ドゥカティ・モーター・ホールディングのレース部門、ドゥカティ・コルセは『MotoGP™』元年の2002年6月にアウトードロモ・インテルナツィオナーレ・デル・ムジェロで開催された第5戦イタリアGPの際に2003年からフル参戦することを発表。
デビュー戦となった2003年4月の開幕戦日本GPで、チャンピオンシップでの功績が讃えられ、ゼッケンナンバーが欠番となったロリス・カピロッシが初表彰台を獲得。第3戦スペインGPで初ポールポジション、そして、第6戦カタルーニャGPで初優勝を達成。
1勝を含む8度の表彰台を獲得して、コンストラクター部門で総合2位、チーム部門で総合3位に進出し、鮮烈なデビューシーズンを飾ったが、参戦2年目、3年目、4年目は1年目の成績を越えられなかったが、当時21歳だったヤングライダーの起用が功を奏した。
ケーシー・ストーナー
参戦5年目の2007年、ロリス・カピロッシのチームメイトとして、セテ・ジベルナウの後任に指名したのは、プレミアクラス1年目に全17戦中完走した10戦でシングルフィニッシュ、9戦でトップ6入りを果たし、総合8位に進出したケーシー・ストーナー。開幕戦カタールGPでデビューウィンを飾ると全18戦中10勝を含む14度の表彰台を獲得。第15戦日本GPでタイトルを獲得しただけでなく、初めてコンストラクター部門とチーム部門も制して、三冠を達成。
ジャパニーズメーカー以外のバイクを駆けてライダー部門を制したのは、フィル・リードがMVアグスタを走らせた1974年以来33年ぶり。コンストラクター部門では、MVアグスタが最後にタイトルを獲得した1973年以来34年ぶり。
経験豊富なトロイ・ベイリス、カルロス・チェカ、セテ・ジベルナウを引き継いだ新進気鋭の豪州人ライダーは、2010年まで所属した4年間で総合1位、2位、4位、4位に進出。全67戦中23勝を含む42度の表彰台を獲得。ドゥカティの優勝ランキングにおいて、23勝は第7戦イタリアGPが終了した時点で1位を維持。
ニッキー・ヘイデン
2003年から6年間、ホンダのファクトリーチーム、レプソル・ホンダに所属し、2006年にチャンピオンに輝いたニッキー・ヘイデンは、プロジェクトの中心的存在だったロリス・カピロッシの後任に指名されたマルコ・メランドリの後を受け継ぐ形で、2009年からドゥカティのファクトリーチームに所属。ホンダ機から乗り換えた参戦12戦目のインディアナポリスGPで初表彰台を獲得すると、5年間で全86戦中3位3回の表彰台を獲得。
バレンティーノ・ロッシ
2000年からホンダで3度、ヤマハで4度のタイトルを獲得した後、新たな挑戦を求め、2011年にドゥカティ入り。数々の成功をもたらしたケーシー・ストーナーが去った後、イタリアを象徴するバレンティーノ・ロッシ&ドゥカティのコンビ結成に世界中が沸き、大きな期待が集まり、7年間乗り続けたヤマハ機から乗り換えた4戦目のフランスGPで初表彰台を獲得。在籍2年間で35戦に出走して表彰台3回。ランキングは総合7位と6位だった。
アンドレア・ドビツィオーソ
2013年にバレンティーノ・ロッシの後任に指名される形でドゥカティ入り。ホンダ機からヤマハ機への素早い順応を見せた後だったが、初表彰台は所属2年目、20戦目となった第2戦アメリカズGP。3年目は開幕から連続して表彰台を獲得すると、72戦目となった4年目の第17戦マレーシアGPで初優勝を飾り、5年目の2017年から3年連続して総合2位を獲得。
ケーシー・ストーナーが去った後、低迷していた時期から脱出しただけでなく、特に2017年以降は優勝表彰台争い、タイトル争いの主役に定着。8年間で141戦に参戦して14勝を含む40度の表彰台を獲得した。
ホルヘ・ロレンソ
2008年から9年間、ヤマハのファクトリーチームに所属して3度のタイトル獲得に成功した後、2014年にドゥカティ・コルセのジェネラルマネージャーに就任したジジ・ダリーニャの存在が影響したこともあり、2017年からドゥカティのファクトリーチームに所属すると、ヤマハ機からドゥカティ機に乗り換えた4戦目のスペインGPで初表彰台を獲得。
所属2年目、24戦目となった第6戦イタリアGPで初優勝を挙げ、次戦の第7戦カタルーニャGPで連勝。デスモセディチGPに対して完全に適応し、本来のパフォーマンスを発揮していたが、第14戦アラゴンGPの転倒が原因でその後の4戦を負傷欠場したことから、1年目の総合7位を上回ることができず、総合9位に後退。全32戦中3勝を含む7度の表彰台を獲得。
