KTMは、2017年に参戦を開始してから8年目、2チーム4台体制となってから6年目となった2024年シーズンに起用したブラッド・ビンダーが4年連続のトップ6入りとなる総合5位に進出、ペドロ・アコスタが総合6位に入り、新人王を獲得したが、ジャック・ミラーは総合11位から14位、アウグスト・フェルナンデェスは総合17位から20位に後退。
コンストラクター部門では、2年連続の総合2位に進出したが、ティソ・スプリントは昨年4月の第4戦スペインGP以来となる優勝を逃し、決勝レースは2022年10月の第17戦タイGP以来となる優勝を挙げることができず、次のステップに向けて、体制を変更。
ティソ・スプリントで2勝を含む8度の表彰台、決勝レースで2勝を含む9度の表彰台を獲得した総合4位エネア・バスティアニーニとショートレースで2勝を含む3度の表彰台、グランプリレースで1勝を挙げた総合7位マーベリック・ビニャーレスを招集。
さらに、チームマネージャーには、軽量級でマイク・ディ・メッリオ、マルク・マルケス、サンドロ・コルテセ、ブラッド・ビンダー、ペドロ・アコスタ、中量級でヨハン・ザルコ、レミー・ガードナー、アウグスト・フェルナンデェス、ペドロ・アコスタと共に10回のタイトル獲得に成功したレッドブル・KTM・アジョのチームマネージャー、アキ・アジョを招聘。
KTM、ガスガス、ハスクバーナ、MVアグスタ、WP(サスペンション)を傘下に持つピーラー・モビリティの競技部門を統括するモータースポーツディレクターのピット・バイラーは、最終戦ソリダリティGPの際にインタビューに応え、2024年シーズンを総括。参戦9年目となる2025年シーズンに向けた体制の変更を説明した。
2024年の評価
「正直なところ、特にブラッド・ビンダーとジャック・ミラーに対して、我々の期待は少し高かったですが、浮き沈みがありました。非常に厳しい夏を過ごしましたが、少なくとも状況を安定させることができ、それなりの結果を得ることができました。」
「振り返ってみると、土曜日に6回、日曜日に6回の表彰台を獲得しました。我々は2番目のファクトリーです。それは良いことですが、当然、素晴らしい仕事をしたドゥカティにもっと近づけると考えていました。彼らを祝福する必要がありますが、我々は戦い、努力し、学習し続けます。」
「新たに2人のライダーが加入することで、競技面の観点から、我々は良い位置にいると感じており、ここ数週間でバイクのことをより多く学びました。これは重要なことです。」
チームマネージャー変更
「これから言うことを悪く思われたくないのですが、友人として、フランチェスコ・グイドッティがKTMを離脱することを嬉しく思います。残念なことに、多くの小さな理由で、望んでいた成功を収めることができませんでした。」
「アキ・アジョの起用を決断しました。彼はライダーと非常に密接に働き、トラック上で何をすべきかについて良い助言を与えることができると考えたからです。ライダーだけでは、週末にバイク間のギャップを埋めることはできないことから、優れたバイクを製造するには、ファクトリーでやるべき基本的な作業があります。」
アキ・アジョへの期待
「誤解して欲しくありません。アキ・アジョが全ての問題を解決するために来るとは考えていませんが、不足している部分を共有すれば、例えば、ファクトリーで優れたバイクを製造し、ライダーは適したタイミングでそのバイクを走らせますが、それは、ライダーだけの問題ではありません。チームの計画であり、タイムアタックをどのタイミングで実行するのかという組織的な側面の全てです。」
「アキ・アジョがおそらく、その分野で最も優れた1人であると信じており、常に、我々のために、チャンピオンを育成する能力を具えていました。ブラッド・ビンダーとペドロ・アコスタは彼のことを良く知っており、彼と仕事をすることを楽しみにしています。彼は彼らをチャンピオンに育てたことから、我々は必要な最後のコンマ数秒の戦いにおいて、エキストラを与えてくれると信じています。改めて、最終日まで全力を尽くしてくれたフランチェスコ・グイドッティに感謝します。友人として、去ることを嬉しく思いますが、将来がどうなるか誰も分かりません。」
テクニカルディレクター不在
「ファビアーノ・ステルラッキーニは全てに取り組もうとするタイプでした。我々は別れ、セバスチャン・リッセは、アキ・アジョと共に、トラック上の技術的な決定に100%責任を負います。ファクトリーでは、エンジンとシャーシの面で非常に強力なチームがいます。彼らは他の責任も引き受けることになり、ダニエル・ペドロサと共にテストチームのプログラムを率います。私が今名前を挙げた全員が各レース後に決断を下すチームと見ることができます。」
「1人だけの仕事ではありません。次の段階に進むためのチームの努力です。『MotoGP™』のプロジェクトを全て決めることは、誰にもできないと強く信じています。多くの分野をカバーする必要があるため、強力なチームが必要です。テクニカルディレクターを探しているわけではありません。」
「我々は次のステップに進むのに適した人材が揃っていると信じています。もう一歩前進する必要があると分かっていますが、全てが自動的に進むとは考えていません。次のステップに進むには、多くの努力が必要です。」
KTMは、参戦9年目に向けて、バルセロナ-カタルーニャ・サーキットで開催されたオフィシャルテストに参加。ブラッド・ビンダーとペドロ・アコスタは62ラップと72ラップを周回して6番手と9番手。アプリリア機からの乗り換えたとなったマーベリック・ビニャーレスは74ラップを周回して12番手。KTM機を初試乗したエネア・バスティアニーニは55ラップを周回して16番手。
テストライダーのダニエル・ペドロサとポル・エスパルガロは、12月11日から13日まで、ヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで年内最後のプライベートテストを予定している。