プレミアクラスに参戦する11チームは、チャンピオンシップ77年目のシーズンスタートを2週間後に控え、2月12日と13日に史上初めて開幕戦の舞台に指名されたチャーン・インターナショナル・サーキットでプレシーズン3度目、最後のオフィシャルテストを実施。2025シーズンにフルエントリーするレギュラーライダーたちがシーズン開幕前最後の準備に取り組む。
ドゥカティ
2月5日から3日間、ペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットで開催されたオフィシャルテストでは、2025年型を供給する予定だったファビオ・ディ・ジャンアントニオが11月に手術した左肩の回復具合を確認することから2024年型から走り始めた初日に転倒して左鎖骨を骨折したことから、テストプログラムはフランチェスコ・バグナイアとマルク・マルケスの2人に託されたが、揃ってトップ5に進出しただけでなく、ティソ・スプリントのシミュレーションとなる連続10ラップを実行。
ドゥカティ・レノボ・チームに所属する両雄は、共同作業を継続し、特にエンジンの開発が2年間凍結されることから、2025年だけでなく、2026年にも使用する仕様を決定する。
昨シーズン、決勝レースで19勝、ティソ・スプリントで17勝を挙げた2024年型を使用するアレックス・マルケスとフランコ・モルビデリは、テストする新しいパーツが皆無だが、12か月分のデータが蓄積された完成度が高いバイクを走らせることから、ポテンシャルを最大限に引き出すためにセッティングと電子制御、ライディングスタイルの微調整に専念して1日目から上位に進出。新車の戦闘力が十分に整う前に、シーズンスタートダッシュを目指して、チャンピオンマシンを徹底的に磨き上げる。
KTM
テスト前までとは異なり、3日間は比較的に静かな存在だったが、レッドブル・KTM・ファクトリー・レーシングのブラッド・ビンダーとペドロ・アコスタは着実に、堅実に、黙々と数多くのテストプログラムを消化しながら方向性を見極め、まだまだ伸び代があることを確認。
レッドブル・KTM・テック3に所属するエネア・バスティアニーニとマーベリック・ビニャーレスの2人は個性を表すように、より計画的に、11月から始めた乗り換え作業を継続。2日間を利用してKTM機の理解度向上を図りながら、快適さ、限界値を追求する。
アプリリア
厳しい門出となったアプリリア。プレミアクラスに参戦を開始してから初めて4台のファクトリーマシンを準備したが、初日にホルヘ・マルティンが右手、ラウール・フェルナンデェスが左手を骨折したことからスペインに帰国して手術。ホルヘ・マルティンは開幕戦の参戦を目指すが、ラウール・フェルナンデェスはテストに参加する目的でブリーラムに到着。前日にメディカルチェックを受ける。
2人の離脱でテストプログラムを1人で請け負う形となったマルコ・ベツェッキは、アプリリア機への乗り換え作業を進めながら、昨年11月の第19戦マレーシアGP公式予選2で記録されたアプリリアのベストラップを大幅に更新。サーキットを移動してバイクの理解度を高める。
ヤマハ
コンセッションの優遇措置を利用して、シェイクダウンテストの2日目から4人が揃って走行を開始。プリマ・プラマック・ヤマハの両雄、ミゲール・オリベイラとジャック・ミラーは直列4気筒のエンジンを搭載するヤマハ機に対する適応作業を進めた一方で、特にファビオ・クアルタラロはアレックス・リンスと共にシャーシ、スイングアーム、エアロパッケージ、電子制御といった複数のテストプログラムに取り組みながら、5日間を通じて戦闘力ある周回を重ね、3ヶ月前に記録したラップタイムを大幅に更新。グリップが低いことが予想されるブリーラムのトラックでどのようなパフォーマンスを発揮できるのか注目が集まる。
ホンダ
3日間のテストが終了し、ヨハン・ザルコとジョアン・ミルが総合7番手と8番手に進出。特にラップタイムが大幅に更新され、3ヶ月前の第19戦マレーシアGPと比較して戦闘力が向上していることを証明したことから、コンセッションを活用して、1月中旬に2人のテストライダー、中上貴晶とアレイシ・エスパルガロがプライベートテストを実行したチャーン・インターナショナル・サーキットでヨーロッパ勢に対してどのぐらい接近できるのか関心が高まる。
ルーキーライダー
シェイクダウンテストとオフィシャルテストを利用して走り込み、ステップ・バイ・ステップで適応し始めている3人の新人勢にとって、今回の2日間は開幕戦のトラックでテストができる絶好の機会。3ヶ月前にポールポジションから2位を獲得してチャンピオンに輝いた小椋藍、2023年に優勝を挙げたフェルミン・アルデグエ、地元出身のソムキアット・チャントラのトラックアクションにも注目。
ウェザーコンディション
1日目、2日目とも最高気温33度、最低気温19度、降水確率2%。前回のテストよりも暑いドライコンディションが予報されている。
タイムスケジュール
セッション時間は現地時間10時00分から18時00分、日本時間12時00分から20時00分まで。セッション終了後には15分間のスタート練習時間が設けられている。
ライブタイミング
オフィシャルウェブでは、国際中継班によるライブプログラム『アフター・ザ・フラッグ』を配信。テスト終了後にはハイライトとインタビューを提供。
既にビデオパスのサブスクを購入しているファン、フリートライアルを利用するファンは、トラックアクションをセッションスタートと同時にリアルタイムで表示するライブタイミングの視聴が可能。