第8戦TTアッセンは、今週末の6月28日から30日にTT・サーキット・アッセンで開催。29日に公式予選とショートレースのティソ・スプリント、30日に決勝レースが催行される。
TT・サーキット・アッセン
チャンピオンシップの大聖堂ことカテドラルとして称賛、認知されるサーキットでは、チャンピオンシップが初開催された1949年以降、世界的なパンデミックの影響を受けた2020年を除き、開催日程上唯一毎年催行され、チャンピオンシップ75周年を祝福する今シーズンに通算75回目の開催を迎える。
1954年まで使用されたオリジナルのレイアウトは16.54キロメートル。1955年に7.7キロメートル、1984年に6.1キロメートルに短縮され、現在のレイアウトは2006年から使用。以前は土曜日に決勝レースが開催されていたが、2016年から日曜日に実施。
ドゥカティ
ホームレースとなった4週間前の前戦イタリアGPで2020年11月の第11戦バレンシアGPから67戦連続の1列目から4戦連続の今季6勝目、4戦連続の表彰台独占、3度目のトップ4独占、2021年9月の第13戦アラゴンGPから53戦連続表彰台を獲得。
さらにファクトリーチームのドゥカティ・レノボ・チームが2021年5月の第4戦スペインGP以来となるワンツーを達成。
今週末は2008年に初優勝、2022年と2023年に優勝を挙げ、1年前にティソ・スプリントと決勝レースで連続優勝を挙げた伝統のトラックに挑戦。
ホルヘ・マルティン
昨年始まったショートレースで初めて転倒リタイアを喫したが、決勝レースで3戦連続5度目の表彰台を獲得してポイントリーダーの座を維持した後、天候に恵まれなかったオフィシャルテストは出走しなかったが、アプリリアに移籍することを即決。来季の所属先が決まり、昨年10番グリッドから6位と5位だった当地から全身全霊を傾けて初タイトル獲得に挑む。
フランチェスコ・バグナイア
ホームグランプリで3年連続の優勝、2年連続のダブルウィンを達成し、ポイントリーダーとのギャップを19ポイント差まで接近。オフィシャルテストは周回を見送ったが、2年前にポール・トゥ・ウィン、1年前にダブルウィンを達成した得意とするトラックでポイント差を詰めに行く。
マルク・マルケス
ティソ・スプリントで3戦連続5度目の2位、決勝レースで4位に進出したことから、1戦で逆転が可能な35ポイント差に接近した後、ドゥカティ・コルセとの間で契約を締結。来季の所属先が決定した後、昨年こそ17位と負傷欠場を強いられたが、2014年と2018年に優勝を挙げた右回りトラックでホルヘ・マルティン、フランチェスコ・バグナイアに挑戦。
総合4位エネア・バスティアニーニは、前戦で今季3度目の表彰台を獲得した後、KTMへの移籍を決断。ポイントリーダーとのポイント差は57。タイトル争いに加わる可能性が十分にあり、来季アプリリア・レーシングに移籍することが決まった総合11位マルコ・ベツェッキは昨年ポールポジションから優勝と2位を獲得した思い出の地でリザルトを追求。来季の所属先が現時点で未定な総合9位ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、総合10位アレックス・マルケス、総合14位フランコ・モルビデリも2連戦で存在感をアピールしたいところ。
KTM
コンストラクター部門で総合2位に返り咲いた後、ファクトリーチームのレッドブル・KTM・ファクトリー・レーシングに続いて、サテライトチームのレッドブル・ガスガス・テック3、来季活動名レッドブル・KTM・テック3のラインナップが決定。
昨年の4位が過去最高位だったトラックで、総合5位ペドロ・アコスタと総合7位ブラッド・ビンダーがKTM史上初の表彰台に挑戦。契約延長の可能性を失った総合16位ジャック・ミラーと総合17位アウグスト・フェルナンデェスは、来季のシートを確保するためにも2連戦で際立つリザルトを獲得したいところ。
アプリリア
