開幕戦タイGPは、2月27日から3月1日にタイ東北部ブリーラムのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催。2026年に大幅な技術規則が施行されることから、移行期となるシーズンは、手に汗握る刺激的なアクションの連続と驚愕なオーバーテイクが約束され、22名のフルエントリーライダーたちが頂点を目指し、挑戦を開始する。
王者復帰
5戦を残し、第17戦日本GPで2019年以来6年ぶりにタイトルを獲得した王者マルク・マルケスは、第18戦インドネシアGPグランプリレースで右鎖骨を骨折して以来、マレーシアのペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットで開催された今年最初のオフィシャルテストで121日ぶりにドゥカティ機を試乗すると、今年2度目のオフィシャルテストでは3度の転倒を喫したが、フィーリング、タイムアタック、レースペースで確かな手応えを得て、1年前にポールポジションからティソ・スプリントで優勝、グランプリレースで優勝を挙げたサーキットから、プレミアクラスで史上2人目となる8度目のチャンピオン、オールクラスで史上3人目となる通算10度目のタイトル獲得に向けて始動。
ドゥカティ
今年最初のオフィシャルテストで総合1番手に進出したアレックス・マルケスをはじめ、好感触を取り戻したフランチェスコ・バグナイア、新車が供給されたファビオ・ディ・ジャンアントニオ、チャンピオンマシンの2025年型を入手したフランコ・モルビデリは、マルク・マルケスと共に開幕戦でホモロゲーションを取得する空力のテストプログラムに集中し、5台がトップ9に進出。1月上旬に左脚の大腿骨を骨折したフェルミン・アルデグエルは欠場することから、テストライダーのミケーレ・ピロが代替として参戦。
アプリリア
昨シーズン後半から高い競争力を発揮し、終盤に3勝を挙げたアプリリアは、マルコ・ベッツェッキがプレシーズン最後のオフィシャルテスト最終日に1年前の公式予選2で記録されたポールポジションタイムと2024年に樹立されたオールタイムラップレコードを非公式ながら更新して総合1番手に進出。
さらに、1年前の開幕戦で鮮烈なデビューを飾った小椋藍が予選シミュレーションとなるタイムアタックに挑戦すると、公式予選2の5番時計を大幅に更新して0.097秒差の総合2番手に浮上。
12月中旬に右鎖骨と左手の再手術を受け、出遅れていたホルヘ・マルティンは当地で開催されたオフィシャルテスト1日目にアプリリア機を95日ぶりに駆け、ラウール・フェルナンデェスと共に4人が空力を中心としたテストプログラムに取り組んでトップ11に進出。ドゥカティの対抗馬1番手に名乗り出た。
KTM
昨シーズン、スタートで出遅れたKTMだったが、ペドロ・アコスタ、ブラッド・ビンダー、マーベリック・ビニャーレス、エネア・バスティアニーニが作業を分担しながら新車のテストプログラムを進め、旋回性が向上したことを確認。4年前に最後の優勝を挙げたサーキットでどこまでドゥカティ勢に接近できるか、4年ぶりの優勝をいつ挙げられるかに注目。
さらに、ペドロ・アコスタの初優勝はいつか、ホルヘ・ロレンソとのコンビを結成したマーベリック・ビニャーレスがスズキ、ヤマハ、アプリリアに続き、史上初となる4メーカーのバイクで優勝を挙げることができるか、運営体制を一新したレッドブル・KTM・テック3の門出はどうなるかなど話題が多い。
ホンダ
最終戦でコンセッションのランキングが『D』から『C』に昇格したホンダは、シェイクダウンテストにレギュラーライダーたちを投入することができず、シーズン中にエンジンの仕様変更ができず、エアロボディの変更が2回から1回に減少されるが、ジョアン・ミル、ルカ・マリーニ、ヨハン・ザルコが計5日間のテストで徹底して詳細の改善に取り組んだことで、パフォーマンスの向上を確認。ドライコンディションで2023年4月の第3戦アメリカズGP以来となる優勝が挙げられるかに関心が高まる。
ヤマハ
『V4』プロジェクトを発動させたヤマハはシェイクダウンテストに4人のレギュラーライダーたちを招集。今年最初のオフィシャルテスト初日にファビオ・クアルタラロが右手中指を骨折、技術的問題が発生して、理想的なスタートを切れなかったが、開発に必要なデータを収集。
シーズン中にはエンジンの仕様を変更でき、エアロボディも更新でき、プライベートテストを実施できることから、ステップ・バイ・ステップで基礎を築いていくことになるが、『V4』のデビュー戦でどのようなパフォーマンスを披露するのかクローズアップされる。
