンタリー『INSIDE SUZUKI ~The Crowning Moment(インサイド・スズキ~ザ・クラウニング・モーメント)』では、「ナンバー1、ナンバー2は存在しない。同等に扱う」とスズキの首脳陣はチーム運営の哲学を説明。今年もミルとリンスが互いを尊重しながら競り合い、タイトル獲得に挑戦する。

チャンピオンチーム、チーム・スズキ・エクスターは、チーム体制を維持すれば、ヤマハのファクトリーチーム、モンスターエナジー・ヤマハは、昨年ストップ・ザ・マルケスの最有力候補に挙げられ、年間最多タイとなる3勝を挙げたファビオ・クアルタラロをサテライトチームから昇格。ヤマハ所属5年目となるマーベリック・ビニャーレスは、「一緒に仕事をする。ファビオと一緒に改善を試みよう」と『YZR-M1』の戦闘力アップを重視する考えを最終戦以降発言してきたが、常々「チームメイトに勝つこと、ヤマハ勢で1番手になること」を目標に設定。

3冠奪回を目指すホンダのファクトリーチーム、レプソル・ホンダ・チームは、4年間KTMのエース的存在として、開発作業に取り組みながら、2020年には自己最高位の総合5位に進出したポル・エスパルガロを招集。『125ccクラス』と『Moto2™クラス』でタイトル争いを繰り広げたライバルであり、カタルーニャ州選手権時代のチームメイトが加入したことで、最も刺激を受けるのはマルク・マルケス。2年前に元王者ホルヘ・ロレンソが加入した際には、全19戦で優勝12回、2位6回の偉業を達成。チームマネージャーのアルベルト・プーチは、「これこそが正にチームを成長させる」と、チーム内での競争が結果に反映されることを期待。マルケス兄の復帰時期、エスパルガロ弟のマシン適応に注目が集まる。

師弟コンビが結成されたペトロナス・ヤマハ・セパン・レーシング・チームも注目。バレンティーノ・ロッシは、「アカデミーが立ち上げたとき、フランコと一緒に走ることになるとは思ってもいなかった。アカデミーのライダーたちと対決し、友人になるには、正真正銘の友情が必要だ。他のバイクでも対戦していることから、あまり心配していない」と、関係に問題が生じないことを説明すれば、フランコ・モルビデリは、「バレだけでなく、友人たちとは公平で正しい関係を望む。彼は素晴らしい友人。友人以上であり、人生のあらゆる面において、公平で正しくなることを願う。一対一の対決をする。彼とだけでなく、誰に対しても同じように走らなければいけない。何も変わらない。当然、僕たちは何か大きなことに向かってファイトをするけど、友情や愛ほど重要なものは何もない。人としての側面はスポーツよりも重要で、これはゲームであり、子供の頃からプレイしてきた非常に重要なゲームだけど、それだけのこと。これはレース中にも覚えておくことが重要であり、そうすることを願っている」と、自論を唱えた。

KTMのファクトリーチーム、レッドブル・KTM・ファクトリー・レーシングは、2勝を挙げたミゲール・オリベイラを昇格させ、ブラッド・ビンダーとのコンビを再結成。1995年生まれの両雄は、2015年、2017年、2018年にチームメイトとして互いに切磋琢磨しながら、スキルとリザルトを向上。昨年はビンダーがデビューから3戦目で初優勝を挙げると、オリベイラがレスポンスするように2勝を挙げていた。

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