プレミアクラスのオフィシャルテストは、11月18日に最終戦バレンシアGPが開催されたサーキット・リカルド・トルモで実施され、最終戦バレンシアGPのティソ・スプリントで4位、グランプリレースで2位を獲得した総合10位ラウール・フェルナンデェスが電子制御を中心としたテストプログラムに取り組んで52ラップを周回し1番時計を刻んだ。
現地時間10時00分。気温13度、路面温度9度。前夜降った雨により、トラックの一部が濡れていたハーフウェットコンディションの中でセッションが始まったが、路面が乾いた13時過ぎまで待機する必要があり、13時22分に先陣を切って、最終戦勝者のマルコ・ベツェッキが走行を開始すると、次々にコースイン。セッション時間が30分延長された後、10分間のスタートプラクティスが実施された。
ドゥカティ
ライダー部門、コンストラクター部門、チーム部門を制して、トリプルクラウンを達成したドゥカティは、ファクトリーチームにドゥカティが創立100周年を迎え、レースの伝統に根ざし、歴史を彩ったカラーリングを準備。
第21戦ポルトガルGPから王者マルク・マルケスの代役を務めるスーパーバイク世界選手権総合2位ニコロ・ブレガは45ラップを周回。公式予選1の12番時計(1分30秒045)、グランプリレースの9ラップ目に刻んだファステストラップの20番時計(1分30秒960)を上回る1分29秒661を刻んで8番手、ドゥカティ勢の4番手に進出。
総合2位アレックス・マルケスはフランチェスコ・バグナイア、ファビオ・ディ・ジャンアントニオと共にエアロダイナミクスを中心としたテストプログラムを分担。53ラップを周回して0.084秒差の3番手に進出すると、総合6位ファビオ・ディ・ジャンアントニオは47ラップを周回して7番手。
総合5位フランチェスコ・バグナイアは47ラップ目2コーナーでコースアウトからグラベル上でバイクが転倒を喫したが50ラップを周回。2026年型最初のプロトタイプマシンに乗り込むと最初のランから好感触を得て、プッシュすることができ、週末よりも速いペースで周回を重ねて0.358秒差の10番手。総合8位フェルミン・アルデグエルは4番手。
アプリリア
最終戦バレンシアGPのグランプリレースで2023年9月の第11戦カタルーニャGP以来2年2ヶ月ぶりに2度目のワンツーフィニッシュを飾り、コンストラクター部門で過去最高位となる総合2位に進出したアプリリアは、エアロダイナミクスを中心としたテストプログラムに取り組み、第21戦ポルトガルGPと最終戦バレンシアGPで連勝した総合3位マルコ・ベツェッキは60ラップを周回して0.027秒差の2番手。
6月のアラゴンテストと9月のミサノテストを負傷欠場したことから、4月のヘレステスト以来となった総合16位小椋藍は13度のランで最多64ラップを周回して0.461秒差の11番手。元王者ホルヘ・マルティンはまだ右鎖骨が万全ではないが、52ラップを周回して0.621秒差の16番手。
KTM
コンストラクター部門で総合2位から3位に後退したKTMは、エアロボディの方向性を見極めるためにテストやシーズン中に使用したマテリアルの再検証を行い、総合4位ペドロ・アコスタは53ラップを周回して0.208秒差の5番手。
総合18位マーベリック・ビニャーレスはまだ左肩が万全ではないが、56ラップを周回して6番手。総合11位ブラッド・ビンダーは、スーパーバイク世界選手権でトプラク・ラズガトリオグルとコンビを組んでタイトルを獲得したフィル・マロンをクルーチーフに迎え、52ラップを周回して9番手。総合14位エネア・バスティアニーニは47ラップを周回して17番手。
ホンダ
最終戦バレンシアGPのグランプリレースで9ポイントを稼ぎ、優遇措置のコンセッションにおいて、ランク『D』から『C』に昇格したホンダは、リアのグリップを追求するプログラムに取り組んで、総合15位ジョアン・ミルは37ラップを周回して0.499秒差の12番手。総合12位ヨハン・ザルコは13番手。総合13位ルカ・マリーニは14番手。
ヤマハ
最終戦バレンシアGPの週末に、2026年に『V4』エンジンを採用すると発表したヤマハは4人に新しい仕様のエンジンを搭載したプロトタイプマシンを供給。総合9位ファビオ・クアルタラロは最初のランで直列4気筒エンジンを積んだバイクに乗った後、開発中のバイクに乗り換えて、計46ラップを周回。最終戦バレンシアGPにワイルドカード参戦したアウグスト・フェルナンデェスが公式予選1の13番時計(1分30秒110)、グランプリレースの4ラップ目に刻んだファステストラップの22番時計(1分31秒083)を上回る1分29秒927を刻んで0.554秒差の15番手。総合19位アレックス・リンスは33ラップを周回して19番手。総合17位ジャック・ミラーは51ラップを周回して20番手。
コンセッションでランク『D』に位置するヤマハは当地に延滞。11月19日にプライベートテストを実施し、来季中量級で起用する最終戦勝者の総合11位イサン・グエバラを招待して直列4気筒エンジンを搭載した『YZR-M1』を初試乗する機会を提供する。
テストデビュー
スーパーバイク世界選手権王者のトプラク・ラズガトリオグルは、モーターランド・アラゴンでのプライベートテストを経て、シーズン途中までエネア・バスティアニーニのクルーチーフを担当していたアルベルト・ジリブオラとのコンビを結成し、今年6月にテストライダー兼ライダーパフォーマンスアドバイザーに就任したアンドレア・ドビツィオーソの助言に耳を傾けながら本格的な走行を開始すると53ラップを周回して1.294秒差の18番手、ヤマハ勢の2番手。
2日前に中量級のチャンピオンに輝いたディオゴ・モレイラは、過去ケーシー・ストーナー、ステファン・ブラドル、ジャック・ミラー、中上貴晶、ソムキアット・チャントラの新人を起用したホンダのサテライトチーム、ホンダ・LCRからクルーチーフ、クラウス・ノーレスの指導を受けながらホンダ機に初めて乗り込んで57ラップを周回し1.824秒差の21番手。
最終戦バレンシアGPのグランプリレーススタート直前にグリッド上で転倒したフランコ・モルビデリは右手の第5中手骨を骨折したことから欠場。チームは中量級総合13位チェレスティーノ・ヴィエッティを招集すると、24ラップを周回して3.138秒差の22番手だった。
プレミアクラスのイベントは終了。来年1月29日から31日にシェイクダウンテスト、2月2日から5日に2度目のオフィシャルテストがペトロナス・セパン・インターナショナル・サーキットで予定され、2月6日から7日にマレーシアの首都クアラルンプールでシーズンローチンが開催される。