チャンピオンシップ76年目のシーズン、創立75年を祝福するシーズンのオープニングラウンドとなる開幕戦カタールGPは、今週末3月8日から10日、ルサイル・インターナショナル・サーキットで開催。9日に公式予選とショートレースのティソ・スプリント、10日に決勝レースが実施される。
ドゥカティ
2年連続してチャンピオンシップのタイトルを総なめしたドゥカティは、オフィシャルチームのドゥカティ・レノボ・チームに加え、チーム部門とインディペンデントチーム部門を制したプリマ・プラマック・レーシングに2024年型の新車『Desmosedici GP24』、プルタミナ・エンデューロ・VR46とグレシーニ・レーシングにチャンピオンマシン『Desmosedici GP23』を供給。
タイトル争いの中人的存在は、2連覇に成功した王者フランチェスコ・バグナイア。昨年は開幕戦ポルトガルGPでティソ・スプリントと決勝レースで優勝を挙げて、スタートダッシュを決め、16週間前に当地で開催された第18戦カタールGPで5位と2位を獲得し、タイトル獲得に向けて大きく前進。
今年開催されたオフィシャルテストでは、オールタイムラップレコードを非公式ながら大きく更新し、連続して総合1番手に進出。
ティソ・スプリントでライバルを圧倒する強さと速さを誇示した総合2位ホルヘ・マルティンは、ストップ・ザ・ペッコの最有力候補であり、タイトル候補の1人。オフィシャルテストで相次ぐ負傷に見舞われた総合15位エネア・バスティアニーニは、オフィシャルテストで完全全復帰した走りを披露したことから、オフィシャルテストでは3人が頭一つ抜け出ていた。
新車を走らせる3人に次ぐのは、3勝を挙げた総合3位マルコ・ベツェッキ、終盤戦にパフォーマンスとリザルトが向上し、オフィシャルテストで実行したロングランでハイペースを刻んだ総合12位ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、ドゥカティ機2年目となる総合9位アレックス・マルケス。
11年間走らせたホンダ機からドゥカティ機に乗り換えるマルク・マルケスは、シーズンスタートと序盤で、どこまで適応が進み、どこまで上位陣に接近できるのか最も注目が集まる。
トレーニングアクシデントが原因で2度のオフィシャルテストを欠場したフランコ・モルビデリは、序盤戦をテストに置き換え、ヤマハ機からドゥカティ機への乗り換えを始めるが、出走は開催前日のメディカルチェック次第。
KTM&アプリリア
コンストラクター部門で最高位の総合2位を獲得したKTMと総合3位アプリリアは、ティソ・スプリントで16勝を含む6度の表彰台独占、決勝レースで18勝を含む8度の表彰台独占を獲得したドゥカティに挑戦。
多くのショートレースとロングレースで上位争いを繰り広げ、オフィシャルテストで順調な仕上がりと競争力を見せた総合4位ブラッド・ビンダーを筆頭に2年目の総合11位ジャック・ミラーと総合17位アウグスト・フェルナンデェス、オフィシャルテストで素早い順応を見せ、最年少記録の更新に期待が高まる新人ペドロ・アコスタが2022年10月の第17戦タイGP以来の優勝、8勝目を狙う。
当地で開催されたオフィシャルテストの最終日に実行したロングランで転倒を喫したが、ハイペースを刻んだ総合6位アレイシ・エスパルガロ、総合7位マーベリック・ビニャーレス、総合16位ミゲール・オリベイラは新車を走らせ、総合20位ラウール・フェルナンデェスは旧車を使用。
今年最初のオフィシャルテスト1日目に転倒を喫したフェルナンデェスは、テストスケジュールが遅れたが、2度目のオフィシャルテストでは成熟された『RS-GP』に素早く適応。シーズン中に新車の手配が約束されていることから、その前までに、どこまで同僚たちに追いつき、追い越せるのか注目が集まる。
ホンダ&ヤマハ
2024年に改訂されたコンセッションの規則により、エンジン、エアロパッケージ、テスト、ワイルドカードの優遇措置を受けるホンダとヤマハは、シェイクダウンテストからテストプログラムを開始。ペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットとルサイル・インターナショナル・サーキットで開催されたオフィシャルテストでは、3ヶ月前の第18戦マレーシアGPと第19戦カタールGPの週末に記録されたラップタイムを大幅に更新し、戦闘力が高まっていることを証明。
ホンダは総合22位ジョアン・ミルと総合18位中上貴晶、ヤマハは総合10位ファビオ・クアルタラロが中心となり、週末を通じて、リアグリップの向上といった課題に取り組み、総合5位ヨハン・ザルコ、総合8位ルカ・マリーニ、総合19位アレックス・リンスが新天地からデビューする。
