第5戦フランスGPは今週末、ルマンのブガッティ・サーキットで5月12日(金)に初日、13日(土)に公式予選と『Tissot Sprint(スプリント)』、14日(日)に決勝レースを開催。2週間前の前戦スペインGPで今季2勝目を挙げたフランチェスコ・バグナイアが昨年優勝争い中に痛恨の転倒を喫したが、8年前の2015年にキャリア初表彰台、中量級2年目の2018年に優勝、プレミアクラスでは3年目の4位が最高位の当地で、ライバル勢とのアドバンテージ拡大を狙う。
サテライト勢の挑戦
当地で2020年(ダニロ・ペトルッチ)、2021年(ジャック・ミラー)、2022年(エネア・バスティアニーニ)に優勝を挙げたドゥカティを牽引するエースを追走するのは、チーム部門で総合1位に進出するムーニー・VR46・レーシング・チームの総合2位マルコ・ベツェッキと総合6位ルカ・マリーニ、チーム部門総合2位プリマ・プラマック・レーシングの総合7位ホルヘ・マルティンと総合9位ヨハン・ザルコ、グレシーニ・レーシングの総合10位アレックス・マルケス。
前戦後のオフィシャルテストでは、マルコ・ベツェッキとルカ・マリーニが1番手と2番手に進出。チャンピオンマシンの可能性と性能をさらに引き出すとともに、セットアップの微調整、ライディングスキルの向上、スタート練習にも取り組むと開幕前のオフィシャルテスト初日に転倒を喫したことで、出遅れていた総合15位ファビオ・ディ・ジャンアントニオは、テストで4番手に進出。
昨年勝者エネア・バスティアニーニは、開幕戦で骨折した右肩の肩甲骨を完治させるために欠場を決断。ドゥカティ・コルセは『スーパーバイク世界選手権』に参戦するダニロ・ペトルッチを代役に指名。2018年2位、2019年3位、2020年にキャリア2勝目を挙げたトラックで、2020年11月の最終戦バレンシアGP以来30ヶ月ぶりにドゥカティ機を駆ける。
狙うはルマン初優勝
決勝レースで2020年8月の第6戦スティリアGP以来33ヶ月4年ぶりとなるダブルポディウムを達成したKTMは、コンストラクター部門とチーム部門で総合2位に浮上。
3年前に過去最高位となる3位表彰台を獲得したトラックに、連続してトップ3に進出した総合3位と4位に浮上したブラッド・ビンダーとジャック・ミラーが乗り込めば、ガスガス・ファクトリー・レーシング・テック3はホームグランプリ。総合16位アウグスト・フェルナンデェスはデビューレースから5戦連続のポイント圏内を目指し、テストライダーのジョナス・フォルガーはポル・エスパルガロの負傷代役を務める。
ドゥカティ&KTMに挑戦
コンストラクター部門で総合3位に後退したアプリリアの総合5位マーベリック・ビニャーレスと総合13位アレイシ・エスパルガロは、事後テストで徹底的に課題のスタート練習に取り組み、特にビニャーレスは12年前にキャリア初優勝と初表彰台、7年前にプレミアクラス初表彰台、6年前に優勝を挙げた舞台でポイントリーダーとの39ポイント差に挑戦。
総合23位ラウール・フェルナンデェスは、序盤4戦で3戦に問題が発生した右前腕を先週木曜日に手術。今週木曜日にメディカルチェックを受けることになれば、総合14位ミゲール・オリベイラは、前戦の決勝レースで接触転倒した際に左肩を脱臼。精密検査の結果、上腕骨の骨折、関節唇の損傷も判明したことから、テストライダーのロレンソォ・サバドーリが代役を務める。
マルク・マルケスの出場は?
前戦でポイントを稼げなかった総合8位アレックス・リンスと総合20位ジョアン・ミルは、事後テストを利用して、ホンダ機の理解を深めることに専念。前戦の決勝レースでホンダ勢の最高位でフィニッシュした総合17位中上貴晶は、テストで70ラップを周回。2020年から3年連続して7位に進出したルマンで今季の最高位となった前戦の9位以上を狙う。
開幕戦で右手の第1中手骨を骨折したマルク・マルケスは、スペインの首都マドリード市内の病院で回復具合を確認するために検査を受け、その結果次第で参戦するかどうかを医師団と相談して決断する。
ヤマハ、復調を目指す
前戦の『スプリント』は3度目のポイント圏外。決勝レースはロングラップペナルティの後に10位と11位まで挽回した総合11位ファビオ・クアルタラロと総合12位フランコ・モルビデリだったが、事後テストでは、多くのテストプログラムに取り組んで88ラップと80ラップを周回。2年前に表彰台を獲得、左膝を負傷したルマンで、共に今季2度目の上位進出、上位陣とのギャップを詰めに行く。
Moto2™
今季2勝目を挙げて総合1位に再浮上したペドロ・アコスタと同点で並ぶ総合2位トニー・アルボリーノの対決に注目が集まるが、前戦後のテストで総合1番手に進出した総合3位アロン・カネト、今季2度目の表彰台を獲得した総合4位アロンソ・ロペス、前戦優勝の総合5位サム・ロウズらがチャンピオンシップをリードするトップ2に挑戦。
前戦で接触転倒を喫したが、好走を見せた小椋藍は、事後テストに参加。プレシーズンに開催された2日間のプライベートテストと3日間のオフィシャルテストを欠場したことから、ライバルたちと比較して、はるかに不足している走り込みと今年供給されたカレックス製のシャーシとトライアンフ製のエンジンをより良く理解する機会となったことから、昨年8番グリッドから5位に進出したトラックでどのような走りをするのか注目。
開幕戦で腰椎を骨折した野左根航汰は、日本での治療とリハビリ期間を経て復帰予定。木曜日にメディカルチェックを受けるが、第3戦アメリカズGPのフリー走行3で右手中手骨を骨折したダーリン・ビンダーの参戦は微妙。欠場する場合には、先週末にポルトガルのエストリル・サーキットで開催された『Moto2™欧州選手権』でポールポジションからレース1とレース2で独走優勝したセナ・アジウスを前戦に続き、代役として指名する。
Moto3™
レギュラーライダー全28人中、唯一欠場するのは、地元フランスチーム、CIPグリーンパワーに所属するクラス唯一のフランス人ライダー、ロレンソォ・フェロン。開幕戦のウォームアップラップ中に脱臼した右肩のリハビリ中であることから、第2戦アルゼンチンGPから継続起用するアンドレア・ミニョを再招集。
注目は、第3戦アメリカズGPと第4戦スペインGPで連続優勝を挙げて総合3位に浮上したイバン・オルトラ、総合1位ダニエル・オルガド、総合2位ディオゴ・モレイラの参戦2年組。
昨年優勝の総合4位ジャウメ・マシアをはじめ、前戦後のテストで総合1番手に進出した総合10位デニス・オンジュ、日本勢筆頭の総合6位鈴木竜生、昨年2位の総合9位佐々木歩夢、総合13位鳥羽海渡、総合17位山中琉聖、古里太陽が優勝、表彰台、ポイント圏内の進出を目指す。
天気予報
週末は3日間を通じて曇りが予報され、最高気温19度、最低気温10度。降水確率は金曜日33%、土曜日29%、日曜日29%。