最高峰クラスに参戦する6メーカーの11チームは、73年目のシーズンに向け、開幕戦カタールGPの開催地、ロサイル・インターナショナル・サーキットで計5日間、シェイクダウンテストを含めて6日間のテストを開催。2年前の2019年に史上最大の接戦が繰り広げらたが、技術規則による開発の制限やコンセッションの優遇措置、テスト日数が影響することから、トップ15までのタイム差(15.093秒)を更新する可能性が高まっている。
チャンピオンチームのチーム・スズキ・エクスターは、今年も大幅な変更をせず、ステップ・バイ・ステップで開発作業を継続。『GSX-RR』の高い戦闘力は実証済みながら、フェアリング、スイングアーム、シャーシセッティング、ジオメトリの作業を進めながら、ジョアン・ミルとアレックス・リンスは、開発の初期段階にある2022年型エンジンを試す機会もあり、ロングランとタイムアタックを実行できなかったが総合7番手と8番手に進出。抜群の安定感を披露した。
2007年以来13年ぶりにコンストラクター部門を制したドゥカティは、6名のレギュラーライダーにテストライダーを加え、7名の大所帯でテストプログラムに着手。注目を集めた新型エアロボディの効果もあり、2020年型エンジンを搭載した『Desmosedici GP21』を駆ける4名が『350.0㎞/h』を突破して、トップスピード部門でトップ4を独占。その一方で新人3名を含む全6名が4日目にロングラン、レースシミュレーションを実行。
エースライダーに指名されたジャック・ミラーは、その期待に応えるように、非公式ながらオールタイムラップレコードを更新して、最高峰クラス7年目で初めて総合1番手に進出。ミラーに注目が集まった中、フランチェスコ・バグナイアとヨハン・ザルコは総合5番手と9番手に進出。当地での2連戦だけでなく、シーズンを通じて、タイトル争いをかき回すダークホース的な存在として、番狂わせを演じてくれるかもしれない。
最多7勝を挙げたヤマハ勢も3名のテストライダーを招集して、7名の大所帯でテストを決行。チーム発表会で、エンジン問題の解決が宣言したことから、シャーシに注目が集まると、当地で優勝経験があるバレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレス、ファクトリーチームからテストデビューしたファビオ・クアルタラロが比較検証に着手。新型カウリングとフロントフォーク、フロントフェンダーなどのテストプログラムにも取り組み、徐々に好感触を掴んできたロッシは総合11番手まで浮上すれば、際立つペースで周回を刻んだビニャーレスとクアルタラロは総合2番手と総合3番手に進出。昨年の2戦連続ワンツーフィニッシュを期待させるパフォーマンスを見せた。
終盤に最多ポイントを稼ぎ、ライバルたちから一目を置かれる存在となったフランコ・モルビデリは、Aスペック・プラスを磨き上げることに集中して総合4番手に進出。22名中唯一のチーム契約ながら、『MotoGP™クラス』初のサテライトチャンピオンに向けて、昨年欠けていた序盤のスタートダッシュに向けて対策を講じていた。
3勝を含む9度の表彰台を獲得して、初めてコンストラクター部門のタイトル争いに加わったKTMは、コンセッションの適用外となることから、開幕戦に提出するエンジンを開発。優勝を経験したミゲール・オリベイラとブラッド・ビンダーは、初参戦の2017年から毎年苦戦を強いられるトラックで総合16番手、17番手と際立つラップタイムを刻まなかったが、昨年のテスト時より確実にペースが上がり、『RC16』の戦闘力が高まっていることを証明。昨年は連戦の2戦目で成績が向上していたことから、緒戦をどう切り抜けるかに注目が集まる。
優勝なしの不名誉なシーズンから挽回を図り、三冠奪回を狙うホンダは、マルク・マルケスの復帰に注目が集まる一方で、4日間のオフィシャルテストで10度の転倒を記録。ホンダ勢で唯一表彰台を獲得したアレックス・マルケスが右足の第4中足骨に小さな亀裂が入ってしまうネガティブな一面があったが、新加入のポル・エスパルガロは素早い適応を見せ、ホンダ勢最高位総合10番手以上のインパクトを与え、ウインターブレイクを返上して12月、1月、2月にテストを繰り返し来たテストライダー、ステファン・ブラドルと共に戦闘力の高さを証明。本番の開幕戦でドゥカティ、ヤマハ、スズキに対してどこまで闘えるのか注目が集まる。
6メーカーで唯一コンセッションの恩恵を受けるアプリリアは、セカンドライダーをテストの結果で決めるという当初の予定を前倒しして、ロレンソォ・サバドーリを指名。ブラッドリー・スミスの就任が未定となったことから、僅か2名のテスト参加となったが、総合6番手に進出したアレイシ・エスパルガロが初日にキャリア初の1番時計を記録。大幅な改善が施された『RS-GP』の戦闘力が披露され、2000年7月の第9戦イギリスGP以来、『MotoGP™クラス』で初となる表彰台獲得に期待が高まる。
史上最多優勝者タイとなる9人が優勝を挙げ、15人が表彰台を獲得した2020年シーズンを超える接戦が期待される2021年シーズンは、来週末に開幕。
チャンピオンシップのオフィシャルウェブサイト『motogp.com』が提供する有料動画サービス『VideoPass(ビデオパス)』では、開幕戦カタールGPから最終戦まで、3クラスの全戦全セッションを完全網羅の生中継で配信。マルチスクリーンを利用すれば、国際中継の映像だけでなく、空撮映像と車載映像の同時視聴が可能。
各セッション終了後、決勝レース終了後には、フルビデオを準備。生中継を見逃しても、オンデマンドなら無制限に視聴が可能。1992年の開幕戦日本GPから今日まで、約4.5万本の動画は見放題。
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