2025年シーズンは残り3戦。今年で25回目の開催となるペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットで第20戦マレーシアGPが催行され、プレミアクラスのメーカーとライダーにとっては、2月のオフィシャルテストからどれほど競争力が向上したのかを確認する絶好の機会となり、注目はそのオフィシャルテストで総合1番手に進出したアレックス・マルケスの総合2位獲得。そして、年間8年目の勝者が誕生するかどうかに関心が高まる。
総合2位獲得王手
残り3戦111ポイントの争いにおいて、総合2位アレックス・マルケスが総合3位マルコ・ベッツェッキに97ポイント差、総合4位フランチェスコ・バグナイアに105ポイント差。チャンピオンシップ史上初となる兄弟のワンツーフィニッシュに向けて王手をかけた。
年間予選最速者を決定する『BMW M Award(ビーエムダブリュー・エム・アワード)』は75ポイントの争い。アレックス・マルケスがマルク・マルケス不在の中でギャップを59ポイント差に接近したことから、数字上では、最終戦で逆転する可能性が残されている。
総合3位争い
週末に28ポイントを加算したマルコ・ベッツェッキが今季初めて総合3位に浮上。総合4位フランチェスコ・バグナイアに8ポイント差、総合5位ペドロ・アコスタに49ポイント差、総合6位ファビオ・ディ・ジャンアントニオに66ポイント差、総合7位フランコ・モルビデリに74ポイント差。マルコ・ベッツェッキとアプリリアにとっては、欧州に戻る前に重要な1戦を迎える。
8人目の勝者誕生は?
2025年シーズはマルク・マルケスが年間11勝を挙げ、第17戦日本GPでタイトルを獲得した一方で、ルマンでヨハン・ザルコ、シルバーストンでマルコ・ベッツェッキ、もてぎでフランチェスコ・バグナイアが優勝、ヘレスでアレックス・マルケス、マンダリカでフェルミン・アルデグエル、フィリップアイランドでラウール・フェルナンデェスが初優勝を達成。既に7人が優勝を挙げたことから、8人目の勝者が誕生するか、誰が8人目の勝者となるのかに関心が高まり、2016年には当地で年間9人目の勝者が誕生していた。
ルーキー・オブ・ザ・イヤー
111ポイントのタイトル争い。110ポイント差のアドバンテージを持つフェルミン・アルデグエルが小椋藍より1ポイントでも多くのポイントを稼げば、初めて新人王のタイトルを獲得。
コンストラクター部門
198ポイントの争い。ドゥカティが2020年から6年連続7度目のタイトルを獲得した一方でアプリリアがKTMに47ポイント差、ホンダに97ポイント差、ヤマハに140ポイント差。アプリリアがプレミアクラスで最高位に進出するか、KTMが2023年から3年連続の総合2位を維持するか、日本勢が欧州勢のトップ3独占を阻止するか注目が集まる。
インディペンデントチーム部門
BK8・グレシーニ・レーシングはペルタミナ・エンドゥーロ・VR46・レーシング・チームに対して138ポイント差。総合2位アレックス・マルケス&総合8位フェルミン・アルデグエルが総合6位ファビオ・ディ・ジャンアントニオ&総合7位フランコ・モルビデリに対して、132ポイント差以上を維持すれば、初のタイトル獲得となる。
負傷代役&ワイルドカード
前戦に続き、マルク・マルケス、ホルヘ・マルティン、マーベリック・ビニャーレスの負傷代役として、テストライダーのミケーレ・ピロ、ロレンソォ・サバドーリ、ポル・エスパルガロが継続参戦。
ヤマハは第16戦サンマリノ&リビエラ・ディ・リミニGPに続き、テストライダーのアウグスト・フェルナンデェスをワイルドカードとして招集。来季の導入に向けて開発を続けるプロトタイプマシンを実戦に投入してデータ収集を図る。
気象状況
水曜日の時点で、週末は最高気温31度、最低気温25度。金曜日は水曜日から降り続く雨が朝に止むが14時頃から再び雨が降り始め、土曜日は曇り。日曜日は晴れが予報されている。
Moto2™
残り3戦、75ポイントのタイトル争い。数字上は、総合5位ジェイク・ディクソンまでがタイトルを獲得できる可能性が残されているが、実質上、タイトル争いは、ポイントリーダーのマヌエル・ゴンザレスと総合2位ディオゴ・モレイラの一騎打ち。2人のギャップは2ポイント差。
1戦で逆転が不可能な33ポイント差の総合3位アロン・カネトをはじめ、後方から驚異的な巻き返しを見せた総合4位バーリー・バルトゥス、安定して上位に進出する総合6位ダニエル・オルガド、1年前に優勝を挙げた総合7位チェレスティーノ・ヴィエッティ、今季2勝目を挙げた総合8位セナ・アギウス、今季3度目の表彰台を挙げた総合10位ダビド・アロンソはタイトル争いをかき回す存在になるかもしれない。
新人王争いは、CFモト・アスパル・チームに所属するダニエル・オルガドとダビド・アロンソの対決。ギャップは49ポイント差。3年前にディオゴ・モレイラの前に9ポイント差で軽量級の新人王を逃し、1年前にダビド・アロンソとのタイトル争いに負けたダニエル・オルガドが初の個人タイトルに挑戦。
135ポイントのチーム部門争いは、ファンティック・レーシングがリキモリ・ダイナボルト・インタクトGPに対して37ポイント差。アロン・カネト&バーリー・バルトゥス対マヌエル・ゴンザレス&セナ・アギウスの対決も注目。
Moto3™
第18戦インドネシアGPでタイトルを獲得したホセ・アントニオ・ルエダは、第19戦オーストラリアGPで2戦連続の優勝を挙げ、1997年のバレンティーノ・ロッシ(11勝/15戦)、1987年のファウスト・グレシーニ(10勝/11戦)、2010年のマルク・マルケス(10勝/17戦)、2017年のジョアン・ミル(10勝/18戦)、2024年のダビド・アロンソ(14勝/20戦)に続き、史上5人目となる年間10勝目を達成。
1年前にコンマ4秒差の3位を獲得したペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットでバレンティーノ・ロッシ、ダビド・アロンソに続く史上3人目となる年間11勝目に挑戦。
週末の注目は、総合2位と新人王争い。残り3戦75ポイントの争いにおいて、総合2位アンヘル・ピケラスと総合3位マキシモ・キレスのポイント差は3。新人部門の総合1位マキシモ・キレスと総合2位アルバロ・カルペのポイント差は55。週末が終了した時点でマキシモ・キレスが50ポイント差以上のアドバンテージを維持すれば、第3戦アメリカズGPからの参戦、2戦に負傷欠場したにも関わらずタイトルを獲得。
1年前に2位を獲得した総合10位古里太陽を筆頭に、総合7位アドリアン・フェルナンデェス、総合11位ダビド・アルマンサ、総合12位ルカ・ルネッタはキャリア初優勝に加え、ホンダの今季初優勝を目指す。