後半戦に注目すべき6人のライダーたち

前半戦で様々な理由で期待通りのパフォーマンスを発揮できなかったが、後半戦に上位進出が予想されるライダーたちに注目

アレイシ・エスパルガロ
最高峰クラス180戦目となった開幕戦カタールGPで優勝者から5.934秒差の7位。第2戦ドーハGPで最短タイムギャップとなる5.382秒差の10位。第3戦ポルトガルGPでは、アプリリア所属1年目、2017年3月の開幕戦カタールGPと9月の第14戦アラゴンGP以来となるベストリザルトタイの6位を獲得。

第8戦ドイツGPの予選では、2015年6月の第8戦TTアッセン以来5度目の1列目を獲得し、アプリリアにジェレミー・マクウィリアムスがポールポジションを獲得した2000年10月の最終戦オーストラリアGP以来となる1列目をもたらすことに成功。完走した7戦でトップ10入り、6戦でトップ8入りを達成し、アプリリア機『RS-GP』の戦闘力を証明した。

アプリリアは、アンドレア・ドビツィオーソとのパートナーシップを締結し、ヘレス、ムジェロ、ミサノでプライベートテストを実施。今後もテストプログラムが継続されることから、『MotoGP™クラス』でのベストリザルトだけでなく、2000年7月の第9戦イギリスGP以来、ドライコンディションでは2000年5月の第6戦イタリアGP以来となる3位表彰台に期待が高まる。

ブラッド・ビンダー
デビューから3戦目に初優勝を挙げ、新人王を獲得した後、2年目の序盤は同僚と共に困難な時期を過ごしたが、ヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで開催されたオフィシャルテストで試した改良型のフレームが第6戦イタリアGPで投入されるとパフォーマンスが向上。ミゲール・オリベイラが3戦連続のトップ2入りで脚光を浴びた一方で、ビンダー兄は5位、8位、4位に進出。

さらに、第2戦ドーハGPは18番グリッドから5位、第3戦ポルトガルGPは15番グリッドから5位、第5戦フランスGPは21番グリッドから13位、第8戦ドイツGPは13番グリッドから4位、第9戦TTアッセンは21番グリッドから12位まで挽回。予選をはるかに上回るパフォーマンスも評価の対象となり、KTMは1年延長のオプションを更新しただけでなく、2024年末まで契約を更新。『MotoGP™ FANTASY(MotoGP™ファンタジー)』のユーザーたちからは、サンデーライダーの称号が与えられ、高い支持を集めている。

ポル・エスパルガロ
プレシーズンのオフィシャルテストでは、KTM機からホンダ機への乗り換えが順調に思われたが、前半戦9戦が終了した時点で、転倒数は4年間所属したKTM時代を既に上回り、最高峰クラス2年目に記録した自己最多の14回に接近する13回を記録。レース中の転倒はホームレースの第7戦カタルーニャGPの1回だけだが、ベストリザルトは開幕戦カタールGPと第5戦フランスGPの8位。

ホンダ勢が苦難な状況に陥っていたが、マルク・マルケスが第8戦ドイツGPで優勝を挙げ、一石を投じたことから、「リセットが必要。自己批判が必要。僕は十分に速くなかった。これからは、マルクと同じシャーシにして、セッティングをコピーする。走行ラインもコピーする。彼はバイクのポテンシャルを証明してくれた。僕はそのレベルに位置しなければいけない。唯一の手段はセッティング、バイク、シャーシをコピーして、彼の走行ラインで走ること。彼が何をしているのかを理解するために全く同じバイクを使う必要がある。バイクからパフォーマンスを100%引き出すにはどうする必要があるのかを理解する。今日初めてチームメイトから大きく引き離された。キャリアで14秒も引き離されたことは一度もなかった。目が覚めた。このバイクで勝てることが証明されたが、僕にはその能力がないから、コピーが必要」と状況を受け入れ、率直な心境を語り、今後の対策を説明。

第9戦TTアッセン終了後、サマーブレイクを利用し、次々に投入した新型エアロボディと新型シャーシを含めたデータを分析し、後半戦の巻き返しを誓った。

フランコ・モルビデリ
ファクトリースペックが供給されなかったが、自己最高位となる総合2位を獲得した後、ライバルたちから一目を置かれる存在となったが、開幕戦カタールGPは18位。ライバルたちがバージョンアップされたプロトタイプマシンが供給された中で、引き続き型落ちのヤマハ機からポテンシャルをフルに引き出すことに努め、第3戦ポルトガルGPで4位、第4戦スペインGPでは3位表彰台を獲得。本来の走りを取り戻したように見えたが、第6戦イタリアGPでは再びポイント圏外の16位。第7戦カタルーニャGPでもスピード不足が明らかだった。

シーズン2度目のオフィシャルテストは、第5戦フランスGPの2日目に負傷した左膝の状態が良くないことから、午後の走行をキャンセル。第9戦TTアッセン前にはトレーニング中に左膝を再度痛めたことから欠場を強いられ、半月板と前十字靭帯を手術。退院後、8週間のリハビリプログラムを開始したが、後半戦開始の2連戦は万全な状態で臨むことができないかもしれないが、昨年優勝を挙げたミサノ、アラゴン、バレンシア、そしてポルティマオが控えていることから、高速トラック以外で再び主役に躍り出るだろう。

アレックス・リンス
カタールでの2連戦が終了した時点で、優勝を挙げたヤマハ勢、表彰台を獲得したドゥカティ勢に次ぐ総合5位に進出。タイトル争いに向けて順調なスタートを切ったように思われたが、第3戦ポルトガルGPから優勝争い、表彰台争いを展開中に4戦連続の転倒。ホームレースの第7戦カタルーニャGP開催前日には、自転車トレーニング中のアクシデントが原因で右手首を骨折したことから欠場。復帰後の2連戦は連続11位。

前半戦が終了した時点で、ポイントリーダーから123ポイント差の総合14位。タイトル争いから大きく後退したが、5週間のサマーブレイクは、身体面だけでなく精神面もリセットする絶好の機会。後半戦は過去に好走し、好結果を獲得したレッドブルリンク、シルバーストン、ミサノ、アラゴン、ポルティマオ、バレンシアを訪れることから、仕切り直しにはうってつけとなるだろう。

ホルヘ・マルティン
デビュー戦で衝撃的なスタートダッシュを決め、2戦目で2006年のダニ・ペドロサ、2008年のホルヘ・ロレンソに続き、3人目となるポールポジションから表彰台を獲得。会心の最高峰クラスデビューを飾ったが、第3戦ポルトガルGPのフリー走行3で転倒した際に5.2秒間に20Gフォースを超える7度の衝撃、25Gフォースを超える4度の衝撃を受け、全身8ヶ所を骨折。右手中手骨、右足首、左脛骨高原を手術したことから4戦に欠場した後、第7戦カタルーニャGPで復帰したが、第9戦TTアッセンでは右手が痺れ、感覚も力もなくなったことからリタイアを決断。

デスモセディチGP21への適応が優れ、優勝争いに加わる高い存在能力を証明したことから、負傷とフィジカルコンディションが回復すれば、新人王だけでなく、上位進出の候補に浮上するだろう。

50%割引で提供する『VideoPass(ビデオパス)』では、1992年開幕戦日本GPから第9戦TTアッセンまで約4.5本の動画をオンデマンで配信