チャンピオンシップ75年周年を記念する2024年シーズンは、先週末の第9戦ドイツGPを終え、前半戦が終了。毎戦熾烈なファイトが繰り広げられ、候補者たちが順調にタイトル争いの中心となるカテゴリーもあれば、伏兵たちの台頭により、波乱万丈な展開となるカテゴリーもあり、興味深い前半戦となった。
MotoGP™
昨シーズン、最終戦までタイトル獲得に挑戦したホルヘ・マルティンは、チャンピオンを逃した反省から序盤の取りこぼしを極力回避することに努め、第2戦ポルトガルGPからチャンピオンシップをリード。9戦が終了した時点で、昨年の173ポイントから今年は212ポイントを稼ぐことに成功。ある程度の成果を挙げた一方、昨年は決勝レースで2度の転倒を喫したが、今年は第7戦イタリアGPのティソ・スプリントで初めてポイントを稼げず、第4戦スペインGPと第9戦ドイツGPの決勝レースではトップを走行中に転倒。特にザクセンリンクでは、残り2ラップで痛恨の転倒したことから総合2位に後退したが、昨年は残り11戦で最多ポイント(255)を稼いでいた。
プレミアクラスで史上10人目となる3連覇を狙うフランチェスコ・バグナイアは、開幕戦カタールGPで王者の貫禄を示すようにポイントリーダーに飛び出したが、第2戦ポルトガルGPで接触転倒、第4戦スペインGPからはティソ・スプリントで3戦連続の0ポイント。一時はホルヘ・マルティンから44ポイント差の総合4位まで後退したが、第6戦カタルーニャGPから怒涛の4連勝を挙げて、狙い通りに2年連続して、ポイントリーダーとしてシーズンを折り返すことに成功した。
総合3位マルク・マルケスと総合4位エネア・バスティアニーニは、2戦で逆転が可能な74ポイント差以内の56ポイント差と67ポイント差。両雄ともスターティンググリッドの改善次第では、十分に2人のタイトル争いに加わる可能性が高い。
Francesco Bagnaia | Ducati Lenovo Team | 222 |
Jorge Martin | Prima Pramac Racing | 212 |
Marc Marquez | Gresini Racing MotoGP™ | 166 |
Enea Bastianini | Ducati Lenovo Team | 155 |
Maverick Viñales | Aprilia Racing | 125 |
ワールドスタンディング
Moto2™
昨年3勝を挙げた総合2位トニー・アルボリーノと終盤に4連勝を達成した総合3位フェルミン・アルデグエが中心になると考えられたタイトル争いだったが、ピレリタイヤ供給1年目に素早く適応したのは、総合15位セルジオ・ガルシアと参戦7年目の総合13位ジョー・ロバーツ。
昨年新人王に輝いた参戦2年目のスペイン人ライダーは開幕戦で初表彰台、第3戦アメリカズGPで初優勝を挙げ、チャンピオンシップをリードすると、参戦7年目で中量級最多参戦を誇るアメリカ人ライダーは3戦連続の2位を獲得した後、赤旗が提示された第7戦イタリアGPで今季初優勝を挙げたが、転倒で右鎖骨を骨折したことが影響して、前半戦最後に総合2位から3位に後退。
2年前に最終戦までタイトル争いを繰り広げたが、昨年はテストシーズン直前に左手首を脱臼骨折したことから不本意なシーズンとなった総合9位小椋藍だったが、第6戦カタルーニャGPと第8戦TTアッセンで優勝を挙げ、7ポイント差の総合2位に進出。悔しさと厳しさを経験し、さらに成長を遂げていることから、後半戦最も注目する1人。
セルジオ・ガルシア、小椋藍とともに2勝を挙げたフェルミン・アルデグエだったが、3戦でポイントを稼げなかったことが影響して39ポイント差。後半戦緒戦の舞台であり、昨年初優勝を挙げたサーキット、シルバーストンで好発進を決め、早い段階で25ポイント差以内に接近すれば、十分に勝機があるだろう。
Sergio Garcia | MT Helmets - MSI | 147 |
Ai Ogura | MT Helmets - MSI | 140 |
Joe Roberts | OnlyFans American Racing | 123 |
Fermin Aldeguer | (MB Conveyors Speed Up) | 108 |
Alonso Lopez | (MB Conveyors Speed Up) | 93 |
ワールドスタンディング
Moto3™
参戦1年目に4勝を含む8度の表彰台を獲得した総合3位ダビド・アロンソに注目が集まっていたが、期待を遥かに超える6勝を挙げ、2戦で逆転が不可能な58ポイント差までアドバンテージを拡大。ペドロ・アコスタの年間6勝、イサン・グエバラとホルヘ・マルティンの7勝、ニコラス・テロールとアルバロ・バウティスタの8勝、マルク・マルケスとジョアン・ミルの10勝を越えられるか、8年前に全18戦中14戦目でタイトルを獲得したブラッド・ビンダーよりも早くチャンピオンに輝くのか、タイトル争いよりも、個人記録に関心が高まる。
今季1勝を挙げた58ポイント差の総合2位イバン・オルトラ、59ポイント差の総合3位ダニエル・オルガド、64ポイント差の総合4位コリン・ベイヤーは、逆転を考えるよりも、1戦1戦に挑戦し、ポイントリーダーの前でコンスタントにゴールするしか手段がないだろう。
David Alonso | CFMoto Gaviota Aspar Team | 179 |
Ivan Ortola | MT Helmets - MSI | 121 |
Dani Holgado | Red Bull KTM Tech3 | 120 |
Collin Veijer | Liqui Moly Husqvarna Intact GP | 115 |
David Muñoz | BOE Motorsports | 84 |
ワールドスタンディング
MotoE™
昨年後半戦に5勝を含む7度の表彰台を獲得して、チャンピオンに輝いたマッティア・カサデイは、開幕戦でポイントリーダーに飛び出し、チャンピオンシップをリードしていたが、第5戦オランダ大会で転倒と8位、第6戦ドイツ大会で連続9位だったことから25ポイント差の総合2位に後退。代わって、2年連続3年目の参戦となるエクトル・ガルソがキャリア初のダブルウィンを達成して初めて総合1位に浮上。
参戦1年目ながら総合3位に進出するオスカル・グティエレスは29ポイント差、参戦3年目の総合4位ケビン・ザンノーニは32ポイント差。
残り2戦、100ポイント差のチャンピオンシップにおいて、数字上ではトップ11に逆転の可能があるが、総合5位アレッサンドロ・ザッコーネと総合6位ニコラス・スピネッリは優勝、表彰台を獲得する能力があることから、タイトル争いをかき回す存在になるかもしれない。
Hector Garzo | Dynavolt Intact GP MotoE™ | 179 |
Mattia Casadei | LCR E-Team | 154 |
Oscar Gutierrez | Axxis – MSI | 150 |
Kevin Zannoni | OpenBank Aspar Team | 147 |
Alessandro Zaccone | Tech3 E-Racing | 130 |
ワールドスタンディング