フランチェスコ・バグナイア
2年間のサテライトチームを経て、2021年ファクトリーチームに昇格。ファクトリーチームのデビュー戦で2度目の表彰台を獲得。42戦目となった第13戦アラゴンGPで初優勝を挙げて勢いに乗り、総合2位に進出。
ファクトリーチーム2年目に歴史的な逆転劇を成功させて最終戦でチャンピオンに輝き、ドゥカティに2007年のケーシー・ストーナー以来15年ぶりとなるタイトル、そしてトリプルクラウンを達成。
ドゥカティ所属4年目、ファクトリーチーム所属2年目に史上初となる2連覇を成し遂げたこともあり、名実ともに絶対的なエースとして指名され、2024年シーズンの開幕前に契約を更新した。
マルク・マルケス
2013年から2023年まで11年間で6度のタイトルを獲得、169戦で59勝を含む101度の表彰台を獲得した後、ホンダのファクトリーチーム、レプソル・ホンダ・チームからドゥカティのサテライトチーム、グレシーニ・レーシングに移籍すると、ホンダ機から1年落ちのチャンピオンマシンに乗り換えて4戦目となったスペインGPで初表彰台を獲得。
2024年6月5日、ドゥカティから現王者フランチェスコ・バグナイアのチームメイトに指名されたことから、過去に5人のレジェンド(ストーナー/ヘイデン/ロッシ/ロレンソ/ドビツィオーソ)、4人のチャンピオン(ストーナー/ヘイデン/ロッシ/ロレンソ)が所属したファクトリーチーム入りが決定。
ニッキー・ヘイデンとバレンティーノ・ロッシは、ドゥカティ在籍期間に優勝を挙げられず、ホルヘ・ロレンソはヤマハ機から乗り換えて24戦目で初優勝を果たしたことから、当然、シーズンのレベルとバイクの競争力など、単純に当時と比較することはできないが、マルク・マルケスが何戦目で初優勝を挙げられるか、そして、ファクトリーチームのデビュー戦、デビューシーズンでどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか今から注目が集まる。
ファクトリーチームの歴代ラインナップ
2023年(2位/1位)
フランチェスコ・バグナイア(1位)/エネア・バスティアニーニ(15位)
2022年(1位/1位)
ジャック・ミラー(5位)/フランチェスコ・バグナイア(1位)
2021年(1位/1位)
ジャック・ミラー(4位)/フランチェスコ・バグナイア(2位)
2020年(4位/1位)
アンドレア・ドビツィオーソ(4位)/ダニロ・ペトルッチ(12位)
2019年(2位/3位)
アンドレア・ドビツィオーソ(2位)/ダニロ・ペトルッチ(6位)
2018年(2位/2位)
アンドレア・ドビツィオーソ(2位)/ホルヘ・ロレンソ(9位)
2017年(3位/3位)
アンドレア・ドビツィオーソ(2位)/ホルヘ・ロレンソ(7位)
2016年(3位/3位)
アンドレア・ドビツィオーソ(5位)/アンドレア・イアンノーネ(9位)
2015年(3位/3位)
アンドレア・ドビツィオーソ(7位)/アンドレア・イアンノーネ(5位)
2014年(3位/3位)
アンドレア・ドビツィオーソ(5位)/カル・クラッチロー(13位)
2013年(4位/3位)
ニッキー・ヘイデン(9位)/アンドレア・ドビツィオーソ(8位)
2012年(4位/3位)
ニッキー・ヘイデン(9位)/バレンティーノ・ロッシ(6位)
2011年(3位/3位)
ニッキー・ヘイデン(8位)/バレンティーノ・ロッシ(7位)
2010年(3位/3位)
ケーシー・ストーナー(4位)/ニッキー・ヘイデン(7位)
2009年(3位/3位)
ケーシー・ストーナー(4位)/ニッキー・ヘイデン(13位)
2008年(3位/2位)
ケーシー・ストーナー(2位)/マルコ・メランドリ(17位)
2007年(1位/1位)
ロリス・カピロッシ(7位)/ケーシー・ストーナー(1位)
2006年(3位/3位)
ロリス・カピロッシ(3位)/セテ・ジベルナウ(13位)
2005年(4位/3位)
ロリス・カピロッシ(6位)/カルロス・チェカ(9位)
2004年(5位/3位)
ロリス・カピロッシ(9位)/トロイ・ベイリス(14位)
2003年(3位/2位)
ロリス・カピロッシ(4位)/トロイ・ベイリス(6位)