ホームグランプリで期待通りに結果が残せず、コンストラクター部門で総合2位から3位に後退したが、フルエントリーライダーからの引退を発表した総合8位アレイシ・エスパルガロの後釜と新天地に移籍することを決断した総合6位マーベリック・ビニャーレスの後任が決定。心機一転、昨年3位を獲得したトラックでドゥカティ、KTMに挑戦。
総合12位ラウール・フェルナンデェスは、1年ぶりに腕上がり症状を解消する手術を受けたことから、出走の許可を得るために、メディカルセンターを訪れるが、開幕前から悩まされていた右前腕の問題が解決され、パフォーマンスの向上が見込まれる。
テストライダーのロレンソォ・サバドーリは、第4戦スペインGP、第7戦イタリアGPに続き今季3度目のワイルドカード。当地では2022年から3年連続して、実戦でのテストを実行する。
ヤマハ
前戦後の6月12日にサーキット・リカルド・トルモでプライベートテストを実施して、オフィシャルテストで消化できなかったテストプログラムを実行したかった総合13位ファビオ・クアルタラロと総合20位アレックス・リンスだったが、天候に恵まれず、6月21日に変更。
気温が30度近くまで上昇したドライコンディションの中、遅れていたテストプログラムを取り戻そうと、積極果敢に周回を重ね、データと情報を収集した。
ホンダ
期待通りの成績が残せず、困難な状況が続いているが、カザフスタンGPの開催延長により、シーズン序盤を反省、そしてリフレッシュする機会となり、新たな気持ち、モチベーションと共にオランダ入り。特に開幕戦カタールGPの転倒がパフォーマンスに影響しているルカ・マリーニにとっては、仕切り直しを図りたいところ。
天気予報
月曜日の時点で、金曜日は降水確率55%。土曜日と日曜日は晴れが予報されているが、最高気温は21度、最低気温は10度のドライコンディションが見込まれている。
Moto2™
5戦連続6度目のトップ4入りを果たして、ポイントリーダーの座を堅守したセルジオ・ガルシアに今季初優勝を挙げて、7ポイント差に追い上げた総合2位ジョー・ロバーツ、開幕からトップ7以内を維持する総合3位小椋藍らが挑戦。
前戦後にミサノ・ワールド・サーキット-マルコ・シモンチェリでプライベートテストを実行した総合4位アロンソ・ロペスと総合6位フェルミン・アルデグエは、引き離された43ポイント差と59ポイント差を確実に縮めたいところ。
参戦1年目の佐々木歩夢が初のポイント圏内を目指す一方で、前戦後に右前腕を手術した総合7位アロン・カネトと総合12位ソムキアット・チャントラ、第4戦スペインGPで左足を負傷した総合26位ボ・ベンスナイダーは開催前日にメディカルチェックを受ける予定だが、トレーニングアクシデントが原因で左手と左手首を骨折した総合23位デニス・オンジュは欠場。
代替には2023年からスーパースポーツ世界選手権にレギュラー参戦するマルセル・シュロッター。2022年11月の最終戦バレンシアGP以来の参戦となり、今年4月に第4戦スペインGP後にヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで開催されたプライベートテストにデニス・フォッジャの負傷代役としてイタルトランス・レーシング・チームから参加していた。
第5戦フランスGPから3戦連続して総合26位ボ・ベンスナイダーの負傷代役を務めたダニエル・ムニョスが今季初めてのワイルドカード参戦。
Moto3™
前戦で今季5勝目、キャリア29戦目で9勝目を挙げたダビド・アロンソは、総合2位ダニエル・オルガドに37ポイント差、総合3位コリン・ベイヤーに48ポイント差、総合4位イバン・オルトラに対しては63ポイント差に拡大。週末ごとに成長を続ける18歳のスペイン系コロンビア人ライダーが昨年17番グリッドから12.3秒差の13位だったトラックをどのように攻略し、アドバンテージを広げるのか注目が集まる。
82戦目で初表彰台を獲得した総合6位山中琉聖、4位に進出した総合13位古里太陽、今季初転倒を喫した総合14位鈴木竜生は、上位進出を目指す。