ガソリン
2027年に100%非化石バイオ燃料の導入を目指し、2024年から少なくても40%の非化石バイオ燃料を使用。3度のオフィシャルテストを通じて、パフォーマンスを確認し、データを収集した。
22 riders and only one crown! 👑
— MotoGP™🏁 (@MotoGP) March 3, 2024
They are ready for the fight, are you ready to enjoy it? ✊#MotoGP pic.twitter.com/EsVcqEFyny
Moto2™
15チーム30人のライダーがレギュラー参戦。24人が2013年から11年連続してコンストラクター部門を連覇したカレックス、4人がボスコスクロ、2人がチームオリジナルのフォワードを使用。
エンジンは、オフィシャル・エクスクルーシブ・エンジン・サプライヤーのトライアンフから供給され、ガソリンはオフィシャルフューエルサプライヤーであるペトロナスから少なくても40%の非化石バイオ燃料を使用。タイヤはオフィシャルタイヤサプライヤーとしてピレリが今シーズンから供給を開始。
7勝を含む14度の表彰台を獲得してチャンピオンに輝いた王者ペドロ・アコスタがプレミアクラスに昇格、総合12位サム・ロウズがスーパーバイク世界選手権に転向したことから、3勝を含む8度の表彰台を獲得して総合2位を獲得したトニー・アルボリーノと終盤4連勝を含む5勝を挙げて総合3位に浮上したフェルミン・アルデグエがタイトル争いの中心となることが予想され、2月28日から3日間、第4戦スペインGPの開催地ヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで催行されたオフィシャルテストでフェルミン・アルデグエが総合1番手、トニー・アルボリーノが総合4番手に進出。
サスペンションをWP製に変更する総合4位ジェイク・ディクソン、ファンティック・レーシングに移籍した総合5位アロン・カネト、第14戦日本GPでポールポジションから優勝を挙げた総合6位ソムキアット・チャントラ、参戦2年目にパフォーマンスとリザルトが向上した総合8位マヌエル・ゴンザレス、チームを移籍してカレックス機からボスコスクロ機に乗り換える総合9位小椋藍らに注目。
軽量級から昇格してきた王者ジャウメ・マシア、総合2位佐々木歩夢、総合4位デニス・オンジュ、総合8位ディオゴ・モレイラ、総合15位チェビエル・アルティガス、総合31位マリオ・アジ、欧州選手権王者としてレギュラー参戦を開始するセナ・アギウスの適応、順応にも注目。
オフィシャルテストの3日目、最終日には9人がロングラン、レースシミュレーションを実行。セッション時間を考慮しなければ、アロン・カネトが最速ペースで周回を重ね、小椋藍、ソムキアット・チャントラ、マヌエル・ゴンザレス、トニー・アルボリーノ、チェレスティーノ・ヴィエッティも1分41秒台のペースを刻んでいた。
Moto3™
13チーム26人のライダーがレギュラー参戦。10人が7度目のコンストラクター部門を制したKTM、2人がガスガス、2人がハスクバーナ、2人がCFモト、10人がホンダを使用。
ガソリンはオフィシャルフューエルサプライヤーであるペトロナスから供給される少なくても40%の非化石バイオ燃料を使用。タイヤはオフィシャルタイヤサプライヤーとしてピレリが今シーズンから供給を始める。
王者ジャウメ・マシア、総合2位佐々木歩夢らが中量級に昇格、総合11位鳥羽海渡がスーパースポーツ世界選手権に転向したことから、参戦1年目に4勝を挙げて総合3位と新人王を獲得したダビド・アロンソ、2勝を挙げた総合5位ダニエル・オルガドと総合6位イバン・オルトラ、参戦1年目ながら総合7位コリン・ベイヤーと総合9位に進出したホセ・アントニオ・ルエダらがタイトル争いの中心。
オフィシャルテストでは、ホセ・アントニオ・ルエダ、ダビド・アロンソ、イバン・オルトラ、山中琉聖、コリン・ベイヤーがトップ5入り。
日本勢は、古巣に復帰する総合13位山中琉聖、参戦3年目の総合16位古里太陽、ホンダ機からハスクバーナ機に乗り換える総合19位鈴木竜生が3日間で8レース以上に相当する距離を走り込んでいた。
注目の新人、Moto3™ジュニア世界選手権とレッドブル・ルーキーズ・カップをダブル制覇した新人アンヘル・ピケラスは、トレーニングアクシデントが原因でオフィシャルテストを負傷欠場したことから、開幕戦でのデビューは回復具合とメディカルチェック次第。チャビエル・スルトゥサは4月7日に出走最低年齢18歳の誕生日を迎えることから、序盤2戦はビセンテ・ペレスが起用される。