2人の新人
中量級王者ディオゴ・モレイラとスーパーバイク世界選手権王者トプラク・ラズガトリオグルがプレミアクラスにデビュー。新人に与えられる特権を活かして、シェイクダウンテストから走り込み、バイクとタイヤの理解度を深めながら学習プロセスに集中。
8年間スーパーバイク世界選手権に参戦したトプラク・ラズガトリオグルはライディングポジションに問題があることから、ヤマハはハンドルバーとシートを準備。2人共に学習能力の高さと適応力の速さに定評があるだけに、シーズンを通じたパフォーマンスに期待が高まる。
Moto2™
2月11日から2日間、第21戦ポルトガルGPの開催地アウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェ、通称ポルティマオ・サーキットで実施されたプレシーズン最初のオフィシャルテストは、雨の影響を受け、計画していたテストプログラムを進められなかったが、2月16日から2日間、第5戦スペインGPの開催地ヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで開催された2度目のオフィシャルテストは、好天候に恵まれたドライコンディションの中、2年間のレギュラー参戦で最高位が7位だった21歳のスペイン人ライダー、アレイシ・エスクリチがフォワード機を走らせて、昨年4月の第5戦スペインGP決勝レースで記録されたファステストラップ、公式予選2のポールポジションタイム、フリープラクティス2で樹立されたオールタイムラップレコードを非公式ながら大幅に更新。傑出した走りを見せていた。
昨シーズン7度の表彰台を獲得し、自己最高位の総合3位に進出したバーリー・バルトゥスは4番手、4勝を含む9度の表彰台を獲得し、最終戦までタイトル争いを繰り広げて総合2位を奪取したマヌエル・ゴンザレスは5番手、最終戦バレンシアで中量級初優勝を挙げたイサン・グエバラは6番手。
ボスコスクロ機2年目を迎えるチェレスティーノ・ヴィエッティは2番手、ボスコスクロ機からカレックス機に乗り換えたアロンソ・ロペスが3番手に進出。
イバン・オルトラとトニー・アルボリーノがボスコスクロ機からカレックス機、アロン・カネト、デニス・オンジュがカレックス機からボスコスクロ機に乗り換え、サマーブレイク中のトレーニングアクシデントが原因で左足くるぶしを骨折したデニス・オンジュ、第20戦マレーシアGPで左手首を骨折したジョー・ロバーツ、最終戦バレンシアGPで両手首を骨折したアドリアン・ウエルタス、11月下旬に腕上がり症状の手術を受けた佐々木歩夢は回復具合を確認。
新人勢では、ヘレスで最多192ラップを周回したアンヘル・ピケラスが9番手に進出。古里太陽は11月下旬のプライベートテストから誰よりも走り込み、ホセ・アントニオ・ルエダは第20戦マレーシアGPで骨折した右手の回復具合を確認しながら周回を重ねていた。
昨年の開幕戦タイGPではマヌエル・ゴンザレスがポールポジションから優勝。アロン・カネトが2位、セナ・アギウスが3位を獲得。
Moto3™
2月14日から2日間、ヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで開催されたオフィシャルテストで昨年出走最低年齢の誕生日を待て、3戦目から参戦を開始し、怪我が原因で2戦に欠場しながら、3勝を含む9度の表彰台を獲得して総合3位と新人王に輝いた17歳のスペイン人ライダー、マキシモ・キレスがトップタイムをマーク。
昨シーズン2度の7位が最高位だったスコット・オグデンと最終戦バレンシアGPで初優勝を挙げたアドリアン・フェルナンデェスが2番手と3番手に進出。
ジョエル・ケルソとグイド・ピニはKTM機からホンダ機、ダビド・アルマンサはホンダ機からKTM機に乗り換え、第17戦日本GPで左手の小指を骨折して終盤2戦を欠場した山中琉聖と第18戦インドネシアGPで左脚の大腿骨を骨折して3度の手術を受けたダビド・ムニョスは回復具合を確認。
新人勢では、ヘスス・リオスが8番手に進出。ジュニアGP™世界選手権とレッドブル・ルーキーズ・カップを制したブライアン・ウリアルテは18番手。三谷然は25番手。
昨年の開幕戦タイGPは、ホセ・アントニオ・ルエダが優勝、アルバロ・カルペが2位、アドリアン・フェルナンデェスが3位。マッテオ・ベルテッレはポールポジションから5位だった。