『500ccクラス』で優勝経験があり、『スーパーバイク世界選手権』の参戦経験があるニュージーランド出身のピットレーンレポーター、サイモン・クラファーがロサイル・インターナショナル・サーキットで開催されたオフィシャルテストを総括。第1章は、高い戦闘力を披露したヤマハに焦点を当てる。
「ヤマハは2021年のプレシーズンの準備においてトップに位置しました。特にマーベリック・ビニャーレスとファビオ・クアルタラロは1ラップで速かっただけでなく、4人全員がロングランで速かったからです。大変印象的でした。」
「我々は昨年型と今年型のシャーシをテストしているところを目撃しました。2人のオフィシャルライダーにとって、この新しいシャーシが最初の選択肢であることことを確認しました。トップスピードが向上したように見えたフロントフェアリングの僅かな変更、新型スイングアーム、電子制御、そして、私が『ザ・ボールディング・マン(はげかかった男)』と呼ぶ根本的な新しいフロントフェンダーを目撃、確認しました。そのフロントフェンダーは、タイヤの上部から突き出ていて、ラジエーターに向かって空気が流れるようになっており、2020年のアラゴンのように、ヤマハを悩ませていたフロントタイヤの過熱問題を改善することが目的だと思われます。他のメーカーも近年同じような問題に苦しめられたことから、注意深く看視することは確かです。」
「カタールで、なぜこれほど速いのかと疑問に思いました。ヤマハのバイクは、それほど速くありません。ストレートは長くですが、インフィールドでタイムを稼ぎます。ヤマハはスズキと同じようにV4と比較して扱いやすく、旋回が良い。これが理由だと思います。」
「2日間、グリップのレベルは高かったです。グリップが高いということは、ヤマハ機が上手く旋回でき、速いコーナースピードを維持できることを意味します。グリップの状態が低い場合、その利点が失われたところを目撃しました。」
「カタールは彼らにとって歴史的にグッドなトラックです。欧州に到着したとき、全ての新しいパーツが搭載された2021年型シャーシがどのように反応するのか少し神経質になると思います。チャンピオンシップで勝つか、負けるかを左右する場所だからです。」
73年目を迎えるチャンピオンシップのオープニングラウンド、開幕戦カタールGPは、3月26日に初日、28日に決勝レースが開催。サイモン・クラファーがピットレーンレポーターを務める国際中継は、3クラスの全戦全セッションを完全網羅の生中継で配信。